第662回 女子中の入試問題 場合の数 1
「第662回 女子中の入試問題 場合の数 1」
前回まで、近年に女子中の入試で出された「文章題」の問題について見てきました。
今回からは、「場合の数」の問題を取り扱っていきます。
1問目は基本レベルの問題です。
【問題】AさんとBさんがあるゲームで5回対戦します。勝ち負けは1回ごとに必ず決まり、引き分けはありません。Aさんが続けて負けることなく3勝2敗となるのは何通りありますか。
(品川女子学院中等部 2023年 問題2-(8) 問題文一部変更)
【考え方】
Aさんがゲームに勝つことを○、負けること●で表すとすると、次のような問題として考えることができます。
連続しない●の入れ方を先に考えると、次のの6通りがあります。
○は残りの3つの空欄にそのまま入れればよいので、答えは6通りです。
答え 6通り
本問は、順序よく書き出すことを確認できる問題です。
なお、「5つの空欄から●を入れる連続しない2つの空欄を選ぶ」のように考えると、次のような計算で求めることもできます。
5C2=(5×4)/(2×1)=10通り … 2つの空欄の選び方
連続する●を1組とし、(●、●)、○、○、○を入れる4つの空欄があると考えます。
4C1=4通り … (●、●)を入れる空欄の選び方
10通り-4通り=6通り
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】あるお店には、あめ、ラムネ、チョコレートの3種類のお菓子がたくさん置かれています。香さんはこの中から4個のお菓子を買うことができます。買うお菓子の選び方は何通りありますか。ただし、買わないお菓子があってもかまいません。
(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-⑫) 問題文一部変更)
【考え方】
あめの個数で場合分けをします。
1通り+2通り+3通り+4通り+5通り=15通り
答え 15通り
本問も、順序よく書き出すことを確認できる問題です。
なお、「○|解法(まる・棒解法)」を用いる解き方もあります。
○でお菓子を、|でお菓子の種類の区切りを表すことにすると、問題を「○○○○||」を並べる問題に読みかえることができます。
例えば、「○|○|○○」は「あめ1個/ラムネ1個/チョコレート2個」を表します。
このように4個の○と2個の|を、1問目と同じように、「6個のマスに○と|を入れる」と考えます。
6C2=(6×5)/(2×1)=15通り … 「|」の入れ方
○は残りの4つの空欄にそのまま入れればよいので、答えは15通りです。
3問目は、定番とは少し違う円卓問題です。
【問題】6人がけの円卓に、Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさんの6人が座っていました。途中で席をかえて、はじめにとなりに座っていた人のとなりにならないように図1のように座りました。以下の条件からはじめの座り方を考え、解答らんにA~Fをかきなさい。
・Aさんは座っていた席から左ななめ前に見える席の1つに座った。
・BさんとCさんは1つとなりにずれた。
・はじめ、DさんとAさんはとなりではなかった。
(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(6))
【考え方】
「Aさんは座っていた席から左ななめ前に見える席の1つに座った」ので、席をかえる前は今の席の右ななめ前に見える席の1つであったことになります。
「BさんとCさんは1つとなりにずれた」のですが、「はじめにとなりに座っていた人のとなりにならない」ように席をかわったので、それぞれ逆向きにずれて今の席になったことがわかります。
よって、Aさん、Bさん、Cさんのはじめの席は、次の(ア)、(イ)の場合があります。
「はじめ、DさんとAさんはとなりではなかった」と、席をかわった後の両どなりがCさん、Eさんであることから、はじめのDさんのとなりにAさん、Cさん、Eさんがいなかったことがわかります。
よって、はじめのDさんの席はBさんの左どなりです。
EさんとFさんも席をかわったので、はじめの席は次の2通りが考えられます。
このうち、「はじめにとなりに座っていた人のとなりにならない」という条件を満たしているのは(イ)です。
本問も、順序よく調べていく力を確認できる問題です。
考えられる場合の数が2通りだけなので、図を2つかいて考えるとよいでしょう。
最後は、「当選確実」問題です。
【問題】2人の代表者を決める選挙に葉子さんを含めた10人が立候補しています。250人が一人1票を10人のうちだれかに投票するとき、1回の投票で葉子さんが必ず代表者に選ばれるためには何票以上必要ですか。
(横浜雙葉中学校 2023年 問題1-(2))
【考え方】
2人の代表者を決めますから、10人の立候補者のうち3位以下になると落選します。
また、「何票以上必要」とありますから、「最も接戦になったとき」を考えます。
つまり、立候補者は10人いますが、実質、「3人の争い」となります。
よって、最も接戦になったときの様子は、次のように表すことができます。
250票÷3人=83票あまり1票
ですから、葉子さんが「余りの1票」をとれば必ず代表者に選ばれます。
83票+1票=84票
答え 84票以上
本問は、(投票数)÷(当選者数+1)の商より多く得票すると確実に当選するという「当選確実」問題の基本が確認できます。
今回は、近年の女子中の入試で出された「場合の数」の中から4問をご紹介しました。
「場合の数」では、はじめの3問のように、順序よく書き出したり調べたりする力が最も大切です。
さらに、4問目や1,2問目の別解のような「知識」もそれに劣らず重要です。
書き出す力がついてきたら、問題に応じた「知識」を増やしていけるような問題演習をしましょう。