数の性質「数の規則性1」
第215回 「あと1ヶ月で6年生になる5年生の学習 数の規則性1」
新年、おめでとうございます。
今年も当ブログをご覧いただければ幸いです。
さて、いよいよ明日1月4日は岡山中の入試日です。
さらに5日は岡山白陵中があり、
岡山県はもちろん、兵庫県西部の受験生にとっては入試本番が、
大阪、兵庫、京都、奈良の受験生にとっては前哨戦の始まりです。
すべてのお子さんが悔いなく受験されることを願ってやみません。
さて、このブログでは前回まで、「数の性質」を見てきました。
「数の性質」とくれば、次は「数の規則性」でしょう。
「数の規則性」の代表は、「数列」「数表」です。
数列については、
等差数列、等比数列、群数列、フィボナッチ数列などが、
中学入試に出題されます。
特に等差数列の2つの公式は、
等差数列よりもやや難しい群数列の計算にもよく使われますので、
非常に重要です。
□番目の項=初項+公差×(□-1)
初項から□番目(末項)までの和=(初項+末項)×□÷2
連続する整数の和も、この公式から求められます。
(例) 1+2+3+…+15=(1+15)×15÷2=120
使えるだけでなく、公式の理由も押さえておきましょう。
1+2+3+…+15 をもう1組、逆順に並べて加えると、
「2数の和=16」が15組できます。
16×15 は、1+2+3+…+15 2組分の和なので、
「÷2」で1組分の和になります。
では、群数列の問題で等差数列の公式がどのように使われるかを確認します。
高槻中 2014年度 中学入試 算数より
大問1-(2)
次のように横一列に並んだカードがあります。
各カードに書かれている分数は、ある規則によって決めてあります。
① 左から15番目のカードに書かれている分数を求めなさい。
② 2/6が書かれているカードは、左から何番目にありますか。
③ 書かれている分数を小数に直すと0.5になるカードのうち、左から5番目にあるものは、全カードのうちで左から何番目にありますか。
群数列は、いくつかのかたまり(群=グループ、組)に切り分けられることから、
その名がついています。
分数の群数列の場合、
(1) 分子だけに着目
(2) 分母だけに着目
(3) 分子と分母の和に着目
(4) 分子と分母の差に着目
の4つが切り分ける場所を見つける基本的な着目方法です。
この問題では「分母に着目」してみると、
1 1 2 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 …
となっています。
このように分母だけに着目すると、いわゆる数列ですから、
「隣り合う数の差を調べる」という大原則に従いましょう。
から、黒い数字(0、-1、-2、-3)が「切れ目」とわかります。
分母がとてもきれいに区切られました。
① 左から15番目なので、1個+2個+…+□個=15個 → □=5 となり、
第5群の最後(5番目)までとわかります。 答え1/5
② 2/6の次が1/7ですから、第7群の6番目です。
1+2+…+6+6=(1+6)×6÷2+6 または (1+7)×7÷2-1=27(番目)
③ 約分して1/2になる分数は、1/2、2/4、3/6、4/8、5/10、6/12、…なので、
左から5番目は5/10です。
5/10から右は、4/11、3/12、2/13、1/14 となっていますから、
第14群の10番目です。
(別解) 分子+分母=5+10=15から第14群、分母=10から10番目
(1+13)×13÷2+10 または (1+14)×14÷2-4=101(番目)
「○○は☆☆に着目」と「等差数列の公式」を利用して、
短時間で正確に答えを出せるようになれれば、
6年生=受験生としてのスキルを身につけられたことになります。
現5年生は、来年の2月~春期講習などで「数の規則性」を学ぶときに、
この点に注意して勉強していきましょう。
次に「数表」の問題では、どのような力が必要なのかを見てみましょう。
数表の基本問題は「三角形タイプ(俵積み)」「四角形タイプ(正方形)」です。
「四角形タイプ(正方形)」とは、
右のように、ある決まりに従って、1から順に整数を並べます。たてに12個、横に12個並べたとき、一番右下にある整数を答えなさい。
のような問題のことです。
「四角形タイプは、平方数に着目」するのが原則です。
このことから、たてに12個、横に12個並べると、
最大の平方数144は上から1段目、
左から12列目にあることがわかります。
?は144よりも12-1=11段下にあるので、
144-11=133と求められます。
これが応用問題になるとどうなるのでしょうか?
