2015年度中学入試 浦和明の星女子中
皆さんこんにちは、中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員の前田昌宏です。
本日の記事は、第217回 「平成27年度 私立中学入試」をお届けします。
今日、1月17日は灘中、神戸女学院中、大阪星光学院中など、
近畿圏の統一入試初日です。
受験生の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮されますよう、願ってやみません。
しかし、この時点ではどんな問題が出題されたのかがわかりません。
関西の入試については次週以降でご紹介します。
そこで今回は、首都圏入試の前哨戦となる埼玉県の中学入試より、
浦和明の星女子中の問題をみていきます。
2015年度の入試問題の出題分野は以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
出題傾向、問題の難度とも前年並みで、
受験生の基礎力をチェックするための問題(難度A~C)が全体の6割弱、
残りは算数が得意かどうかを計る問題(難度D・E)でした。
学校が公表しているデータによれば、
2014年度 受験者平均62.5点 合格者平均72.6点
2015年度 受験者平均52.0点 合格者平均62.6点
と、今年度の方が10点ほど低くなっています。
これはDレベルの問題が昨年よりも1問増えた
=Cレベルの問題が1問減ったためだと考えています。
それでは早速、浦和明の星女子中の平成27年度入試から3問、ご紹介します。
浦和明の星女子中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(3) 下の図のように,一周100mのトラック上に、P地点から1mおきに1個ずつ合計100個の石が並べてあります。この石を拾いながら、A君とB君がトラックを回り続けます。A君はP地点から出発し、歩き始めてから6mおきに立ち止まり、石があればそれを拾います。また、B君はA君の後を追って、P地点から出発し、歩き始めてから5mおきに立ち止まり、石があれば拾います。ただし、2人が立ち止まった所の石が、すでに拾われてなくなっているときは、何もせず先へ進みます。このとき、最後まで2人に拾われず、トラック上に残る石の個数は何個ですか。
2つの大切なポイントがこの問題にはあります。
それは「実験」と「極端」です。
いきなり100mで考えて、困って手が止まるお子さんは、
「小さな数値で試してみる」
といいですね。(実験)
つまり、
トラックは10m、A君は4mおき、B君は5mおきに
止まって石を拾うことにします。
さらに「B君はA君の後を追って」とありますが、
これも「A君が拾えるだけ石を拾ってから」出発させます。(極端)
すると、
A君は、1周目に4m、8m、
2周目の2m地点(1周目から数えて12mのように表記)、16m、20m(P地点)
の石を拾い終えると、
残った石を拾うことができないことがわかります。
そこで
B君が出発して、5m(10m=P地点には石がない)の石を拾い終えると、
残った石を拾うことができないことがわかります。
つまり、
4mと5mの公倍数20mの倍数(P地点)にある石は
A君が拾うのでB君は拾えません。
ですから、
20÷4+10÷5-20÷20=6(個)の石が拾われ、
10個-6個=4個が残ることになります。
「極端」な「実験」から、
「重なりを引く」
=A君は拾った石を半分に割って(怪力?!)、B君のために残してくれている
という方針が見つけられます。
A君がP地点から出発してP地点で再び止まるまでに、
6mと100mの最小公倍数300m÷100m=3周しますから、
300m÷6m=50個の石を拾います。
B君は、100m÷5m=20個のはずですが、
6mと5mの公倍数の地点にある石 300m÷30m=10個は
A君に拾われています。
よって、100個-(50個+20個-10個)=40個が残った石の個数です。
大問1の問題としてはやや難しいので、
「後回し」または「パス」してもOKだと思います。
大問1-(6) 2倍濃縮のめんつゆ160gと5倍濃縮のめんつゆ80gを混ぜ合わせて、240gのめんつゆを作りました。ここで、例えは5倍濃縮のめんつゆとは、5倍濃縮のめんつゆ1gに対して4gの水を加えて混ぜると、5gのちょうど良い濃さのめんつゆが作れるものをいいます。次の(ア)(イ)にあてはまる数を答えなさい。
混ぜ合わせて作った240gのめんつゆに(ア)gの水を加えてうすめると、ちょうどよい濃さのめんつゆになります。したがって、この240gのめんつゆは(イ)倍濃縮のめんつゆです。
