2015年度中学入試 大阪星光学院中
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第219回 「平成27年度 私立中学入試 大阪星光学院中」をお届けします。
明日から首都圏の中学入試が始まります。
受験生の皆さんが持てる力をすべて出し切られることを祈っています。
首都圏の入試については次回以降で見ていこうと思いますので、
今回は前回同様、2015年度 関西エリアの中学入試から、
大阪星光学院中の入試問題をみていきます。。
2015年度の大阪星光学院中 算数(120点 60分)の出題分野は
以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
学校から公表されているデータには、
2014年度 受験者平均73.1点 合格者平均90.4点
2015年度 受験者平均77.4点 合格者平均95.0点
と、4.5点ほど高くなっています。
C難度以下だけの問題の正解では今年の合格者平均点に達しませんので、
D難度の問題も合格者は正解できたということだと思います。
そこでD難度の問題を中心に、
平成27年度の大阪星光学院中の入油脂問題を3問、ご紹介します。
大阪星光学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問2 右の図のような、底面の半径8cm、高さ18cmの円柱の容器に、高さ17cmのところまで水が入っています。ここに、底面の半径8cm、高さ24cmの円すいを、矢印の向きに沈めていきます。水が容器からこぼれ始めるとき、円すいは何cm沈んでいますか。円周率を3.14とします。(一部改題 (2)省略)
問題の条件を投影図に表すことが水問題の大原則です。
上図から、ア=イを利用することがわかります。
イは円すいと相似形ですから、半径を①とすれば高さは③となるので
8×8×π×1=①×①×π×③÷3 から、①=4cm → ③=12cm
または
イ:円すいの体積比は、
8×8×π×1:8×8×π×24÷3=1:8 なので、
イと円すいの相似比は1:2 → 24cm÷2=12cm
の、いずれかの方法で解くことができます。
相似比と体積比の使い方がポイントになっている1問でした。
大問3 A、B、Cの3人がX地点とY地点の間を往復する競走をしました。3人同時にX地点を出発し、AはY地点まで行って1.5km折り返してきたところでY地点に向かうBと出会い、そこからさらに1.5km進んだところでY地点に向かうCと出会いました。AがX地点に戻ってきたとき、BはX地点まであと5kmのところにいました。3人の速さはそれぞれ一定であったとして、AとBの速さの比を最も簡単な整数の比で求めなさい。(一部改題 (2)(3)省略)
この問題の類題には「誘導」が1問ついていることが多いので、
「問題を解く方針」がたてやすいのですが、この問題にはありません。
ですから、
これまでの勉強が「理解」ではなく、「暗記」になっていた受験生には
難しく感じたかも知れません。
距離の条件しかないこと、
小問(1)ではAとBについてだけの問題であることから、
次のような線分図に条件の整理ができます。
類題演習にあった「誘導」は、
「AとBが出会ったとき、AはBよりも何km多く歩いていましたか」
という問題です。
実はこの問題、時間条件はないのですがダイヤグラムに整理すると、
この誘導がなくても正解を出しやすいのです。
往復問題なので、下のグラフのように突き抜けたグラフに表すことができ、
アのときの距離の差=3km がよくわかります。
ですから、アまでの時間:イまでの時間=3:5 とわかり、
アまでにAが進んだ距離:イまでのAが進んだ距離=3:5 と求められます。
ですから、Aの速さ:Bの速さ=3:2が答えです。
「N回目の出会い」では、
「2人が進んだ距離の和が時間に比例する」ことを用いますが、
本問は
「2人が進んだ距離の差が時間に比例する」ことを利用しています。
大問3はこの(1)が正解できれば、(2)(3)は芋づる式に正解できる問題なので、
点差のつく問題だったと言えそうです。
大問5
(1) 4けたの整数2□□5で13の倍数となるものか( )個あります。
(2) 4けたの整数で13の倍数となるもののうち最も小さいものは( )です。また、6けたの整数2□01□5で13の倍数となるものが( )個あります。
大阪星光学院中は、平成8年の入試で
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」
という問題を出しましたから、
2015=5×13×31を題材にして2015年の入試に13の倍数を
出題したのかもしれません。
(1) 個数を求めるので最も小さい13の倍数と最も大きい13の倍数を考えます。
最小…2005÷13=154あまり3 より、13×155
