ゴールデン・ウィーク中の勉強 6年生編
第231回 「ゴールデン・ウィーク中の勉強 6年生編」
八重桜の花をまだ見かけますが、ツツジが咲き始め、5月はもうすぐです。
4月29日(昭和の日)から5月6日(憲法記念日の振替休日)までの学習計画は、
もうできていますか。
最近、SS-1にいただくお問合せに、
「計算ミスが多くて…」というお悩みをよく見ます。
そこで今回は「計算ミス」というテーマでお話しします。
計算ミスについては、
相対性理論で有名なアインシュタイン博士も、
学生時代、女友達に送った手紙の中で
「計算ミスのため、予測した結果にならなかった」
と書き残しているくらいで、
天才であっても犯してしまうようです。
さてそんな「計算ミス」ですが、
中学受験のレベルでみれば、6つのパターに分類することができます。
1.逆算ができない
2.計算の工夫ができない
3.計算の速度が遅い
4.特殊な計算方法ができない
5.計算余白の使い方が上手くない
6.計算以外の算数の単元に弱点がある
これらの原因も、当然、パターンごとによって異なります。
1は、式に( )、{ }、[ ]が多く含まれたときに、起きやすくなります。
2は、計算の決まり(交換・結合・分配)を使わない、
「×6.28」→「×2×3.14」や「23×0.314」→「2.3×3.14」などのような
数の分解ができないことによります。
3は、計算演習の量不足が理由です。
4は、部分分数分解や繁分数など、知識の不足によるものです。
5は、鉛筆やシャープペンシルの持ち方が正しくないため、
書いた式などが自分の手によって隠れてしまう、
数字の形やその大きさが調節できない、
計算余白が不足してあちらこちらに書き散らかしてしまう等のケースです。
6は、苦手な単元の問題になると、問題を解く方に力をとられてしまい、
計算に回す力が少なくなることによって生じます。
このように、一口に「計算ミス」といっても、
実はいくつかのパターンと原因があり、
さらにそれらが複合している場合もあります。
ですから「計算ミス」をなくすには、
まずどのパターンなのか(1つとは限りません)を知り、
不足している力を補うことが必要になります。
パターン1~4があてはまりそうでしたら、次のチェック問題をしてみましょう。
※答えは最後にあります。
ノート1ページに1問という使い方をするとパターン5の要素が入りにくいので、
純粋に1~4のいずれに課題があるかを発見しやすくなります。
【チェック問題】
パターン1
パターン2
11×11+22×22+33×33+44×44-55×55
パターン3
パターン4
6年生は塾での特別授業・イベントや特別なテストがあったり、
GW用の宿題が出されたりしますので、
まとまった時間をとることはできないかもしれません。
しかし、チェックテストをして、1~4のいずれかにあてはまるようであれば、
この課題を今のうちに減らしておかなければ、
テストで思わぬ失点を招き、
ひいては希望するクラスでの授業が受けられないということもあり得ます。
計算の練習は、「演習不足」の場合を除き、
「量より質」がポイントです。
質が高くなれば、
量を増やしても正答率が下がりませんし、
時間の負担も大きくなりません。
計算問題は塾で問題集などを購入していると思いますから、そこから問題を選び出し、
5~10分、じっくりと計算に取り組んでみましょう。
パターン5については、GWはお子さんとの時間も作ることができると思いますので、
お子さんの学習のようすやテスト、ノートをご覧になってみて下さい。
パターン6の発見は少し難しいと思いますが、
お子さんのテストで
「解き方は正しいけれど計算をまちがえている」問題がないかを
確認しましょう。
次は、パターン6をチェックするための問題の一例です。
女子学院中学校 2014年度 入試問題 算数より
大問6 ある製品をA、B、Cの3人で作ります。Aは1時間に30個作ることができ、2時間の作業後30分間休憩します。Bは1時間に24個作ることができ、1時間30分の作業後30分間休憩します。Cは1時間に20個作ることができ、休憩はとりません。
(1) 3人が同時に作業を始めると何時間何分後に200個目が完成しますか。
(2) Aが作業を始めてから何分後に、BとCが作業を始めると、3時間32分後に200個目が完成しますか。
(問題文一部改題)
計算をしながら「順序よく」解いていく問題です。
求められている力は「丁寧な処理」と「概算を利用した見当付け」の力です。
ですから、
「1個作るのに必要な時間」や「1分で何個作れるか」を求めて
「見当をつける」とよいですし、
のように、30分刻みで整理してもOKです。
いずれの方法でも、3時間後にちょうど195個目まで完成していることがわかります。
残りは「たった」5個ですから、書き出しをします。
ちょうど5分で5個作ることができますから、3時間5分後 が(1)の答えです。
(2)は「3時間32分で200個」ですから、Aの個数が先にわかります。
(1)の図の「Aは30分で15個、2分で1個」を利用すると、
15個×6+1個=91個 が3時間32分でAが作る個数です。
残りは200個-91個=109個です。
やはり(1)の図から
「BとCは2.5時間で合わせて98個」作れることがわかりますので、
109個-98個=11個について考えます。
(1)同様に書き出すと、
となり、15分で11個を作ることができるとわかります。
3時間32分後-(2時間30分+15分間)=47分後 … (2)の答え
計算をしながら「順序よく」解いていく問題であるにもかかわらず、
まちがえるようであれば、
「丁寧に処理する力」または「概算力」に課題があると言えます。
「計算ミス」がどちらの理由なのかを、このような問題でチェックし、
発見された課題に応じた対策に、
GWを利用して取り組んでみましょう。
※チェック問題の答え(訂正しました)
パターン3の解答に誤りがありました。
読者の皆様にお詫びしして訂正いたします。
ノートからブログへ書き換えるときに
別の問題と見間違える「写しミス」を犯してしまいました。
次からはブログup時の答え点検を行うときに
紙に出力するようにします。
パターン1…0.75
パターン2…605
パターン3…2 3/8 ( 19/8 )
パターン4…11/45