2015年度中学入試 フェリス女学院&豊島岡女子中
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第226回「平成27年度 私立中学入試 この1問 フェリス女学院&豊島岡女子中」をお届けします。
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、
首都圏のフェリス女学院中と豊島岡女子中を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年のフェリス女学院中の入試問題からは、
「平均」を学んでいれば、5年生でもチャレンジできそうな問題を選んでみました。
フェリス女学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(2) 花子さんは、国語、社会、理科、算数、英語の5科目のテストを受けました。花子さんの国語、社会、理科の合計得点は222点で、算数の得点は5科目の平均点より1.6点低く、英語の得点は算数の得点より5点高かったです。花子さんの算数の得点は何点ですか。
「平均」の学習では、「合計÷個数など=平均」などの「公式」を学びます。
フェリス女学院中のこの問題は、上記の公式を利用して
xや①を用いた計算式で解くことができます。
222点+①-1.6点+①-1.6点+5点=①×5科目
以下は、222点+1.8点+②=⑤ → ①=74.6点…5科目の平均点 → 73点
①解法は、方程式と同じ計算技法です。
この問題のように方程式とほぼ同じ使い方をすることもあれば、
単位のつけにくい「比」に利用することもあり、
中学受験では重宝します。
①解法を学ぶ機会があれば、是非習得しておきましょう。
ただ、①解法をここまで使いこなせない場合でも、
平均は「ならす」という意味であることを使えば正解できます。
「ならす」については、棒グラフや面積図を用いた説明で習います。
この問題も面積図を書いてみます…
が、平均点と国語、社会、理科の関係が不明です。
入試問題では、
このように「条件が1つ不足しているので解きにくい」ことによく直面し、
それに悩んで手が止まってしまうことがあります。
しかし、
そんなときこそ「両方とも試してみる」という、
「試行錯誤」をすることが大切です。
ここが中学受験算数のポイントです。
考えて悩むより、少し試してみるという行動が重要です。
この問題では、次の2つの場合が考えられますが…
実際に書いてみると、
図イは平均点より低い部分(赤斜線部)を平均点より高い部分で埋めても
まだ青線部分があまるため、平均点が図より高くなってしまい、
間違っていることがわかります。
一方、図アの場合は、
5点-1.6点=3.4点 が平均点より上にある部分ですから、
3.4点-1.6点=1.8点 で、図の緑部分を埋めることがわかります。
緑部分は3科目ですから、(222点+1.8点)÷3科目=74.6点 が平均点です。
74.6点-1.6点=73点
①解法は便利な計算技法ですから、これを身につけることは大切です。
同時に、「試行錯誤」も入試問題を解いていく上で欠かすことができません。
この両方の力をつけていくことが、中学受験にとっては重要です。
豊島岡女子中 2015年度 入試問題 算数より
大問5 下の図の正六角形ABCDEFで、点Mは辺BCの真ん中の点、点Nは辺EFの真ん中の点、点Pは辺AFの上にあります。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) Pが辺AFの真ん中の点となるとき、三角形PMNの面積は正六角形ABCDEFの面積の何倍ですか。
(2) 三角形PMNの面積が正六角形ABCDEFの面積の7/24倍のとき、AP:PFを求めなさい。
(3) MPとPNの長さの和が最も小さくなるとき、AP:PFを求めなさい。
これまでも多くの学校で出題されてきた正六角形の問題です。
(1) 与えられた点線は補助線です。これを活用しましょう。
点Pが辺AFの真ん中の点ですから、
正六角形の辺ABと三角形PMNの辺PMが平行になります。
上の図から、
三角形のOABと三角形PMNは、底辺の比が2:3、高さが同じですから、
三角形PMNの面積を③とすると、正六角形の面積は②×6になります。
③÷(②×6)=1/4倍です。
【別解】
平行を利用しない、
通常の解き方「正三角形をつけたす」も、
もちろんOKです!
