「合い言葉」で算数の入試問題を解こう1
第285回「『合い言葉』で算数の入試問題を解こう1 円問題の補助線と30度問題」
ゴールデンウィークに入り、
四谷大塚の「開成・桜蔭本番レベルテスト」、
浜学園の「灘中オープン模擬入試」など、
最難関中学校の名を冠したテストが大手進学塾では実施されています。
最難関中受験生は早くも本番モードです。
一方、これらの中学以外を目指している受験生は、
夏に向けてこれまでに学んだ解法知識を
正確に使いこなせるようになる練習の時期です。
そこで今回から、2017年度中学入試に向け、
「合い言葉で解く」をテーマに
解法知識の使いこなし方を、
入試問題や塾のテストの問題を通して見ていこうと思います。
はじめにご紹介する問題は、フェリス女学院中の入試問題です。
フェリス女学院中は女子最難関中のうちの1校ですが、
受験算数の中級レベルが出題されている大問1の問題ですので、
今回のテーマに適したものとなっています。
2016年度 フェリス女学院中 入試問題 算数より
大問1-(5) 図のように、半径6cmの半円の周上に点B、Cがあります。点Oは直径ADのまん中の点です。曲線CDの長さ(太線)と曲線CBの長さ(細線)の比は2:3です。① 「あ」の角の大きさを求めなさい。 ② 影をつけた部分の面積を求めなさい。(円周率は3.14 一部改題)
① 円の問題です。
円問題の合い言葉は
「円問題の補助線は半径」
または
「円問題は円の中心と結ぶ」
です。
この合い言葉の目的は
「補助線を引いてできるおうぎ形や二等辺三角形を利用する」
ことです。
まず「あ」の角がある点Bと点Oを結びます。
すると二等辺三角形ができますが、まだ答えはわかりません。
そこで点Cと点Oを結びます。
すると2つのおうぎ形ができ、
角「い」の大きさがわかると、
それぞれのおうぎ形の中心角もわかります。
② 「斜線(影をつけた)部分の面積を求める問題は、
『直接求める』
または
『全体から引く』」
が合い言葉です。
「直接求める」のは、
おうぎ形や台形などのように
面積の公式がある図形の場合です。
この問題の図形BCDは
「青色のおうぎ形OCDの一部+直角二等辺三角形OBCの一部」
ですから、
「全体から引く」がよさそうだとわかります。
右上図の三角形BDOの面積を求めるためには高さが必要です。
そこで図に高さを書き込んでみると「30°問題」が見えてきます。
このように、「合い言葉」を使って中学入試の中級レベルの問題を解くことができました。
「合い言葉」で解ける問題は、
目標の偏差値獲得や志望校に合格するために正解が必要な問題です。
今回からご紹介していく「合い言葉」を覚えて問題で使い、
失点をなくしていけるといいですね。