第666回 共学中の入試問題 数と計算 3
「第666回 共学中の入試問題 数と計算 3」
ここまで近年の共学中の入試問題で出された「数と計算」の問題を取り扱っています。
今回は「数列」と「数表」の問題を見ていきます。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】下のように、あるきまりにしたがって全部で50個の数字を並べました。
2、0、2、3、2、0、2、3、2、0、…
並べた50個の数字をすべて加えたときの和を求めなさい。
(専修大学松戸中学校 2023年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
「2、0、2、3」の4個1セットを繰り返しています。
繰り返しの数列は表に整理することができます。
50個÷4個=12セットあまり2個 → 50個目の数字は13セット目の2番目です。
ですから、和は
7×12+2=86
です。
答え 86
本問は、繰り返す数列(周期タイプ)の基本が確認できる問題です。
余りとその和の処理に注意して解きましょう。
2問目は大問形式の問題です。
【問題】数学者ガウスは幼き日に、1+2+3+……+98+99+100の計算を、「逆の順に並べた式と加えたものを2で割って計算した」と言われています。
よって、101×100÷2=5050
次の問いに答えなさい。
(1)偶数の和2+4+6+……+96+98+100はいくつですか。
(2)3の倍数の和102+105+108+……+261+264+267はいくつですか。考え方も書きなさい。
(法政大学第二中学校 2023年 問題4)
【考え方】
(1)
100は2から数えて 100÷2=50番目 の偶数です。
(2+100)×50÷2=2550
答え 2550
(2)
102は3から数えて 102÷3=34番目
267は3から数えて 267÷3=89番目
の3の倍数です。
102から267までに3の倍数は
89番目-33番目=56個
あります。
(102+267)×56÷2=10332
答え 10332
本問は、等差数列の和の公式の理由が確認できる問題です。
問題の誘導に従ってもよいですし、すぐに等差数列の和の公式を使って解いてもよいでしょう。
3問目も、大問形式の問題です。
【問題】下の図のように、ある規則にしたがって数字が並んでいます。このとき、次の各問いに答えなさい。
(1)[ ア ]段目には[ イ ]個の数が並んでいて、それらの合計は400です。[ ア ]、[ イ ]に入る数の和を求めなさい。
(2)上の図の数を1段目から順番に下のように一列にならべます。
1、1、2、1、1、2、3、2、1、1、2、3、4、3、2、1、1、…
1000番目までに出てくる数の中で最も大きい数はいくつですか。
(帝京大学中学校 2023年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
「和が400」とわかっていますので、各段の和を調べてみます。
1段目の和 … 1
2段目の和 … 1+2+1=4
3段目の和 … 1+2+3+2+1=9
4段目の和 … 1+2+3+4+3+2+1=16
調べると□段目の和は □×□(段の数の平方数)となっています。
400=20×20 → ア=20
次に、「個数」についても調べます。
1段目の個数 … 1個
2段目の個数 … 3個
3段目の個数 … 5個
4段目の個数 … 7個
調べると□段目の個数は □×2-1(1から始まる奇数)となっています。
20(段)×2-1=39(個) → イ=39
ですから、アとイの和は
20+39=59
です。
答え 59
(2)
各段の真ん中の数がその段で最も大きい数ですから、1000番目の数が何段目にあるかを調べることにします。
個数の和は1から始まる奇数の和ですから
1から始まる奇数の和=奇数の個数の平方数
が利用できます。
1000=31×31+39
より、1000番目の数は32段目の左から39番目の数とわかります。
32段目の真ん中の数は左から32番目にある32です。
答え 32
本問は、個数が1個、3個、5個、…のように規則的に増えていく群数列(本問では「群」が「段」で表現されています)が数表の形で表された問題です。
「和」を問われたら「和の規則性」を、「個数」を問われたら「個数の規則性」を求めるという基本に従って解くことを確認しましょう。
最後も、「数表」の問題です。
【問題】奇数を1つずつ書いたカードを1から順に並べて、下の図のような正方形をつくっていきます。
(1)各辺に10枚のカードを並べたとき、カードに書かれた最大の数を求めなさい。
(2)各辺に何枚のカードを並べると、左上のカードに書かれた数が513になりますか。
(青山学院中等部 2023年 問題10 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
問われている「最大の数」について調べることにします。
カードを各辺の2枚並べたとき(合計4枚) → 最大の数は7
カードを各辺に4枚並べたとき(合計16枚) → 最大の数は31
カードを各辺に6枚並べたとき(合計36枚) → 最大の数は71
調べると1辺に□枚のカードを並べたときの最大の数は □×□×2-1(合計枚数の2倍より1小さい数)となっています。
10×10×2-1=199
答え 199
(2)
左上のカードに書かれた数は、1つ前の正方形の最大の数より2大きい数です。
513-2=511 … 1つ前の正方形の最大の数
□×□×2-1=511
□×□=(511+1)÷2=256=16×16
□=16
1つ前の正方形の各辺には16枚のカードが並んでいますから、その次の正方形の各辺には18枚のカードが並んでいます。
答え 18枚
本問の(1)も前問と同じように、問われている「最大の数」について規則性を見つけるという基本が確認できる問題です。
また、(2)は(1)を誘導として考える入試問題でよく出される形式の問題です。
(1)がやや易しかったり、作業手順を確認したりするような問題の場合は、「誘導になっているかもしれない」ということを頭の片隅の置いておけるとよいですね。
今回は、近年の共学中の入試で出された「数列」と「数表」の問題をご紹介しました。
これらの問題は模試でも出されますので、正解できない問題があったときは、早急に、どこで間違えたかのチェックと修正をしておきましょう。