比と割合「倍数算・濃さ」
第209回 「2014年度入試問題と小5の学習 比と割合の文章題」
今回のテーマは「比と割合の文章題」です。
倍数算2題と食塩水の濃さの問題を1題ご紹介します。
倍数算は条件を整理すれば正解しやすい問題ですから、
5年生の間にぜひマスターしておきたいですね。
また、濃さの問題は、基本から難問までいろいろなバリエーションがあります。
食塩水×濃さ=食塩、流れ図(フローチャート)、面積図解法やてんびん法など、
冬休みなどを利用して復習しておきましょう。
5年生にとって今回の倍数算は復習に、
濃さの問題は少しチャレンジになるかもしれません。
女子学院中 2014年入試問題 算数より
大問2
A、B、Cの兄弟3人がいて、あるゲームを買うことにしました。Aはゲーム機の値段の1/2より500円少ない金額を、Bは残りの3/4より300円多い金額を払いました。Cは2人が払った残りの4/5しか払えなかったので、最後に残った300円をAが払いました。このゲーム機の値段を求めなさい。(一部改題 一部問題省略)
「残りの●/■」のように、元にする量が変化していく倍数算です。
元の量が変化していくときは「階段状線分図」に整理すると良いですね。
または、
です。
線分図以外に、
という方法もあります。
線分図より短い時間で整理できそうです。
真ん中の図を使うと、
1△=300円 → 5△=1500円
1□=1500円+300円=1800円 → 4△=7200円
①+500円=7200円 → ①=6700円 → ②=13400円
とわかります。
倍数算は線分図などに整理すれば正解が難しくない定番の問題です。
ここは取りこぼさないようにしましょう。
慶應義塾普通部 2014年入試問題 算数より
大問8
A君、B君、C君の3人はそれぞれお金を持っていました。A君どC君のはじめの所持金の比は9:7でした。C君が900円の買い物をしたら、B君とC君の所持金の比は5:4になりました。さらに、A君の所持金からB君とC君に同じ額のお金を渡したところ、A君とB君とC君の所持金の比は5:7:6になりました。A君のはじめの所持金はいくらですか。
増減があったり、やりとりが行われたりする倍数算です。
思い出しておきたい事は
1. 同じ量だけ増えても(または減っても)、差は変わらない…差一定
2. やりとりをしても、和は変わらない…和一定
です。
このことを頭において整理すると、
のようになります。
「買い物後」から「最後」に着目すると、
B、Cは「同じ量増えている」ので、B、Cの「差は変わらない」のですから、
から、
始めのAの所持金9=⑨ → 始めのCの所持金=⑦ → ③=買い物の900円
がわかるので、①=300円より、⑨=2700円が求められます。
基本問題レベルの倍数算よりは1回分操作が多いので、
頭の中だけで処理を仕様とするとまちがえることもありますが、
いつも練習している整理方法を使えば、
基本問題が2段階に重なっているだけの問題だとわかっていきます。
5年生でこの単元を習ったら、
整理方法も覚え、いつでも引き出せるようにしておくと、
「しまった!」ということもなくなります。
最後にもう1題、今度は濃さの問題です。
豊島岡女子中 2014年入試問題 算数より
大問5
3つの食塩水A、B、Cがあります。食塩水A、B、Cを400gずつ混ぜると食塩水の濃度は6.2%になり、食塩水Aを200g、食塩水Bを300g,食塩水Cを400g混ぜると食塩水の濃度は5.8%になります。
(1)食塩水Aを200g、食塩水Bを100g混ぜてできる食塩水の濃度は何%ですか。
(2)食塩水Bと食塩水Cを1:2の割合で混ぜてできる食塩水の濃度は何%ですか。
(3)食塩水Aと食塩水Cを7:5の割合で混ぜてできる食塩水の濃度は食塩水Bの濃度と等しくなります。食塩水Bの濃度は何%ですか。
問題条件は2パターンの混合についてですから、
のような整理方法がいいですね。
※てんびん法で解く場合は食塩の重さを求める必要がありません。
この表と(1)の問題文を見てみると、
ということがわかり、22.2g÷300g=0.074 →7.4%が求められます。
どうやら「誘導形式」になっているようです。
(2)は「食塩水BとCを1:2で混ぜる」とありますから、
「食塩水Bを200g、Cを400g混ぜる」と置き換えられるので、
ということがわかり、30g÷600g=0.05 →5%が求められます。
(3)は少し工夫が必要です。
「混ぜてできる食塩水の濃度(オ)は食塩水Bの濃度と等しくなります」
という条件の使い方がポイントです。
つまり、食塩水オと食塩水Bは同じ濃さなので、
「オ何gとB何gを混ぜようとも、濃さは食塩水Bの濃さのまま」です。
たとえていうと、
6%の食塩水+6%の食塩水=6%の食塩水
ということです。
「可比の理」と呼ばれる考え方です。
ということは、食塩水Bの事は考えずに、
食塩水Aと食塩水Cを7:5にすることだけを考えます。
ですから、115.2g÷1800g=0.064 →6.4%が求められます。
比と割合を使って解く問題は、条件数が多いため、
条件を整理さえすれば正解が得やすくなりますし、
式だけに頼って解こうとすると混乱して失点をしやすい分野だといえます。
近づく冬休みに備え、どんな分野の問題を復習するかを拾い出し、
