2015年度中学入試 早稲田大学附属校・系属校
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第228回 「平成27年度 私立中学入試 この1問 早稲田大学附属校・系属校」をお届けします。
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、
早稲田大学附属校・系属校から、
早稲田中、早稲田実業中、早稲田大学高等学院中学部を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年の早稲田大学付属校・系属校中の入試問題は、
2016年の受験生にとっては知識と処理力のチェックに適した良問が
多く含まれています。
受験生はもちろん、5年生も挑戦し、
現時点でできていること、できていないことを確認してみましょう。
早稲田中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(2) ある3けたの整数Aがあります。Aの一の位を四捨五入して3倍した数と、Aを3倍して一の位を四捨五入した数が等しくなりました。Aの一の位の数字はいくつですか。すべて答えなさい。
一の位の数字は0~9の10通りですから、
すべてを調べても時間はさほどかかりません。
しかし、百の位と十の位の数字が不明です。
どう調べればよいのでしょう。
実は、数の性質でよく使われる、「数の分解」がピッタリはまる解き方です。
一の位の四捨五入がこの問題を解く鍵になっていますから、
仮に整数Aが234であったとすると、
230+4のように分解して考えるとOKです。
整数A=★☆0+□=①+□とすると、
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がらない★☆0(=①)か、
繰り上がる★☆0+10(=①+10)のどちらかになりますから、
3倍した数は、③か③+30です。
また、Aを3倍した数は、(★☆0+□)×3=③+□×3 ですから、
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がらない(□=5未満)とき、
③=(③+□×3)を四捨五入した数 → □×3=5未満 → □=0、1
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がる(□=5以上)とき、
③+30=(③+□×3)を四捨五入した数 → □×3=25以上35未満 → □=9
となり、Aの一の位の数字は0、1、9と求められます。
実は、
一の位だけが問題になっているので、
「百の位と十の位はどんな数字でもOKのはず」と考えれば、
計算しやすい100~109の10通りについて調べるという方法もあります。
100…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=300 → ○
101…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=300 → ○
102…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
103…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
104…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
105…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
106…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
107…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
108…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
109…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=330 → ○
このような数の性質の問題には、
「(数学的な)理屈で解く」方法と
「(○○のはずと見当をつけて)絞り込んで調べる」という
2つの解き方があります。
まずはどちらか一方を身につけ、さらにもう一方も使えるようになれば、
少しくらい難しい問題にも立ちすくむことなく、
解き進めていくことができると思います。
早稲田実業中 2015年度 入試問題 算数より
大問2-(1) 図1の立体は、半径12cmの円を底面とする円すいから、半径4cmの円を底面とする円すいを切り取った立体で、ABの長さは12cmです。この立体の側面(図1の影のついている面)にはペンキがぬられています。この立体を図2のように、平らな床の上をすべることなく矢印の方向に回転させると、床にペンキがぬられます。はじめに、この立体をABが床と重なるようにおき、そのあと2回ABが床に重なるまで回転させました。このとき、床にぬられてできた図形で、2度ぬられた部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
円すい台を転がす問題ですが、
基本的な解き方は円すいを転がす問題と同じです。
円すいで大切な公式は、
・円すいの側面積=母線×半径×円周率
・半径/母線=中心角/360°=1/回転数
です。
円すい台は、
切り取られた円すいを付け加えて円すいにしても
回転数は同じですから、
図から、円すい台が 18÷12=1.5回転 すると