最大…2995÷13=230あまり5 より、13×230
一の位の数が「5」になるのは 13×□□5のときだけですから、
□□5=155、165、175、185、195、205、215、225の8通りだけです。
→8個
※(230-155)÷10=7あまり5 より、7+1=8(個) でもOKです。
(2) 前半は4けたの整数で最も小さい整数を求める問題ですから、
1000に最も近い13の倍数を探します。
1000÷13=76あまり12 1000+1=1001 または13×77=1001
この「1001が13の倍数」という前半の答えが、
後半の誘導になっているのですが…、
かなり難しい問題です。
過去問の
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」
の解き方を参考にします。
100円玉1個で99円の商品を買うと1円のおつりがもらえることから、
3□5□□=30000+□500+□□ のように分解して考えます。
100円玉=99円の商品を1個+おつり1円 なので
10000円=99円の商品×100個+おつり100円=99円の商品×101個+おつり1円
30000円=99円の商品×303個+おつり3円 → 99の倍数+3
□500円=100円×□5=99円の商品×□5個+おつり□5円
→ 99の倍数+□5
なので
3□5□□=99の倍数+3+□5+□□ となります。
ですから、「3+□5+□□=99の倍数」となれば、3□5□□も99の倍数です。
つまり、3□5□□を2けた区切りの3|5□|□□にして筆算に表し、
から、
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」は39501と求められます。
13の倍数も1001が13の倍数であることから、
2□01□5を3けた区切りにします。
1000円札1枚では1001円の商品を買うのに1円足りませんので、
2□0000=1000円×2□0=1001円の商品×2□0個-2□0円
→ 13の倍数-2□0
2□01□5=13の倍数-2□0+1□5 となります。
ですから、2□0と1□5の差が13の倍数になればよいので
(ア、イ)=(0、3)(1、4)(2、5)(3、6)(4、7)(5、8)(6、9)
の7通りだけです。 →7個
平成27年度の大阪星光学院中の入試問題は、
易しいレベルから難しいレベルまでの定番問題が
バランスよく出題されていました。
新6年生は今年の前半に塾で習う定番の問題をきちんと身につけ、
このような入試問題にも対応できる力をつけていきましょう。
本日の記事は、第219回 「平成27年度 私立中学入試 大阪星光学院中」をお届けします。
明日から首都圏の中学入試が始まります。
受験生の皆さんが持てる力をすべて出し切られることを祈っています。
首都圏の入試については次回以降で見ていこうと思いますので、
今回は前回同様、2015年度 関西エリアの中学入試から、
大阪星光学院中の入試問題をみていきます。。
2015年度の大阪星光学院中 算数(120点 60分)の出題分野は
以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
学校から公表されているデータには、
2014年度 受験者平均73.1点 合格者平均90.4点
2015年度 受験者平均77.4点 合格者平均95.0点
と、4.5点ほど高くなっています。
C難度以下だけの問題の正解では今年の合格者平均点に達しませんので、
D難度の問題も合格者は正解できたということだと思います。
そこでD難度の問題を中心に、
平成27年度の大阪星光学院中の入油脂問題を3問、ご紹介します。
大阪星光学院中 2015年度 入試問題 算数より
大問2 右の図のような、底面の半径8cm、高さ18cmの円柱の容器に、高さ17cmのところまで水が入っています。ここに、底面の半径8cm、高さ24cmの円すいを、矢印の向きに沈めていきます。水が容器からこぼれ始めるとき、円すいは何cm沈んでいますか。円周率を3.14とします。(一部改題 (2)省略)
問題の条件を投影図に表すことが水問題の大原則です。
上図から、ア=イを利用することがわかります。
イは円すいと相似形ですから、半径を①とすれば高さは③となるので
8×8×π×1=①×①×π×③÷3 から、①=4cm → ③=12cm
または
イ:円すいの体積比は、
8×8×π×1:8×8×π×24÷3=1:8 なので、
イと円すいの相似比は1:2 → 24cm÷2=12cm
の、いずれかの方法で解くことができます。
相似比と体積比の使い方がポイントになっている1問でした。
