2015年度中学入試 灘中
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第218回 「平成27年度 私立中学入試 灘中1」をお届けします。
あと1週間もすれば、首都圏で中学入試がスタートします。
一方で関西エリアの中学入試はほぼ終わりました。
そこで今回は、2015年度 関西エリアの中学入試より、
灘中の算数1日目の問題をご紹介します。
2015年度の灘中 算数1日目の出題分野は以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としていますが、少し辛目になりました。
(本来、大問6はE、大問12はDかもしれません…)
問題ひとつひとつの難度をみると「超難問」はないのですが、
これまでの灘中の問題にはあまり見られなかった表現方法や
テーマが出題されたためでしょうか、
低得点の争いとなりました。
学校が公表しているデータによれば、
2014年度 受験者平均57.2点 合格者平均73.3点
2015年度 受験者平均41.9点 合格者平均54.4点
と、大幅に点数が下がっています。
それでは早速、灘中の平成27年度入試(1日目)から3問、ご紹介します。
灘中 2015年度 入試問題 算数1日目より
大問3 2桁の整数Aがあります。Aの一の位と十の位を入れ替えると、2桁の整数になりました。さらに、その数にAをかけると、12で割り切れる整数になりました。Aとして考えられる整数は□個あります。
灘中では倍数判定法を利用する問題がよく出されます。
「2桁の整数Aがあります。Aの一の位と十の位を入れ替えると、
2桁の整数になりました」という条件から、
整数Aには「0」が使われていないことがわかります。
そこで2けたの整数Aを☆◆で表す(十の位が☆、一の位が◆)とすれば、
この問題は ☆◆×◆☆=12の倍数 となる整数を探す問題だ
ということになります。
12=2×2×3 ですから、
☆◆または◆☆の少なくともどちらか一方は3の倍数です。
ところが、3の倍数判定法は「各位の数の和が3の倍数」ですから、
☆◆が3の倍数であれば、自動的に◆☆も3の倍数です。
以上より、☆、◆の候補は、
3の倍数どうし
…(3,3)(3,6)(3,9)(6,6)(6,9)(9,9)
3で割って1あまる整数と2余る整数の組
…(1,2)(1,5)(1,8)(4,2)(4,5)(4,8)(7,2)(7,5)(7,8)
の15組に絞られます。
これらの組からできる2けたの整数の積について、
「×2」を2個以上含む組を選びます。
すると奇数どうしの5組はあてはまりません。
残った10組のうち、
(3,6)(6,6)(6,9)(1,2)(4,2)(4,8)(7,2)
の7組が条件に合います。
(6,6)の組だけは「66」の1個しか2けたの整数ができませんから、
整数Aの個数は 2個×7組-1個=13個 と求められます。
倍数判定法や素因数分解は「数の性質」の問題を解くときによく使います。
新6年生は2月にならうこの単元をよく勉強しておくといいですね。
大問6 1/43を小数で表すと、1/43=0.02325581395348837209302…となり、21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。そして1/43、2/43、…、42/43はどれも、21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。次の□に、1以上42以下の整数を入れなさい。
(1) □/43を小数で表すと、小数第12位が8、小数第13位が3になります。
(2) □/43を小数で表すと、小数第12位が3、小数第13位が9になります。
循環小数となる分数のうち、特別な分数が「ダイヤル数(巡回数)」になっている
ことがテーマの問題です。
この問題が初見であれば難度はEです。
しかし、1/7、2/7、…6/7がダイヤル数であることをテーマにした問題を
塾で練習したことがあるのではないかと思い、Dとした問題です。
ダイヤル数とは
1/7=0.14285714…
2/7=0.28571428…
3/7=0.42857142…
4/7=0.57142857…
5/7=0.71428571…
6/7=0.85714285…
のように、
循環する部分(赤字)が「1の次は4、4の次は2、2の次は8、…」と
順を変えずに出てくる数のことです。
(1) 右図のようになるので、□/43=0.2558…です。
1/43=0.023…なので、0.255÷0.023≒11から□=11とわかります。
(2)も同様にすると、□/43=0.0930…から、
0.093÷0.023≒4なので、□=4です。
一からすべてを計算するととても大変な問題ですから、
もし類似問題を解いたことがなければ「パス」するのが良さそうな問題です。
大問10 右の図について、ACの長さは8cmです。また、ア、イの角の大きさはともに60度です。直線AC、BDが交わる点をEとすると、AEの長さは□cmです。また、三角形AEDの面積は、1辺の長さが1cmの正三角形の面積の□倍です。
「60度ということは、30度問題か正三角形かな…」と着眼できればOKです。
(1)上図のように正三角形を完成させるとチョウチョ型相似ができあがるので、
FE:EC=5:3 から、FE=5cm×5/8=25/8cm
→ 3cm+25/8cm=6 1/8cm…AE(49/8cmも可)と求められます。
(1)がヒントになっていますので、(1)を正解できれば(2)は簡単です。
上図のように隣辺比と区切り面積を利用すると、30 5/8倍だとわかります。
2015年度の灘中の算数1日目に「超難問」はありませんでした。
しかし、気の抜ける問題もありませんでしたから、
60分という試験時間を短く感じたことでしょう。
今年は合格者平均点が直近5ヶ年で最も低かったのですが、
例年は解答数15~16のうち10~11を正解することが目標です。
ということは平均して1問あたり5分ですから、
難度C以下の問題を5分かけずに正解させ、
正解数10にたりないところは難度Dから残り時間を投入して解くことになります。
灘中を目指す新6年生は、夏までの学習で