床の上を1周することがわかります。
円すい台が1.5回転して1周するので、
1回転では2/3周ですから、
真上から見ると、
となりますので、
2度ぬられた部分は中心角が120°のおうぎ形の一部(せんす形)です。
(18cm×18cm-6cm×6cm)×3.14×120/360=301.44cm2
円すいの2つの公式はその成り立ちを理解しておかないと、
この問題のように少し違った確度から出題されたときに使いこなせません。
どうしてそのような公式になるのかを、
習うときによく理解しておきましょう。
早稲田大学高等学院中等部 2015年度 入試問題 算数より
大問3-(2) 円形である池のまわりを、太郎君と次郎君が同じ方向に向かって同時に走り出します。2人はそれぞれ一定の速さで走り、太郎君の方が次郎君よりも速く走ります。グラフは2人が走り始めてからの時間と、2人の間の距離の関係を表したものです。ここで、2人の間の距離とは、池にそって測った長さを表します。(中略)2人が池の周りを走り始めた後、太郎君はちょうど1周したところで逆まわりに走り出しました。図2は,2人が走り始めてから再び出会うまでの様子を表したものです。(小問(1)省略)
① 太郎君は池のまわりを何秒で1周するかを求めなさい。
② 太郎君の速さと次郎君の速さの比を、もっとも簡単な整数の比で表しなさい。
③ 図2のア、イにあてはまる数を求めなさい。
「隔たりグラフ」を読み取る、速さの問題です。
「太郎君と次郎君が同じ方向に向かって同時に走り出します」から、
70秒後の2人の位置関係は次のようになります。
このあと2人の隔たりは小さくなりますが、
「太郎君はちょうど1周したところで逆まわりに走り出した」ために、
2人の隔たりは大きくなり始めます。
ですから、①の答えは80秒です。
② 上の図の状態(2人の進んだ距離の差が半周になるのに70秒)と、
太郎君が1周するのに80秒かかることから、
となり、
太郎君の速さと次郎君の速さの比は 7:3 とわかります。
③ 2人の速さの比がわかりましたから、
1周を求めておくとわかりやすいと思います。
太郎君の速さ7×80秒=560 … 1周
次郎君の速さ3×80秒=240 … 太君郎が1周したときの次郎君の位置
なので、下の図のようになります。
80+40÷(7+3)=84(秒後) →ア=84
84+280÷(7+3)=112(秒後) →イ=112
隔たりグラフは読み取りが難しいグラフです。
しかし、近年の入試ではよく出題されていますので、
まずはこの問題でどこまで理解できているかを確かめておくといいですね。
今回はその単元を学んでいれば5年生でも挑戦できる問題を選びましたが、
入試問題ではこのような5年生で習う範囲の問題が多く出題されています。
そしてそれらの問題を正解することが合格の条件となっています。
つまり、取りこぼすと危険と云うことです。
6年生はもちろん、5年生は今習っていることをひとつひとつ定着させ、
問題演習で使えるようにしておくことが大切です。
本日の記事は、第228回 「平成27年度 私立中学入試 この1問 早稲田大学附属校・系属校」をお届けします。
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、
早稲田大学附属校・系属校から、
早稲田中、早稲田実業中、早稲田大学高等学院中学部を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年の早稲田大学付属校・系属校中の入試問題は、
2016年の受験生にとっては知識と処理力のチェックに適した良問が
多く含まれています。
受験生はもちろん、5年生も挑戦し、
現時点でできていること、できていないことを確認してみましょう。
早稲田中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(2) ある3けたの整数Aがあります。Aの一の位を四捨五入して3倍した数と、Aを3倍して一の位を四捨五入した数が等しくなりました。Aの一の位の数字はいくつですか。すべて答えなさい。
一の位の数字は0~9の10通りですから、
すべてを調べても時間はさほどかかりません。
しかし、百の位と十の位の数字が不明です。
どう調べればよいのでしょう。
実は、数の性質でよく使われる、「数の分解」がピッタリはまる解き方です。
一の位の四捨五入がこの問題を解く鍵になっていますから、
仮に整数Aが234であったとすると、
230+4のように分解して考えるとOKです。
整数A=★☆0+□=①+□とすると、
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がらない★☆0(=①)か、
繰り上がる★☆0+10(=①+10)のどちらかになりますから、
3倍した数は、③か③+30です。
また、Aを3倍した数は、(★☆0+□)×3=③+□×3 ですから、
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がらない(□=5未満)とき、
③=(③+□×3)を四捨五入した数 → □×3=5未満 → □=0、1
Aの一の位を四捨五入したとき、
繰り上がる(□=5以上)とき、
③+30=(③+□×3)を四捨五入した数 → □×3=25以上35未満 → □=9
となり、Aの一の位の数字は0、1、9と求められます。
実は、
一の位だけが問題になっているので、
「百の位と十の位はどんな数字でもOKのはず」と考えれば、
計算しやすい100~109の10通りについて調べるという方法もあります。
100…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=300 → ○