この問題にも大切なポイントがあります。
「例えば~」は、問題を解く重要なヒントだということです。
この問題では、お母さんにはおなじみかもしれませんが、
子どもさんには聞き慣れない「○倍濃縮」という言葉が出てきます。
しかし、
作問者はそのことを考慮して、
「例えば~」で親切な説明をつけてくれています。
この部分を読んでから問題に取りかかれば、
「○倍濃縮って…何? 混乱しそう!」
という事にはなりません。
2倍濃縮のめんつゆ160gに加える水 → 160g×(2-1)=160g
5倍濃縮のめんつゆ80gに加える水 → 80g×(5-1)=320g
160g+320g=480g…(ア)
つまり、水480g÷めんつゆ240g=2倍の水を加える →3倍濃縮…(イ)
「例えば~」を読めば難しくはありませんから、
この問題は正解しておきたいですね。
大問3 あるクラスの生徒の人数は36人です。このクラスで、算数のテストを行いました。このテストでは、最高点を取った人は1人だけで、その人を除いて平均点を計算すると、71.4点となりました。また、最低点を取った人も1人だけで、その人を除いて平均点を計算すると、72.8点となりました。
(1) 最高点と最低点の差を答えなさい。 (難度C)
さらに、最高点と最低点を取った2人の平均点を計算すると、クラス全体の平均点より3.5点低くなりました。
(2) 最高点とクラス全体の平均点との差を答えなさい。 (難度D)
(3) クラス全体の平均点を答えなさい。 (難度D)
問題の構成からわかるように、「誘導形式」です。
(1)は条件を整理すると、
となるので、
「平均とくれば合計」の原則を利用すると、
72.8点×35人-71.4点×35人=49点が求められます。
(2)「1人を除く平均算」は、「てんびん法」を利用すると解きやすいです。
上の図から、
最高点とクラス全体の平均点との差は
49点÷2-3.5点=21点
とわかります。
(3)も、上の図に(2)でわかったことを記入すると、
となるので、
が求められます。
(3)の難度はDとしていますが、(2)が正解できれば簡単ですね。
2015年度の入試は始まったばかりなのでまだ数校しかみていませんが、
やはり今年も5年生までの学習内容で解ける問題(難度A~Cの一部)が
配点の50%以上を占めています。
ですから新5年生は今年の学習がとても大切です。
計算力と知識は日々鍛え、
また毎週の宿題演習をとおして解法を身につけていきましょう。
本日の記事は、第217回 「平成27年度 私立中学入試」をお届けします。
今日、1月17日は灘中、神戸女学院中、大阪星光学院中など、
近畿圏の統一入試初日です。
受験生の皆さんが最高のパフォーマンスを発揮されますよう、願ってやみません。
しかし、この時点ではどんな問題が出題されたのかがわかりません。
関西の入試については次週以降でご紹介します。
そこで今回は、首都圏入試の前哨戦となる埼玉県の中学入試より、
浦和明の星女子中の問題をみていきます。
2015年度の入試問題の出題分野は以下の通りでした。
難易度は私見で、(易)A⇔E(難)としています。
出題傾向、問題の難度とも前年並みで、
受験生の基礎力をチェックするための問題(難度A~C)が全体の6割弱、
残りは算数が得意かどうかを計る問題(難度D・E)でした。
学校が公表しているデータによれば、
2014年度 受験者平均62.5点 合格者平均72.6点
2015年度 受験者平均52.0点 合格者平均62.6点
と、今年度の方が10点ほど低くなっています。
これはDレベルの問題が昨年よりも1問増えた
=Cレベルの問題が1問減ったためだと考えています。
それでは早速、浦和明の星女子中の平成27年度入試から3問、ご紹介します。
浦和明の星女子中 2015年度 入試問題 算数より
大問1-(3) 下の図のように,一周100mのトラック上に、P地点から1mおきに1個ずつ合計100個の石が並べてあります。この石を拾いながら、A君とB君がトラックを回り続けます。A君はP地点から出発し、歩き始めてから6mおきに立ち止まり、石があればそれを拾います。また、B君はA君の後を追って、P地点から出発し、歩き始めてから5mおきに立ち止まり、石があれば拾います。ただし、2人が立ち止まった所の石が、すでに拾われてなくなっているときは、何もせず先へ進みます。このとき、最後まで2人に拾われず、トラック上に残る石の個数は何個ですか。
(難度D)
2つの大切なポイントがこの問題にはあります。
それは「実験」と「極端」です。
いきなり100mで考えて、困って手が止まるお子さんは、