難度C以下の問題を5分かけずに正解させられるようにしておけるといいですね。
本日の記事は、第218回 「平成27年度 私立中学入試 灘中1」をお届けします。
あと1週間もすれば、首都圏で中学入試がスタートします。
一方で関西エリアの中学入試はほぼ終わりました。
そこで今回は、2015年度 関西エリアの中学入試より、
灘中の算数1日目の問題をご紹介します。
2015年度の灘中 算数1日目の出題分野は以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としていますが、少し辛目になりました。
(本来、大問6はE、大問12はDかもしれません…)
問題ひとつひとつの難度をみると「超難問」はないのですが、
これまでの灘中の問題にはあまり見られなかった表現方法や
テーマが出題されたためでしょうか、
低得点の争いとなりました。
学校が公表しているデータによれば、
2014年度 受験者平均57.2点 合格者平均73.3点
2015年度 受験者平均41.9点 合格者平均54.4点
と、大幅に点数が下がっています。
それでは早速、灘中の平成27年度入試(1日目)から3問、ご紹介します。
灘中 2015年度 入試問題 算数1日目より
大問3 2桁の整数Aがあります。Aの一の位と十の位を入れ替えると、2桁の整数になりました。さらに、その数にAをかけると、12で割り切れる整数になりました。Aとして考えられる整数は□個あります。
灘中では倍数判定法を利用する問題がよく出されます。
「2桁の整数Aがあります。Aの一の位と十の位を入れ替えると、
2桁の整数になりました」という条件から、
整数Aには「0」が使われていないことがわかります。
そこで2けたの整数Aを☆◆で表す(十の位が☆、一の位が◆)とすれば、
この問題は ☆◆×◆☆=12の倍数 となる整数を探す問題だ
ということになります。
12=2×2×3 ですから、
☆◆または◆☆の少なくともどちらか一方は3の倍数です。
ところが、3の倍数判定法は「各位の数の和が3の倍数」ですから、
☆◆が3の倍数であれば、自動的に◆☆も3の倍数です。
以上より、☆、◆の候補は、
3の倍数どうし
…(3,3)(3,6)(3,9)(6,6)(6,9)(9,9)
3で割って1あまる整数と2余る整数の組
…(1,2)(1,5)(1,8)(4,2)(4,5)(4,8)(7,2)(7,5)(7,8)
の15組に絞られます。
これらの組からできる2けたの整数の積について、
「×2」を2個以上含む組を選びます。
すると奇数どうしの5組はあてはまりません。
残った10組のうち、
(3,6)(6,6)(6,9)(1,2)(4,2)(4,8)(7,2)
の7組が条件に合います。
(6,6)の組だけは「66」の1個しか2けたの整数ができませんから、
整数Aの個数は 2個×7組-1個=13個 と求められます。
倍数判定法や素因数分解は「数の性質」の問題を解くときによく使います。
新6年生は2月にならうこの単元をよく勉強しておくといいですね。
大問6 1/43を小数で表すと、1/43=0.02325581395348837209302…となり、21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。そして1/43、2/43、…、42/43はどれも、21桁ごとに同じ数字をくり返す小数になります。次の□に、1以上42以下の整数を入れなさい。
(1) □/43を小数で表すと、小数第12位が8、小数第13位が3になります。
(2) □/43を小数で表すと、小数第12位が3、小数第13位が9になります。
(一部改題)
循環小数となる分数のうち、特別な分数が「ダイヤル数(巡回数)」になっている
ことがテーマの問題です。
この問題が初見であれば難度はEです。
しかし、1/7、2/7、…6/7がダイヤル数であることをテーマにした問題を
塾で練習したことがあるのではないかと思い、Dとした問題です。
ダイヤル数とは
1/7=0.14285714…
2/7=0.28571428…
3/7=0.42857142…
4/7=0.57142857…
5/7=0.71428571…
6/7=0.85714285…
のように、
循環する部分(赤字)が「1の次は4、4の次は2、2の次は8、…」と
順を変えずに出てくる数のことです。
(1) 右図のようになるので、□/43=0.2558…です。
1/43=0.023…なので、0.255÷0.023≒11から□=11とわかります。
(2)も同様にすると、□/43=0.0930…から、
0.093÷0.023≒4なので、□=4です。
一からすべてを計算するととても大変な問題ですから、
もし類似問題を解いたことがなければ「パス」するのが良さそうな問題です。
大問10 右の図について、ACの長さは8cmです。また、ア、イの角の大きさはともに60度です。直線AC、BDが交わる点をEとすると、AEの長さは□cmです。また、三角形AEDの面積は、1辺の長さが1cmの正三角形の面積の□倍です。
「60度ということは、30度問題か正三角形かな…」と着眼できればOKです。
(1)上図のように正三角形を完成させるとチョウチョ型相似ができあがるので、
FE:EC=5:3 から、FE=5cm×5/8=25/8cm
→ 3cm+25/8cm=6 1/8cm…AE(49/8cmも可)と求められます。
(1)がヒントになっていますので、(1)を正解できれば(2)は簡単です。
上図のように隣辺比と区切り面積を利用すると、30 5/8倍だとわかります。
2015年度の灘中の算数1日目に「超難問」はありませんでした。
しかし、気の抜ける問題もありませんでしたから、
60分という試験時間を短く感じたことでしょう。
今年は合格者平均点が直近5ヶ年で最も低かったのですが、
例年は解答数15~16のうち10~11を正解することが目標です。
ということは平均して1問あたり5分ですから、
難度C以下の問題を5分かけずに正解させ、
正解数10にたりないところは難度Dから残り時間を投入して解くことになります。
灘中を目指す新6年生は、夏までの学習で
難度C以下の問題を5分かけずに正解させられるようにしておけるといいですね。