大問3 A、B、Cの3人がX地点とY地点の間を往復する競走をしました。3人同時にX地点を出発し、AはY地点まで行って1.5km折り返してきたところでY地点に向かうBと出会い、そこからさらに1.5km進んだところでY地点に向かうCと出会いました。AがX地点に戻ってきたとき、BはX地点まであと5kmのところにいました。3人の速さはそれぞれ一定であったとして、AとBの速さの比を最も簡単な整数の比で求めなさい。(一部改題 (2)(3)省略)
この問題の類題には「誘導」が1問ついていることが多いので、
「問題を解く方針」がたてやすいのですが、この問題にはありません。
ですから、
これまでの勉強が「理解」ではなく、「暗記」になっていた受験生には
難しく感じたかも知れません。
距離の条件しかないこと、
小問(1)ではAとBについてだけの問題であることから、
次のような線分図に条件の整理ができます。
類題演習にあった「誘導」は、
「AとBが出会ったとき、AはBよりも何km多く歩いていましたか」
という問題です。
実はこの問題、時間条件はないのですがダイヤグラムに整理すると、
この誘導がなくても正解を出しやすいのです。
往復問題なので、下のグラフのように突き抜けたグラフに表すことができ、
アのときの距離の差=3km がよくわかります。
ですから、アまでの時間:イまでの時間=3:5 とわかり、
アまでにAが進んだ距離:イまでのAが進んだ距離=3:5 と求められます。
ですから、Aの速さ:Bの速さ=3:2が答えです。
「N回目の出会い」では、
「2人が進んだ距離の和が時間に比例する」ことを用いますが、
本問は
「2人が進んだ距離の差が時間に比例する」ことを利用しています。
大問3はこの(1)が正解できれば、(2)(3)は芋づる式に正解できる問題なので、
点差のつく問題だったと言えそうです。
大問5
(1) 4けたの整数2□□5で13の倍数となるものか( )個あります。
(2) 4けたの整数で13の倍数となるもののうち最も小さいものは( )です。また、6けたの整数2□01□5で13の倍数となるものが( )個あります。
大阪星光学院中は、平成8年の入試で
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」
という問題を出しましたから、
2015=5×13×31を題材にして2015年の入試に13の倍数を
出題したのかもしれません。
(1) 個数を求めるので最も小さい13の倍数と最も大きい13の倍数を考えます。
最小…2005÷13=154あまり3 より、13×155
最大…2995÷13=230あまり5 より、13×230
一の位の数が「5」になるのは 13×□□5のときだけですから、
□□5=155、165、175、185、195、205、215、225の8通りだけです。
→8個
※(230-155)÷10=7あまり5 より、7+1=8(個) でもOKです。
(2) 前半は4けたの整数で最も小さい整数を求める問題ですから、
1000に最も近い13の倍数を探します。
1000÷13=76あまり12 1000+1=1001 または13×77=1001
この「1001が13の倍数」という前半の答えが、
後半の誘導になっているのですが…、
かなり難しい問題です。
過去問の
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」
の解き方を参考にします。
100円玉1個で99円の商品を買うと1円のおつりがもらえることから、
3□5□□=30000+□500+□□ のように分解して考えます。
100円玉=99円の商品を1個+おつり1円 なので
10000円=99円の商品×100個+おつり100円=99円の商品×101個+おつり1円
30000円=99円の商品×303個+おつり3円 → 99の倍数+3
□500円=100円×□5=99円の商品×□5個+おつり□5円
→ 99の倍数+□5
なので
3□5□□=99の倍数+3+□5+□□ となります。
ですから、「3+□5+□□=99の倍数」となれば、3□5□□も99の倍数です。
つまり、3□5□□を2けた区切りの3|5□|□□にして筆算に表し、
から、
「3□5□□となる99の倍数のうち最大のもの」は39501と求められます。
13の倍数も1001が13の倍数であることから、
2□01□5を3けた区切りにします。
1000円札1枚では1001円の商品を買うのに1円足りませんので、
2□0000=1000円×2□0=1001円の商品×2□0個-2□0円
→ 13の倍数-2□0
2□01□5=13の倍数-2□0+1□5 となります。
ですから、2□0と1□5の差が13の倍数になればよいので
(ア、イ)=(0、3)(1、4)(2、5)(3、6)(4、7)(5、8)(6、9)
の7通りだけです。 →7個
平成27年度の大阪星光学院中の入試問題は、
易しいレベルから難しいレベルまでの定番問題が
バランスよく出題されていました。
新6年生は今年の前半に塾で習う定番の問題をきちんと身につけ、
このような入試問題にも対応できる力をつけていきましょう。