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第661回 女子中の入試問題 文章題 4

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文章題の練習問題 2024年03月09日18時00分

「第661回 女子中の入試問題 文章題 4」

近年の女子中の入試で出された「文章題」の問題について考えています。

今回は、「平均算」「集合算」の問題を取り扱います。

 

1問目は、平均算の基本レベルの問題です。

 

【問題】A、B、C、D、Eの5人がテストを受けました。AとBとCとDの4人の平均点は78点、AとCとDとEの4人の平均点は80点、AとDとEの3人の平均点は79点、BとDの2人の平均点は77点でした。Aの得点は何点ですか。

(横浜共立学園中学校 2023年 問題1-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

条件を表に整理します。

「平均点×人数=合計点」を用いて合計点を計算します。

はじめに(イ)と(ウ)を比べると、Cの得点がわかります。

320点-237点=83点

Cの得点がわかったので、Cを除いた表に書きかえます。

312点-83点=229点 … (ア’)

次に(ア’)と(エ)を比べると、Aの点数がわかります。

229点-154点=75点

答え 75点

 

本問は、平均から合計を求めるという平均算の基本が確認できる問題です。

消去算との融合問題ですが、表に整理することで考えやすくなります。

 

2問目も、平均算の基本レベルの問題です。

 

【問題】Aさんがこれまでに受けたテストの平均点は63点でした。今回のテストの点数は81点で、Aさんのテストの平均点は66点になりました。今回のテストは何回目のテストですか。

(田園調布学園中等部 2023年 問題1-(6))

 

【考え方】

これまでに受けたテストの回数がわかりませんので、「平均点×テストの回数=合計点」を使うことができません。

このようなときは、面積図や天びん図を利用します。

ここでは面積図を用いることにします。

「平均」は「ならす(面積図を平らにする)」という意味です。

よって、図のの面積は同じです。

81点-66点=15点 … 

(66点-63点)×□回=15点 → □=5(回) … これまでに受けたテストの回数

ですから、今回のテストは

5回+1回=6回目

です。

答え 6回目

 

本問は、面積図を利用して解く平均算の考え方が確認できる問題です。

「平均×回数など=合計」と面積図はどちらも大切な知識です。

1、2問目を正解できなかったときは、平均算の基本問題でおさらいをしましょう。

 

3問目は、大問形式の平均算です。

 

【問題】1以上100以下の整数A、B、C、D、E、Fがあり、大小関係はA<B<C<D<E<Fとなっています。AとBの平均は20.5、EとFの平均は82、AとBとCの平均は34、DとEとFの平均は79であるとき、次の問いに答えなさい。

(1)CとDをそれぞれ求めなさい。

(2)BとEの平均は最も小さくていくつと考えられますか。

(学習院女子中等科 2023年 問題3)

 

【考え方】

(1)

条件を表に整理します。

「平均×個数=合計」を用いて合計を計算します。

(ア)と(ウ)を比べると、Cがわかります。

102-41=61 … C

また、(イ)と(エ)を比べると、Dがわかります。

237-167=73 … D

答え C 61、 D 73

 

(2)

表を整理し直します。

BとEの平均を最も小さくするということは、BとEの合計を最も小さくすることと同じなので、B、Eがそれぞれ最も小さい場合を考えます。

AとBの平均が20.5で、A<Bですから、最も小さいBは21です。

※A=Bと仮定して、41÷2=20.5 から B=21 を求めることもできます。

EとFについても数直線で考えます。

「82と73の差」と「82と100の差」とでは、「82と73の差」の方が小さいので、E=74とわかります。

(21+74)÷2=47.5

答え 47.5

 

本問の(1)は1問目と同じ考え方、(2)は「2数の平均」と「2数の真ん中」は同じであるという知識が確認できる問題です。

(2)が正解できなかったときは、解答例のように数直線で考えてみましょう。

 

4問目は、集合算の基本レベルの問題です。

 

【問題】ある学校の生徒160人に通学方法についてのアンケートをとったところ、バスを使っている生徒は全体の70%、自転車を使っている生徒は全体の25%、どちらも使っていない生徒は全体の10%でした。バスと自転車の両方を使っている生徒の人数を求めなさい。

(晃華学園中学校 2023年 問題1-(2))

 

【考え方】

分類項目がバスと自転車の2つですので、分類表またはベン図に整理します。

ここではベン図を利用することにします。

なので

70%+25%-★+10%=100% → ★=5%

です。

160人×0.05=8人

答え 8人

 

本問は、ベン図の読み取り方の基本が確認できる問題です。

なお、それぞれの通学者の生徒数を求めてから解いても構いません。

 

最後も、集合算の問題です。

 

【問題】ある中学校で、理科、社会、英語について、得意な人数を調べました。理科が得意な人は151人、社会が得意な人は172人、理科と英語が得意な人は60人、理科と社会が得意な人は73人、理科と英語が得意で社会は得意でない人は(①)人、理科のみ得意な人は76人、社会のみ得意な人は85人、英語のみ得意な人は80人で、3教科とも得意でない人は3人でした。このとき、この学校の中学生は(②)人です。(①)、(②)にあてはまる数を書きなさい。

(立教女学院中学校 2023年 問題1-(8) 問題文一部変更)

 

【考え方】

分類項目が理科と社会と英語の3つですので、ベン図を利用します。

151人-(76人+73人)=2人 … ①

172人-(85人+73人)=14人 … 

ですから、中学生全体の人数は

151人+85人+14人+80人+3人=333人 … ②

です。

答え ① 2、 ② 333

 

本問は、3つの分類項目があるベン図の読み取りが確認できる問題です。

条件がたくさんありますが、ひとつひとつの条件をていねいに整理すれば正解が可能な問題です。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「平均算」と「集合算」の問題をご紹介しました。

どの問題も考えやすくなるように条件を整理することがポイントとなっています。

正解できなかったときは、整理の仕方、読み取りに課題がないかをチェックして、修正していきましょう。

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文章題の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年03月09日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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