第663回 女子中の入試問題 場合の数 2
「第663回 女子中の入試問題 場合の数 2」
前回から、近年に女子中の入試で出された「場合の数」の問題について見ています。
今回は「数作り」などの問題について考えます。
1問目は「数作り」の基本レベルの問題です。
【問題】0、1、2、3の4個の数字から3個選んで1列に並べて、3けたの偶数を作ります。全部で何個できるか求めなさい。
(晃華学園中学校 2023年 問題1-(4))
【考え方】
一の位の数が0または2となること、百の位の数が0にならないことから、「一の位 → 百の位 → 十の位」の順で、樹形図をかきます。
答え 10個
本問は、「数作り」の基本が確認できる問題です。
のように、小さい順に書き出せるときは、解答例のような樹形図をかく解き方ができるかも確認します。
また、次のように場合分けをして計算が利用できることも確認してみましょう。
□■0のとき
□は0以外の3通り、■は0と□以外の2通り → 3通り×2通り=6個
□■2のとき
□は0と2以外の2通り、■は2と□以外の2通り → 2通り×2通り=4個
6個+4個=10個
では、2問目です。
【問題】0、1、1、2の4枚のカードをすべて並べてできる4けたの整数は何通りありますか。
(東洋英和女学院中学部 2023年 問題2-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
1のカードが2枚あることに気をつけて、樹形図をかきます。
答え 9通り
本問も、数作りの基本が確認できる問題です。
なお、次のように計算で求めることもできます。
1□□□のとき
□は0、1、2が入るので 3通り×2通り×1通り=6通り
2□□□のとき
□は0、1、1が入るので、0の入れ方に着目すると 3C1=3通り
残った2つの□には1が自動的に入る(=1通り)ので
3通り×1通り=3通り
6通り+3通り=9通り
3問目を見ていきましょう。
【問題】1、2、3、4、5、6、7が1つずつ書いてある7枚のカードから4枚を選び、2枚ずつ並べて2桁の奇数を2つ作ります。大きい方の数が小さい方の数の倍数になるとき、考えることができる奇数の組をすべて求めなさい。なお、答えは(13、25)のように書きなさい。
(洗足学園中学校 2024年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
カードの中で最も大きい数が7であることに気をつけながら、書き出していきます。
答え (13、65)、(21、63)
本問は、漏れや重複がないように順序よく調べる力を確認できる問題です。
問題文中の「すべて求めなさい」や作ることができる最大の奇数の75が13×6よりも小さいことなどから、調べる数がそんなに多くないことがわかりますので、丁寧に調べていきましょう。
最後は、大問形式の問題です。
【問題】A、B、C、D、Eの5人全員が、自分以外のだれか1人にメールを送ります。次の問いに答えなさい。
(1)メールを受け取るのが2人であるようなメールの送り方は何通りありますか。
(2)メールを受け取るのが4人であるようなメールの送り方は何通りありますか。
(3)メールを受け取るのが3人であるようなメールの送り方は何通りありますか。
(フェリス女学院中学校 2023年 問題4)
【考え方】
(1)
全部で5通あるメールを2人が受け取りますので、受け取るメール数は(1通、4通)、(2通、3通)の2つの場合があります。
具体的に、Aの受け取り方について調べていきます。
(1通、4通)の場合
・Aが1通受け取るとき
AがBからのメール受け取る場合、次の図の1通りだけです。
AがC、D、Eからのメールを受け取る場合も同様に1通りずつありますから、全部で4通りの送り方があります。
(2通、3通)の場合
・Aが2通受け取るとき
BがAからのメールを受け取る場合、次の図の3通りがあります。
C、D、EがAからのメールを受け取る場合も同様に3通りずつありますから、全部で
3通り×4通り=12通り
あります。
以上のことはB、C、D、Eについても同様なので、メールの送り方は全部で
(4通り+12通り)×5通り=80通り
です。
答え 80通
(2)
メールを受け取れない1人がAの場合について考えます。
また、メールは全部で5通あり、それをA以外の4人で受け取るので、メールを2通受け取る人が1人、1通受け取る人が3人となります。
BがAと他の1人から受け取る場合
・BがAとCから受け取るのは次の3通りです。
BがAとD、AとEから受け取る場合も同様に3通りありますから、全部で
3通り×3通り=9通り
です。
BがA以外の2人から受け取る場合
・BがCとDの2人から受け取る場合は次の4通りです。
BがCとE、DとEから受け取る場合も同様に4通りありますから、全部で
4通り×3通り=12通り
です。
よって、Bが2通受け取る場合は
9通り+12通り=21通り
あります。
C、D、Eが2通受け取る場合もそれぞれ21通りありますから、Aがメールを受け取らないような送り方は全部で
21通り×4通り=84通り
あります。
B、C、D、Eがメールを受け取らないときも同じなので、メールの送り方は全部で
84通り×5通り=420通り
あります。
答え 420通り
(3)
メールを受け取る人数は、2人、3人、4人、5人の4つの場合があります。
・受け取る人数が2人のとき
(1)より、80通りあります。
・受け取る人数が4人のとき
(2)より、420通りあります。
・受け取る人数が5人のとき
AのメールをBが受け取る場合
・BのメールをAが受け取る場合
C、D、Eのメールの受け取り方は、次の2通りがあります。
メールを交換する2人がAとC、AとD、AとE、BとC、BとD、BとE、CとD、CとE、DとEのときもそれぞれ2通りありますから、全部で
2通り×10通り=20通り
です。
・BのメールをCが受け取る場合は次の2通りがあります。
BのメールをD、Eが受け取るときも同様に2通りずつありますから、全部で
2通り×3通り=6通り
あります。
AのメールをC、D、Eが受け取るときも同じなので、全部で
6通り×4通り=24通り
です。
ですから、5人全員が受け取るメールの送り方は
24通り+20通り=44通り
あります。
また、メールは自分以外のだれか1人に送るので、メールの送り方は全部で
4通り×4通り×4通り×4通り×4通り=1024通り
あります。
1024通り-(80通り+420通り+44通り)=480通り
答え 480通り
本問は、初見の場合の数に対応する力を確認できる問題です。
困ったときは、解答例のように「具体例を挙げて調べる」という基本の解き方に戻ってみましょう。
今回は、2023年度と2024年度の女子中の入試で出された「数作り」などの問題をご紹介しました。
3問目までは基本レベルの問題ですので、正解できなかったときは書き出し方や計算方法の修正点をチェックしましょう。
4問目はレベルの高い問題ですから、チャレンジ問題として取り組んでみるとよいと思います。