第651回 女子中の入試問題 平面図形 4
「第651回 女子中の入試問題 平面図形 4」
これまで、2023年度に女子中で出された「平面図形」の問題について考えています。
今回は「辺の比と面積比」がテーマの問題を見ていきます。
1問目は基本レベルの問題です。
既習であれば、5年生でもチャレンジしてみましょう。
【問題】下の図において、ABとEFとCDがすべて平行であるとき、x、yの値を求めなさい。
(晃華学園中学校 2023年 問題1-(5))
【考え方】
ABとCDが平行なので、三角形ABEと三角形DCEは相似です。
ですから、
AE:DE=AB:DC=4㎝:8㎝=1:2
です。
また、ABとEFが平行なので、三角形ABDと三角形EFDは相似です。
AE:DE=1:2
ですから、
BF:DF=1:2
です。
4㎝:x㎝=1:2 → x=8(㎝)
さらに、
AD:ED=(1+2):2=3:2
ですから、
AB:EF=3:2
です。
4㎝:y㎝=3:2 → y=8/3(㎝)
答え x 8、 y 8/3(2 2/3)
本問は、相似の基本が確認できる問題です。
正解できなかったときは、すぐに相似の基本問題で復習をしましょう。
2問目も大切な基本問題です。
【問題】正方形の折り紙を、下の図のように、辺とAが重なるように折りました。DF:FCを最も簡単な整数の比で表しなさい。
(洗足学園中学校 2023年 問題2-(2))
【考え方】
直角三角形の直角以外の2つの角に○、×をつけると、三角形の内角の和は180度より
○+×=90度
です。
また、向かい合う角(対頂角)は等しいことより、3つの直角三角形の角は図のようになります。
よって、三角形AGHと三角形EAIと三角形EFDは相似で、その3辺の比は3:4:5です。
また、四角形HGFIは四角形BGFCを折り返したものですから、
HG=BG=8㎝
HI=BC=AB=18㎝
です。
AI=18㎝-6㎝=12㎝=④ → ①=3㎝
EA=3㎝×5=15㎝
ED=18㎝-15㎝=3㎝=3□ → 1□=1㎝
DF=1㎝×4=4㎝
よって、
FC=18㎝-4㎝=14㎝
ですから、
DF:FC=4㎝:14㎝=2:7
です。
答え 2:7
本問は、折り返し(合同)と相似の基本が確認できる問題です。
前問と同様に定番の重要問題ですから、もし、まちがえてしまったときは、すぐに類題で復習をしましょう。
3問目は、大問形式の問題です。
【問題】図の長方形ABCDで、点E、Fは辺ADを3等分した点であり、点G、H、Iは辺BCを4等分した点です。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)GJ:JFを、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(2)GJ:JK:KFを、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(3)三角形GJHの面積と三角形EKFの面積の比を、もっとも簡単な整数の比で答えなさい。
(田園調布学園中等部 2023年 問題2)
【考え方】
(1)
点Jをかくために必要な線だけの図にします。
三角形GJHと三角形FJAは相似で、相似比は
GH:FA=6㎝:16㎝=3:8
です。
よって、GJ:JFも3:8です。
答え 3:8
(2)
相似な三角形GKIと三角形FKEに着目すると
GI:FE=12㎝:8㎝=3:2
なので、GK:KFも3:2です。
(1)で求めたGJ:JF=3:8と、いま求めたGK:KF=3:2を比合わせします。
よって、
GJ:JK:KF=15:(55-15-22):22=15:18:22
です。
(3)
点Hと点F、点Eと点Gを直線で結びます。
三角形GJHの面積は三角形GFHの3/(3+8)=3/11なので、
6㎝×11㎝÷2×3/11=9㎠
です。
三角形EKFの面積は三角形EGFの2/(3+2)=2/5なので、
8㎝×11㎝÷2×2/5=17.6㎠
です。
よって、三角形GJHの面積と三角形EKFの面積の比は
9㎠:17.6㎠=45:88
です。
答え 45:88
本問の(1)、(2)は、2組の相似な三角形と辺の比の基本が確認できる、これも大切な問題です。
少し難しい(3)については、解答例の他に、角JGHと角KFEが等しいことに着目して(2)の結果を利用する解き方もあります。
次が、今回の最後の問題です。
【問題】下の図のような平行四辺形ABCDがあります。辺AB、BC、CDを3等分、辺ADを5等分する点をとります。平行四辺形ABCDの面積が450㎠のとき、斜線部分の面積は何㎠ですか。
(淑徳与野中学校 2023年 問題2-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
斜線部分は面積公式のない図形ですから、「分ける」または「全体から引く」が解き方の基本です。
ここでは、斜線部分以外の図形が三角形なので、平行四辺形から4つの三角形を引いていくことにします。
はじめに、頂点Aを含む三角形に着目します。
三角形AEFと三角形ABDは角Aが共通ですから、面積比は角Aをはさむ2辺の積の比と同じです。
(三角形AEFの面積):(三角形ABDの面積)
=(AE×AF):(AB×AD)
=(2×1):(3×5)
=2:15
(450㎠÷2)×2/15=30㎠ … 三角形AEFの面積
残りの3つの三角形についても同様にして面積を求めます。
(450㎠÷2)×(1×2)/(3×3)=50㎠ … 頂点Bを含む三角形の面積
(450㎠÷2)×(1×2)/(3×3)=50㎠ … 頂点Cを含む三角形の面積
(450㎠÷2)×(1×2)/(3×5)=30㎠ … 頂点Dを含む三角形の面積
450㎠-(30㎠×2+50㎠×2)=290㎠
答え 290㎠
本問は、1つの角が共通な三角形の面積比について確認できる問題です。
さらに、平行四辺形を対角線で2つに分けて三角形を作るという点も重要です。
今回は、2023年度の女子中の入試で出された「辺の比と面積比」がテーマの問題から、基本であり、しかも重要な4つの問題をご紹介しました。
この単元を習い終えている場合、これらの重要な問題の中で解けない問題があったときは、できるだけ早急に類題で確認をしておきましょう。