101…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=300 → ○
102…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
103…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
104…四捨五入してから3倍=300、3倍してから四捨五入=310 → ×
105…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
106…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
107…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
108…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=320 → ×
109…四捨五入してから3倍=330、3倍してから四捨五入=330 → ○
このような数の性質の問題には、
「(数学的な)理屈で解く」方法と
「(○○のはずと見当をつけて)絞り込んで調べる」という
2つの解き方があります。
まずはどちらか一方を身につけ、さらにもう一方も使えるようになれば、
少しくらい難しい問題にも立ちすくむことなく、
解き進めていくことができると思います。
早稲田実業中 2015年度 入試問題 算数より
大問2-(1) 図1の立体は、半径12cmの円を底面とする円すいから、半径4cmの円を底面とする円すいを切り取った立体で、ABの長さは12cmです。この立体の側面(図1の影のついている面)にはペンキがぬられています。この立体を図2のように、平らな床の上をすべることなく矢印の方向に回転させると、床にペンキがぬられます。はじめに、この立体をABが床と重なるようにおき、そのあと2回ABが床に重なるまで回転させました。このとき、床にぬられてできた図形で、2度ぬられた部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
円すい台を転がす問題ですが、
基本的な解き方は円すいを転がす問題と同じです。
円すいで大切な公式は、
・円すいの側面積=母線×半径×円周率
・半径/母線=中心角/360°=1/回転数
です。
円すい台は、
切り取られた円すいを付け加えて円すいにしても
回転数は同じですから、
図から、円すい台が 18÷12=1.5回転 すると
床の上を1周することがわかります。
円すい台が1.5回転して1周するので、
1回転では2/3周ですから、
真上から見ると、
となりますので、
2度ぬられた部分は中心角が120°のおうぎ形の一部(せんす形)です。
(18cm×18cm-6cm×6cm)×3.14×120/360=301.44cm2
円すいの2つの公式はその成り立ちを理解しておかないと、
この問題のように少し違った確度から出題されたときに使いこなせません。
どうしてそのような公式になるのかを、
習うときによく理解しておきましょう。
早稲田大学高等学院中等部 2015年度 入試問題 算数より
大問3-(2) 円形である池のまわりを、太郎君と次郎君が同じ方向に向かって同時に走り出します。2人はそれぞれ一定の速さで走り、太郎君の方が次郎君よりも速く走ります。グラフは2人が走り始めてからの時間と、2人の間の距離の関係を表したものです。ここで、2人の間の距離とは、池にそって測った長さを表します。(中略)2人が池の周りを走り始めた後、太郎君はちょうど1周したところで逆まわりに走り出しました。図2は,2人が走り始めてから再び出会うまでの様子を表したものです。(小問(1)省略)
① 太郎君は池のまわりを何秒で1周するかを求めなさい。
② 太郎君の速さと次郎君の速さの比を、もっとも簡単な整数の比で表しなさい。
③ 図2のア、イにあてはまる数を求めなさい。
「隔たりグラフ」を読み取る、速さの問題です。
「太郎君と次郎君が同じ方向に向かって同時に走り出します」から、
70秒後の2人の位置関係は次のようになります。
このあと2人の隔たりは小さくなりますが、
「太郎君はちょうど1周したところで逆まわりに走り出した」ために、
2人の隔たりは大きくなり始めます。
ですから、①の答えは80秒です。
② 上の図の状態(2人の進んだ距離の差が半周になるのに70秒)と、
太郎君が1周するのに80秒かかることから、
となり、
太郎君の速さと次郎君の速さの比は 7:3 とわかります。
③ 2人の速さの比がわかりましたから、
1周を求めておくとわかりやすいと思います。
太郎君の速さ7×80秒=560 … 1周
次郎君の速さ3×80秒=240 … 太君郎が1周したときの次郎君の位置
なので、下の図のようになります。
80+40÷(7+3)=84(秒後) →ア=84
84+280÷(7+3)=112(秒後) →イ=112
隔たりグラフは読み取りが難しいグラフです。
しかし、近年の入試ではよく出題されていますので、
まずはこの問題でどこまで理解できているかを確かめておくといいですね。
今回はその単元を学んでいれば5年生でも挑戦できる問題を選びましたが、
入試問題ではこのような5年生で習う範囲の問題が多く出題されています。
そしてそれらの問題を正解することが合格の条件となっています。
つまり、取りこぼすと危険と云うことです。
6年生はもちろん、5年生は今習っていることをひとつひとつ定着させ、
問題演習で使えるようにしておくことが大切です。