右のように、3を中心として反時計回りに3の倍数を並べます。3の右上にある15を(右1、上1)=15、3の右下にある9を(右1、下1)=9のように表すことを決まりとします。また、12は(右1、上0)=12とします。
(1) (右3、上2)=□ の□にあてはまる数を求めなさい。
(2) 300を問題の決まりにしたがって表しなさい。
応用問題になると、
「1から順に整数を~」や「三角形タイプ」「四角形タイプ」等でなく、
「3の倍数を順に~」や「渦巻き状」などに変わっていきます。
しかし、
3の倍数は、3=3×1、6=3×2、9=3×3、12=3×4、…のように、
「3×」を見ないと、1、2、3、4…のように、
「1から順に並ぶ整数」という基本に戻すことが可能です。
数の規則性の問題では(1)が
「まずは書き出してみてください。ヒントが見つかりますよ」
という、問題作成者のサービスであることが多いです。
まず、書き出してみましょう。
(1)の答えは108です。
さらに、「3×」がない形に直すと右のように、四角形に近いので「平方数」に着目してみます。
偶数の平方数は、
4=2×2 → (右1、上0)=4 …1番目の平方数
16=4×4 → (右2、上1)=16…2番目の平方数
36=6×6 → (右3、上2)=36…3番目の平方数
・
・
・
奇数の平方数は、
1=1×1 → (左0、下0)=1 …1番目の平方数
9=3×3 → (左1、下1)=9 …2番目の平方数
25=5×5 → (左2、下2)=25…3番目の平方数
・
・
・
のようになっています。
(説明上、1の位置を上記のように表現しました。)
(2)は300ですから、300÷3=100=10×10
→ 偶数の平方数のうち、5番目ですから、(右5、上4)=300とわかります。
「渦巻き状」の問題には難問も多いのですが、
四角形タイプの解き方を利用することができました。
このように見ていくと
「数表」に必要な力は、
数表の基本形(三角形タイプ、四角形タイプ)の解き方をよく理解すること、
「数の性質」で学ぶ「素因数分解」を他の単元でも使えるようにしておくこと
ではないかと思います。
塾のカリキュラムでいえば、
2月で学んだことは3月に利用でき、3月で学んだことは4月に利用できるので、
新6年生になったときには、毎回の学習をその週のうちに身につけていくことが、
5年生以上に大切になっているということです。
ですから、5年生の学習に不安があるときは、
1ヶ月後の6年生の授業が始まるまでに、
補強しておかなければいけないと思います。
新年、おめでとうございます。
今年も当ブログをご覧いただければ幸いです。
さて、いよいよ明日1月4日は岡山中の入試日です。
さらに5日は岡山白陵中があり、
岡山県はもちろん、兵庫県西部の受験生にとっては入試本番が、
大阪、兵庫、京都、奈良の受験生にとっては前哨戦の始まりです。
すべてのお子さんが悔いなく受験されることを願ってやみません。
さて、このブログでは前回まで、「数の性質」を見てきました。
「数の性質」とくれば、次は「数の規則性」でしょう。
「数の規則性」の代表は、「数列」「数表」です。
数列については、
等差数列、等比数列、群数列、フィボナッチ数列などが、
中学入試に出題されます。
特に等差数列の2つの公式は、
等差数列よりもやや難しい群数列の計算にもよく使われますので、
非常に重要です。
□番目の項=初項+公差×(□-1)
初項から□番目(末項)までの和=(初項+末項)×□÷2
連続する整数の和も、この公式から求められます。
(例) 1+2+3+…+15=(1+15)×15÷2=120
使えるだけでなく、公式の理由も押さえておきましょう。
1+2+3+…+15 をもう1組、逆順に並べて加えると、
「2数の和=16」が15組できます。
16×15 は、1+2+3+…+15 2組分の和なので、
「÷2」で1組分の和になります。
では、群数列の問題で等差数列の公式がどのように使われるかを確認します。
高槻中 2014年度 中学入試 算数より
大問1-(2)
次のように横一列に並んだカードがあります。
各カードに書かれている分数は、ある規則によって決めてあります。
① 左から15番目のカードに書かれている分数を求めなさい。
② 2/6が書かれているカードは、左から何番目にありますか。
③ 書かれている分数を小数に直すと0.5になるカードのうち、左から5番目にあるものは、全カードのうちで左から何番目にありますか。
群数列は、いくつかのかたまり(群=グループ、組)に切り分けられることから、
その名がついています。
分数の群数列の場合、
(1) 分子だけに着目
(2) 分母だけに着目
(3) 分子と分母の和に着目
(4) 分子と分母の差に着目
の4つが切り分ける場所を見つける基本的な着目方法です。
