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第639回 女子中の入試問題 比と割合 2

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割合の練習問題 2023年10月07日18時00分

「第639回 女子中の入試問題 比と割合 2」

前回から、2023年度に女子中で出された「比と割合」の問題を取り扱っています。

今回は前回の後半で見た割合の文章題の続きですが、前回よりも問題文が長くなっています。

 

それでは、1問目です。

 

【問題】3人の姉妹がそれぞれの貯金箱のお金を出しあって母の誕生日プレゼントとケーキを買いに行きました。はじめにプレゼント代を支払うのに長女のお金の37.5%、次女のお金の50%、三女のお金の45%を出しあいました。次に、ケーキを買うのに長女の残金の62.5%と、次女の残金の40%を出しあいました。最後に三女の残金は長女の残金より一割多く、次女の残金は長女の残金と等しくなりました。長女と次女と三女が出したプレゼント代を最も簡単な整数の比で表すと(ア):(イ):(ウ)です。(ア)~(ウ)にあてはまる数を答えなさい。

(フェリス女学院中学校 2023年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

問題の条件を整理します。

 

最後の残金を連比にし、そこからはじめに向かって巻き戻していきます。

 

10÷(1-0.625)

=10÷3/8=80/3 … A

 

10÷(1-0.4)

=10÷3/5=50/3 … B

 

80/3÷(1-0.375)

=80/3÷5/8=128/3 … C

 

50/3÷(1-0.5)

=50/3÷1/2=100/3 … D

 

11÷(1-0.45)

=11÷11/20=20 … E

 

 

ですから、3人が出したプレゼント代は

(128/3×0.375):(100/3×0.5):(20×0.45)

=16:50/3:9

=48:50:27

です。

 

答え ア 48、 イ 50、 ウ 27

 

本問は、前回よりも文章が長い割合の文章題ですが、ひとつひとつの計算は基本レベルです。

正解できないときは、条件整理をして、もとにする量、比べる量、割合の関係を明確にしましょう。

 

2問目です。

 

【問題】2つの貯金箱A、Bにそれぞれお金が入っています。Bに入っている金額はAに入っている金額の3/4です。Aに入っている金額の3/5を使い、Bには新たに700円を入れました。その後、Bに入っている金額の7/20を取り出してAに入れたところ、AとBに入っている金額は同じになりました。最初にAに入っていた金額は何円ですか。

(吉祥女子中学校 2023年 問題1-(7))

 

【考え方】

問題の条件を整理します。

 

「Bの7/20をAに入れると、AとBが同じになる」ことから、

Aに入れる前のBを20とすると、

Aに入れたお金=7

Aに入れた後のB=20-7=13

と表せます。

 

上の図から、さらに巻き戻ると

13-7=6 … ア

6÷(1-3/5)=15 … 最初のA

15×3/4=45/4 … 最初のB

とわかります。

 

よって、

700円÷(20-45/4)=80円 … 1にあたる金額

80円×15=1200円 … 最初のA

です。

 

答え 1200円

 

本問も、全問と同様に文章が長い割合の文章題ですが、条件を整理することでら解いていく手順に気づきやすくなります。

 

なお、最初のAを⑳(①や100○でも可)として、上から順に進めていく解き方もあります。

 

 

では、最後の問題です。

 

【問題】姉と妹が一緒に出かけました。まず、それぞれが同じキーホルダーを(ア)円で買うと、姉は所持金がはじめの6割に、妹は4割になりました。次に、姉が1つ225円の飲み物を2人分買い、最後に、2人で家族へのおみやげを買いました。おみやげについて、それぞれの支払の割合は、そのときの2人の所持金の比の割合です。残金が姉は300円、妹は200円のとき、2人がはじめに持っていた所持金は、姉が(イ)円、妹が(ウ)円です。(ア)~(ウ)にあてはまる数を書きなさい。

(立教女学院中学校 2023年 問題1-(9) 問題文一部変更)

 

【考え方】

問題の条件を整理します。

 

赤枠部分に着目すると、

姉のはじめの所持金×(1-0.6)=妹のはじめの所持金×(1-0.4)=キーホルダー代

姉のはじめの所持金×2/5=妹のはじめの所持金×3/5=キーホルダー代

なので、

割合の分子の最小公倍数6よりキーホルダー代を⑥とすると、

姉のはじめの所持金=⑮、妹のはじめの所持金=⑩

となります。

 

 

次におみやげを買うところに着目します。

 

そのときの所持金の比と支払いの比が同じですから、最後の残金の比もそれと同じになります。(加比の理)

300円:200円=3:2

 

赤枠部分に着目します。

飲み物は姉が買ったので、キーホルダーを買った後の妹の所持金とおみやげを買う前の妹の所持金は同じですから、飲み物を買った後の姉の残金は⑥円です。

⑨円-225円×2=⑥円 → ①=150(円)

 

これからわかることをかき込みます。

 

よって、

キーホルダー代 600円

姉のはじめの所持金 2250円

妹のはじめの所持金  500円

です。

 

答え ア 900、  イ 2250、  ウ 1500

 

 

本問も、条件整理をすることで問題を解く手順がはっきりします。

おみやげ代の所で使う「加比の理(ある比からそれと同じ比を引いても比は変わらない)」は使うことが少ないのですが、大切な知識なので忘れていたらチェックしておきましょう。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された長文の「比と割合の一行問題」をご紹介しました。

いずれも条件を整理すると正解できる問題ですので、もしまちがえてしまったときは、条件の整理をしてから考えてみましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年10月07日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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