この解き方をすると、
正六角形の面積がとでてきますから、
(2)の「7/24倍」が使いやすくなりますね。
(2) (1)の結果 1/4倍=6/24倍 ですから、
正六角形ABCDEFの面積を24とすると、
7/24倍となる(2)の三角形(青斜線部)の面積は7となり、
下の図のようになります。
右上図から、FQ=④とわかりますので、
AP=①、PF=③となり、1:3が(2)の答えです。
高さの比を辺の比に「投影」する技法は、
6年生の受験期には使えるようになっておきたい大切な技法です。
(3)「長さの和が最短」問題は、
「線対称移動して一直線になる」作図で解きます。
点MまたはNの一方を直線AFについて線対称になるよう、移動させます。
仮に点Nを移動させると、
のように、三角形PNN’が二等辺三角形になるので、PN=PN’となります。
そしてMN’が一直線なるので、
MP+PN’=MP+PN が最短となり、
この問題に適する図が完成します。
この問題で求めるのはAP:PFですから、
三角形PFN’に着目することになります。
すると、
のいずれかの三角形の相似を利用することになります。
あとは平行線を利用して、
から、AP:PF=7:1が求められます。
正六角形の難しい問題を解けるようになるためには、
辺と平行な線を利用して底辺の比と高さの比を見つける練習が大切だ
ということをこの問題は教えてくれます。
本日の記事は、第226回「平成27年度 私立中学入試 この1問 フェリス女学院&豊島岡女子中」をお届けします。
難関中を中心に問題をご紹介していきながら、
2016年度入試に向けて6年生がどのような点に気をつけていけばよいのか、
また5年生はどのような取り組みをしていけばよいのかを考えています。
今回は、
首都圏のフェリス女学院中と豊島岡女子中を取り上げ、
2015年度入試からそれぞれ1問ずつ見ていきます。
2015年のフェリス女学院中の入試問題からは、
「平均」を学んでいれば、5年生でもチャレンジできそうな問題を選んでみました。
フェリス女学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(2) 花子さんは、国語、社会、理科、算数、英語の5科目のテストを受けました。花子さんの国語、社会、理科の合計得点は222点で、算数の得点は5科目の平均点より1.6点低く、英語の得点は算数の得点より5点高かったです。花子さんの算数の得点は何点ですか。
「平均」の学習では、「合計÷個数など=平均」などの「公式」を学びます。
フェリス女学院中のこの問題は、上記の公式を利用して
xや①を用いた計算式で解くことができます。
222点+①-1.6点+①-1.6点+5点=①×5科目
以下は、222点+1.8点+②=⑤ → ①=74.6点…5科目の平均点 → 73点
①解法は、方程式と同じ計算技法です。
この問題のように方程式とほぼ同じ使い方をすることもあれば、
単位のつけにくい「比」に利用することもあり、
中学受験では重宝します。
①解法を学ぶ機会があれば、是非習得しておきましょう。
ただ、①解法をここまで使いこなせない場合でも、
平均は「ならす」という意味であることを使えば正解できます。
「ならす」については、棒グラフや面積図を用いた説明で習います。
この問題も面積図を書いてみます…
が、平均点と国語、社会、理科の関係が不明です。
入試問題では、
このように「条件が1つ不足しているので解きにくい」ことによく直面し、
それに悩んで手が止まってしまうことがあります。
しかし、
そんなときこそ「両方とも試してみる」という、
「試行錯誤」をすることが大切です。
ここが中学受験算数のポイントです。
考えて悩むより、少し試してみるという行動が重要です。
この問題では、次の2つの場合が考えられますが…
実際に書いてみると、
図イは平均点より低い部分(赤斜線部)を平均点より高い部分で埋めても
まだ青線部分があまるため、平均点が図より高くなってしまい、
間違っていることがわかります。
一方、図アの場合は、
5点-1.6点=3.4点 が平均点より上にある部分ですから、
3.4点-1.6点=1.8点 で、図の緑部分を埋めることがわかります。
緑部分は3科目ですから、(222点+1.8点)÷3科目=74.6点 が平均点です。
74.6点-1.6点=73点
①解法は便利な計算技法ですから、これを身につけることは大切です。
同時に、「試行錯誤」も入試問題を解いていく上で欠かすことができません。
この両方の力をつけていくことが、中学受験にとっては重要です。
豊島岡女子中 2015年度 入試問題 算数より
大問5 下の図の正六角形ABCDEFで、点Mは辺BCの真ん中の点、点Nは辺EFの真ん中の点、点Pは辺AFの上にあります。このとき、次の問いに答えなさい。
(1) Pが辺AFの真ん中の点となるとき、三角形PMNの面積は正六角形ABCDEFの面積の何倍ですか。
(2) 三角形PMNの面積が正六角形ABCDEFの面積の7/24倍のとき、AP:PFを求めなさい。
(3) MPとPNの長さの和が最も小さくなるとき、AP:PFを求めなさい。
これまでも多くの学校で出題されてきた正六角形の問題です。
(1) 与えられた点線は補助線です。これを活用しましょう。
点Pが辺AFの真ん中の点ですから、
正六角形の辺ABと三角形PMNの辺PMが平行になります。
上の図から、
三角形のOABと三角形PMNは、底辺の比が2:3、高さが同じですから、
三角形PMNの面積を③とすると、正六角形の面積は②×6になります。
③÷(②×6)=1/4倍です。
【別解】
平行を利用しない、
通常の解き方「正三角形をつけたす」も、
もちろんOKです!
この解き方をすると、
正六角形の面積がとでてきますから、
(2)の「7/24倍」が使いやすくなりますね。
(2) (1)の結果 1/4倍=6/24倍 ですから、
正六角形ABCDEFの面積を24とすると、
7/24倍となる(2)の三角形(青斜線部)の面積は7となり、
下の図のようになります。
右上図から、FQ=④とわかりますので、
AP=①、PF=③となり、1:3が(2)の答えです。
高さの比を辺の比に「投影」する技法は、
6年生の受験期には使えるようになっておきたい大切な技法です。
(3)「長さの和が最短」問題は、
「線対称移動して一直線になる」作図で解きます。
点MまたはNの一方を直線AFについて線対称になるよう、移動させます。
仮に点Nを移動させると、
のように、三角形PNN’が二等辺三角形になるので、PN=PN’となります。
そしてMN’が一直線なるので、
MP+PN’=MP+PN が最短となり、
この問題に適する図が完成します。
この問題で求めるのはAP:PFですから、
三角形PFN’に着目することになります。
すると、
のいずれかの三角形の相似を利用することになります。
あとは平行線を利用して、
から、AP:PF=7:1が求められます。
正六角形の難しい問題を解けるようになるためには、
辺と平行な線を利用して底辺の比と高さの比を見つける練習が大切だ
ということをこの問題は教えてくれます。