この問題では「分母に着目」してみると、
1 1 2 1 2 3 1 2 3 4 1 2 3 …
となっています。
このように分母だけに着目すると、いわゆる数列ですから、
「隣り合う数の差を調べる」という大原則に従いましょう。
から、黒い数字(0、-1、-2、-3)が「切れ目」とわかります。
分母がとてもきれいに区切られました。
① 左から15番目なので、1個+2個+…+□個=15個 → □=5 となり、
第5群の最後(5番目)までとわかります。 答え1/5
② 2/6の次が1/7ですから、第7群の6番目です。
1+2+…+6+6=(1+6)×6÷2+6 または (1+7)×7÷2-1=27(番目)
③ 約分して1/2になる分数は、1/2、2/4、3/6、4/8、5/10、6/12、…なので、
左から5番目は5/10です。
5/10から右は、4/11、3/12、2/13、1/14 となっていますから、
第14群の10番目です。
(別解) 分子+分母=5+10=15から第14群、分母=10から10番目
(1+13)×13÷2+10 または (1+14)×14÷2-4=101(番目)
「○○は☆☆に着目」と「等差数列の公式」を利用して、
短時間で正確に答えを出せるようになれれば、
6年生=受験生としてのスキルを身につけられたことになります。
現5年生は、来年の2月~春期講習などで「数の規則性」を学ぶときに、
この点に注意して勉強していきましょう。
次に「数表」の問題では、どのような力が必要なのかを見てみましょう。
数表の基本問題は「三角形タイプ(俵積み)」「四角形タイプ(正方形)」です。
「四角形タイプ(正方形)」とは、
右のように、ある決まりに従って、1から順に整数を並べます。たてに12個、横に12個並べたとき、一番右下にある整数を答えなさい。
のような問題のことです。
「四角形タイプは、平方数に着目」するのが原則です。
このことから、たてに12個、横に12個並べると、
最大の平方数144は上から1段目、
左から12列目にあることがわかります。
?は144よりも12-1=11段下にあるので、
144-11=133と求められます。
これが応用問題になるとどうなるのでしょうか?
右のように、3を中心として反時計回りに3の倍数を並べます。3の右上にある15を(右1、上1)=15、3の右下にある9を(右1、下1)=9のように表すことを決まりとします。また、12は(右1、上0)=12とします。
(1) (右3、上2)=□ の□にあてはまる数を求めなさい。
(2) 300を問題の決まりにしたがって表しなさい。
応用問題になると、
「1から順に整数を~」や「三角形タイプ」「四角形タイプ」等でなく、
「3の倍数を順に~」や「渦巻き状」などに変わっていきます。
しかし、
3の倍数は、3=3×1、6=3×2、9=3×3、12=3×4、…のように、
「3×」を見ないと、1、2、3、4…のように、
「1から順に並ぶ整数」という基本に戻すことが可能です。
数の規則性の問題では(1)が
「まずは書き出してみてください。ヒントが見つかりますよ」
という、問題作成者のサービスであることが多いです。
まず、書き出してみましょう。
(1)の答えは108です。
さらに、「3×」がない形に直すと右のように、四角形に近いので「平方数」に着目してみます。
偶数の平方数は、
4=2×2 → (右1、上0)=4 …1番目の平方数
16=4×4 → (右2、上1)=16…2番目の平方数
36=6×6 → (右3、上2)=36…3番目の平方数
・
・
・
奇数の平方数は、
1=1×1 → (左0、下0)=1 …1番目の平方数
9=3×3 → (左1、下1)=9 …2番目の平方数
25=5×5 → (左2、下2)=25…3番目の平方数
・
・
・
のようになっています。
(説明上、1の位置を上記のように表現しました。)
(2)は300ですから、300÷3=100=10×10
→ 偶数の平方数のうち、5番目ですから、(右5、上4)=300とわかります。
「渦巻き状」の問題には難問も多いのですが、
四角形タイプの解き方を利用することができました。
このように見ていくと
「数表」に必要な力は、
数表の基本形(三角形タイプ、四角形タイプ)の解き方をよく理解すること、
「数の性質」で学ぶ「素因数分解」を他の単元でも使えるようにしておくこと
ではないかと思います。
塾のカリキュラムでいえば、
2月で学んだことは3月に利用でき、3月で学んだことは4月に利用できるので、
新6年生になったときには、毎回の学習をその週のうちに身につけていくことが、
5年生以上に大切になっているということです。
ですから、5年生の学習に不安があるときは、
1ヶ月後の6年生の授業が始まるまでに、
補強しておかなければいけないと思います。