「小さな数値で試してみる」
といいですね。(実験)
つまり、
トラックは10m、A君は4mおき、B君は5mおきに
止まって石を拾うことにします。
さらに「B君はA君の後を追って」とありますが、
これも「A君が拾えるだけ石を拾ってから」出発させます。(極端)
すると、
A君は、1周目に4m、8m、
2周目の2m地点(1周目から数えて12mのように表記)、16m、20m(P地点)
の石を拾い終えると、
残った石を拾うことができないことがわかります。
そこで
B君が出発して、5m(10m=P地点には石がない)の石を拾い終えると、
残った石を拾うことができないことがわかります。
つまり、
4mと5mの公倍数20mの倍数(P地点)にある石は
A君が拾うのでB君は拾えません。
ですから、
20÷4+10÷5-20÷20=6(個)の石が拾われ、
10個-6個=4個が残ることになります。
「極端」な「実験」から、
「重なりを引く」
=A君は拾った石を半分に割って(怪力?!)、B君のために残してくれている
という方針が見つけられます。
A君がP地点から出発してP地点で再び止まるまでに、
6mと100mの最小公倍数300m÷100m=3周しますから、
300m÷6m=50個の石を拾います。
B君は、100m÷5m=20個のはずですが、
6mと5mの公倍数の地点にある石 300m÷30m=10個は
A君に拾われています。
よって、100個-(50個+20個-10個)=40個が残った石の個数です。
大問1の問題としてはやや難しいので、
「後回し」または「パス」してもOKだと思います。
大問1-(6) 2倍濃縮のめんつゆ160gと5倍濃縮のめんつゆ80gを混ぜ合わせて、240gのめんつゆを作りました。ここで、例えは5倍濃縮のめんつゆとは、5倍濃縮のめんつゆ1gに対して4gの水を加えて混ぜると、5gのちょうど良い濃さのめんつゆが作れるものをいいます。次の(ア)(イ)にあてはまる数を答えなさい。
混ぜ合わせて作った240gのめんつゆに(ア)gの水を加えてうすめると、ちょうどよい濃さのめんつゆになります。したがって、この240gのめんつゆは(イ)倍濃縮のめんつゆです。
(難度C)
この問題にも大切なポイントがあります。
「例えば~」は、問題を解く重要なヒントだということです。
この問題では、お母さんにはおなじみかもしれませんが、
子どもさんには聞き慣れない「○倍濃縮」という言葉が出てきます。
しかし、
作問者はそのことを考慮して、
「例えば~」で親切な説明をつけてくれています。
この部分を読んでから問題に取りかかれば、
「○倍濃縮って…何? 混乱しそう!」
という事にはなりません。
2倍濃縮のめんつゆ160gに加える水 → 160g×(2-1)=160g
5倍濃縮のめんつゆ80gに加える水 → 80g×(5-1)=320g
160g+320g=480g…(ア)
つまり、水480g÷めんつゆ240g=2倍の水を加える →3倍濃縮…(イ)
「例えば~」を読めば難しくはありませんから、
この問題は正解しておきたいですね。
大問3 あるクラスの生徒の人数は36人です。このクラスで、算数のテストを行いました。このテストでは、最高点を取った人は1人だけで、その人を除いて平均点を計算すると、71.4点となりました。また、最低点を取った人も1人だけで、その人を除いて平均点を計算すると、72.8点となりました。
(1) 最高点と最低点の差を答えなさい。 (難度C)
さらに、最高点と最低点を取った2人の平均点を計算すると、クラス全体の平均点より3.5点低くなりました。
(2) 最高点とクラス全体の平均点との差を答えなさい。 (難度D)
(3) クラス全体の平均点を答えなさい。 (難度D)
問題の構成からわかるように、「誘導形式」です。
(1)は条件を整理すると、
となるので、
「平均とくれば合計」の原則を利用すると、
72.8点×35人-71.4点×35人=49点が求められます。
(2)「1人を除く平均算」は、「てんびん法」を利用すると解きやすいです。
上の図から、
最高点とクラス全体の平均点との差は
49点÷2-3.5点=21点
とわかります。
(3)も、上の図に(2)でわかったことを記入すると、
となるので、
が求められます。
(3)の難度はDとしていますが、(2)が正解できれば簡単ですね。
2015年度の入試は始まったばかりなのでまだ数校しかみていませんが、
やはり今年も5年生までの学習内容で解ける問題(難度A~Cの一部)が
配点の50%以上を占めています。
ですから新5年生は今年の学習がとても大切です。
計算力と知識は日々鍛え、
また毎週の宿題演習をとおして解法を身につけていきましょう。