6年生になる前に定番問題をいつでも正解できる準備をしていきましょう。
今回のテーマは「比と割合の文章題」です。
倍数算2題と食塩水の濃さの問題を1題ご紹介します。
倍数算は条件を整理すれば正解しやすい問題ですから、
5年生の間にぜひマスターしておきたいですね。
また、濃さの問題は、基本から難問までいろいろなバリエーションがあります。
食塩水×濃さ=食塩、流れ図(フローチャート)、面積図解法やてんびん法など、
冬休みなどを利用して復習しておきましょう。
5年生にとって今回の倍数算は復習に、
濃さの問題は少しチャレンジになるかもしれません。
女子学院中 2014年入試問題 算数より
大問2
A、B、Cの兄弟3人がいて、あるゲームを買うことにしました。Aはゲーム機の値段の1/2より500円少ない金額を、Bは残りの3/4より300円多い金額を払いました。Cは2人が払った残りの4/5しか払えなかったので、最後に残った300円をAが払いました。このゲーム機の値段を求めなさい。(一部改題 一部問題省略)
「残りの●/■」のように、元にする量が変化していく倍数算です。
元の量が変化していくときは「階段状線分図」に整理すると良いですね。
または、
です。
線分図以外に、
という方法もあります。
線分図より短い時間で整理できそうです。
真ん中の図を使うと、
1△=300円 → 5△=1500円
1□=1500円+300円=1800円 → 4△=7200円
①+500円=7200円 → ①=6700円 → ②=13400円
とわかります。
倍数算は線分図などに整理すれば正解が難しくない定番の問題です。
ここは取りこぼさないようにしましょう。
慶應義塾普通部 2014年入試問題 算数より
大問8
A君、B君、C君の3人はそれぞれお金を持っていました。A君どC君のはじめの所持金の比は9:7でした。C君が900円の買い物をしたら、B君とC君の所持金の比は5:4になりました。さらに、A君の所持金からB君とC君に同じ額のお金を渡したところ、A君とB君とC君の所持金の比は5:7:6になりました。A君のはじめの所持金はいくらですか。
増減があったり、やりとりが行われたりする倍数算です。
思い出しておきたい事は
1. 同じ量だけ増えても(または減っても)、差は変わらない…差一定
2. やりとりをしても、和は変わらない…和一定
です。
このことを頭において整理すると、
のようになります。
「買い物後」から「最後」に着目すると、
B、Cは「同じ量増えている」ので、B、Cの「差は変わらない」のですから、
から、
始めのAの所持金9=⑨ → 始めのCの所持金=⑦ → ③=買い物の900円
がわかるので、①=300円より、⑨=2700円が求められます。
基本問題レベルの倍数算よりは1回分操作が多いので、
頭の中だけで処理を仕様とするとまちがえることもありますが、
いつも練習している整理方法を使えば、
基本問題が2段階に重なっているだけの問題だとわかっていきます。
5年生でこの単元を習ったら、
整理方法も覚え、いつでも引き出せるようにしておくと、
「しまった!」ということもなくなります。
最後にもう1題、今度は濃さの問題です。
豊島岡女子中 2014年入試問題 算数より
大問5
3つの食塩水A、B、Cがあります。食塩水A、B、Cを400gずつ混ぜると食塩水の濃度は6.2%になり、食塩水Aを200g、食塩水Bを300g,食塩水Cを400g混ぜると食塩水の濃度は5.8%になります。
(1)食塩水Aを200g、食塩水Bを100g混ぜてできる食塩水の濃度は何%ですか。
(2)食塩水Bと食塩水Cを1:2の割合で混ぜてできる食塩水の濃度は何%ですか。
(3)食塩水Aと食塩水Cを7:5の割合で混ぜてできる食塩水の濃度は食塩水Bの濃度と等しくなります。食塩水Bの濃度は何%ですか。
問題条件は2パターンの混合についてですから、
のような整理方法がいいですね。
※てんびん法で解く場合は食塩の重さを求める必要がありません。
この表と(1)の問題文を見てみると、
ということがわかり、22.2g÷300g=0.074 →7.4%が求められます。
どうやら「誘導形式」になっているようです。
(2)は「食塩水BとCを1:2で混ぜる」とありますから、
「食塩水Bを200g、Cを400g混ぜる」と置き換えられるので、
ということがわかり、30g÷600g=0.05 →5%が求められます。
(3)は少し工夫が必要です。
「混ぜてできる食塩水の濃度(オ)は食塩水Bの濃度と等しくなります」
という条件の使い方がポイントです。
つまり、食塩水オと食塩水Bは同じ濃さなので、
「オ何gとB何gを混ぜようとも、濃さは食塩水Bの濃さのまま」です。
たとえていうと、
6%の食塩水+6%の食塩水=6%の食塩水
ということです。
「可比の理」と呼ばれる考え方です。
ということは、食塩水Bの事は考えずに、
食塩水Aと食塩水Cを7:5にすることだけを考えます。
ですから、115.2g÷1800g=0.064 →6.4%が求められます。
比と割合を使って解く問題は、条件数が多いため、
条件を整理さえすれば正解が得やすくなりますし、
式だけに頼って解こうとすると混乱して失点をしやすい分野だといえます。
近づく冬休みに備え、どんな分野の問題を復習するかを拾い出し、
6年生になる前に定番問題をいつでも正解できる準備をしていきましょう。