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比と割合「損益売買算」

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割合の練習問題 2014年12月06日18時00分
比と割合「損益売買算」
第211回 「2014年度入試問題と小5の学習 比と割合の文章題3」





今回のテーマは「損益売買算」、いわゆる「商売」の問題です。


損益売買算が苦手という理由のひとつに、「用語がわからない」事があります。


・原価(仕入れ値)
・定価…原価+見込み利益
・売価(売値)…定価×(1-割引率)または定価-割引額
・利益…売価-原価
・損失…原価-売価





損益売買算を学ぶまで、「用語」として触れる機会があまりないことが
その大きな原因となっています。


この他に、「見込む」という言葉の意味や、
「仕入れ値」が題意から「1個の仕入額」と「仕入れ総額」のどちらなのか
読み取れないこともあります。


同様に、「利益」という用語も、
問題によって「1個の利益」と「利益総額」に使い分けられます。


「あまり用語がわかっていないな…」と感じられたら、
スーパーや市場などでのお買い物に連れて行って、
「30%引き」「5割引」「税込」「税別」
という言葉に触れる機会を作ってみましょう。


余談ですが、支払いをする前に、
「3000円で足りそう」とか「4500円くらいかな」という概算の練習もできますし、
「1872円です」と言われて「2022円用意すればおつりの小銭が少なくてすむ」という
入試にも出題されるテーマに触れることが可能です。


ということで、まずは「両替問題」をご紹介します。


「両替問題」は損益売買算ではないのですが、
商売に関連した身の回りからの題材ということでご紹介しておきます。




六甲中 2014年入試問題 算数より

大問8-(2)
1円玉、5円玉、10円玉の3種類の硬貨を使い、硬貨の枚数が最も少なくなるような両替を行います。B君は1円玉と5円玉をそれぞれ1枚以上、合わせて10枚持っていました。両替を行ったところ、B君が持っている硬貨の枚数は6枚になりました。B君は何円持っていましたか。考えられる金額をすべて答えなさい。(問題(1)(3)省略)








両替問題は2013年の豊島岡女子中でも出題がありました。


バスに乗ると両替機が付いていますが、問題とは逆の「お金を崩す」用ですから、
少し結びつきにくいかも知れません。


それでも両替機を利用したことがない場合よりは、イメージできると思います。


1円玉が5枚あれば5円玉1枚に両替できますので、
硬貨の枚数を4枚減らすことができます。

また、
5円玉が2枚あれば10円玉1枚に両替できますので、
1枚減らすことができます。


この問題では、10枚の硬貨が6枚になったのですから、
両替によって4枚減ったということです。


つまり、4×□+1×■=4 なので、
4枚減る×1回+1枚減る×0回
または
4枚減る×0回+1枚減る×4回
の2通りがあります。


4枚減る×1回+1枚減る×0回のとき

1円玉を5円玉に両替することが4回できただけで、
5円玉を10円玉に両替できなかったということは、
5円玉が1枚しかなかったということですから、
(1円玉21枚、5円玉1枚)→(1円玉1枚、5円玉5枚)
とわかります。

しかし、この場合はさらに両替されて
(1円玉1枚、5円玉1枚、10円玉2枚)
となるので合計枚数が4枚となって、問題の条件に合いません。


4枚減る×0回+1枚減る×4回のとき

1円玉を5円玉に両替することができず、
5円玉を10円玉に4回だけ両替できたということは、
1円玉が4枚以下で
5円玉が8枚または9枚あった
ということですから、
(1円玉2枚、5円玉8枚)→(1円玉2枚、5円玉0枚、10円玉4枚)
または
(1円玉1枚、5円玉9枚)→(1円玉1枚、5円玉1枚、10円玉4枚)
になったとわかります。

つまり、 1円玉×2枚+5円玉×8枚=42円、1円玉×1枚+5円玉×9枚=46円




両替経験がないとピンとこないことがあるかも知れません。
お金に関わる問題が解けるようになるには、
日常生活における経験も重要だ
なと思わされる問題です。







次は「税込」などをテーマにした問題です。
「用語」の理解度のチェックにピッタリです。


大阪星光中 2013年入試問題 算数より

大問1-(3)
「定価の10%引きの10%引き」の価格は「定価の20%引き」の価格より、定価の何%高いまたは安いですか。また、「税込価格から5%引き」の価格は、「税抜き価格」より、税抜き価格の何%高いまたは安いですか。ただし、消費税は5%とします。(問題一部改題)







前半の問題は定価を100として(1としてもOK)計算しましょう。

「定価の10%引きの10%引き」の価格=100×0.9×0.9=81
「定価の20%引き」の価格=100×0.8=80
なので、
(81-80)÷100=0.01 →1%高いとわかります。


後半は「売価100→税込価格105→税抜き価格(=売価)100」という、
「用語」の理解が十分でないと正解は難しいかも知れません。





「税込価格から5%引き」の価格=105×0.95=99.75
「税抜き価格」=100
(100-99.75)÷100=0.0025 →0.25%安いとわかります。


問題前半は「比×比」の利用ですが、
後半は「税込価格」「税抜き価格」という用語の理解が必要な問題でした。




今回、最後にご紹介する問題は、定番の「多数売り(バーゲンセール)問題」です。


この定番問題は、整理がポイントになっています。
正確に整理できれば5年生でも全問正解が可能な問題です。


関西学院中 2012年入試問題 算数(第2日)より

大問4
ある商品を120個仕入れ、利益を見込んで定価をつけました。これを定価の15%引きで売ったところ、仕入れた個数の1割が売れ残りましたが、全体で仕入れ総額の7.1%の利益がありました。仕入れ値の何%増しで定価をつけたか求めなさい。









「多数売り(バーゲンセール)問題」とくれば、表に整理が大原則です。






仕入れた個数の1割が売れ残ったので、
120個×0.1=12個…売れ残り
から、上の表のようにまとめられます。


売上(の総額)ウ=9180○なので、






から、
9180○×100/107.1=60000/7○…仕入れ総額(イ)がわかるので、
60000/7○÷120個=500/7○…1個の仕入れ値
100÷500/7=1.4 →40%増し


(別解)
「仕入総額の7.1%」に着目した場合は、1個の仕入れ値を①として、
①×120個=120○…仕入れ総額(イ)
120○×1.071=128.52○…売上総額(ウ)
128.52○÷108個=1.19○…売価
1.19○÷0.85=1.4○…定価
1.4○÷①=1.4 → 40%増し
という求め方になります。




損益売買算が入試問題に出題されるとき、
3問目の問題のように計算過程で求めた値が「割りきれない」こともあります


自分の解き方に自信が無ければ割りきれない値が出た段階で
「手が止まってしまう」かも知れません。


仮に割りきれない値が求められたとしても、
「この解き方で大丈夫!」と言い切れるようになるくらいまで、
整理の方法を身につけておきましょう。

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割合の練習問題 2014年12月06日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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