ニュートン算と中学入試 2014-02
第204回 「2014年入試問題と小5の学習 ニュートン算2」
昨日はSS-1の関東3教室合同教科研修会に参加してきました。
若手からベテランまで多くの講師が出席する中、
指導方法や塾のテスト・入試の問題を研究しました。
このブログでも3ヶ月後の入試を控え、テストや入試問題について、
研修会で学びあった以上のことを書ければと思っています。
さて前回から、入試問題で失点したくない「定番問題」をみていますが、
今回も前回に引き続き、
「ニュートン算(ちょっと難しい版?)」をご紹介します。
2014年 大阪星光中 入試問題より
大問5
ある一定量の水が入っている水そうがあります。この水そうに一定の割合で1本のホースから水を入れながら、いくつかのポンプで水をくみ出します。次の①から④をもとに以下の問いに答えなさい。
①どのポンプも同じ時間にくみ出す水の量は同じです.
②ポンプ3つで水をくみ出す場合は、10分で水がなくなります.
③ポンプ4つで水をくみ出し、2分たった時点で、ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加えると、その後7分で水がなくなります。
④ポンプ8つで2分間水をくみ出すとその時点で20ℓの水が残ります。
(1) 1分あたりに1本のホースから入る水の量は、ポンプ1つが1分間にくみ出す水の量の何倍ですか。
(2) 最初に水そうに入っていた水の量は何ℓですか。
(3) ③において加えた水の量は何ℓですか。
ニュートン算は前回ご紹介しましたように、
「のべ算」「単位量」「グラフ」などの解き方があります。
どの解法が問題に最もマッチしているかを判断して解くことが、
時間の節約や正答率のアップにつながります。
この問題では「ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加える」ため、
「元々入っていた水の量が増加する」ことになり、
「くみ出し終わるまでの時間の最小公倍数」を用いる「単位量」は使えません。
また、
グラフに表すと「稲妻」のような部分ができるため、
こちらも処理が難しそうです。
ということで、
「元々入っていた水の量が増加する」ような場合は、
のべ算(線分図利用)が一番整理しやすそうです。
上の線分図から、
ホース×10分+⑥=ホース×9分+6.5○
がわかりますから、
ホースが1分間に注ぎ込む水の量は0.5○=1つのポンプが排水する水の0.5倍
が求められます。
「0.5」という小数が出てきたので、2倍して整数に直すとより安全です。
1つのポンプが1分間に排水する水の量=②
1つのホースが1分間に注水する水の量=①
すると、
②×3本×10分=始めに入っていた水+①×1本×10分
から、
始めに入っていた水=
が求められます。
ここまで求めることができれば、(2)は計算をするだけです。
-(②×8本-①)×2分=20ℓ ですから、①=1ℓ です。
したがって、始めに入っていた水=50ℓ です。
(3)も、②×1本×6.5分=⑬=13ℓ と求められます。
少し難しいニュートン算ですが、
どの方法で整理すれば解きやすいかを決めることができれば、
あとは比較的楽に解くことができます。
この点から、
ニュートン算は複数の解法を押さえておきたい文章題と言えそうです。
もう1問ご紹介します。
ここまでのまとめ問題として、チャレンジしてみましょう。
2011年 開成中 入試問題より
大問2
西山動物園では、開門前に長い行列ができていて、さらに、一定の割合で入園希望者が行列に加わっていきます。開門と同時に、券売機を5台使うと20分で行列がなくなり、開門と同時に、券売機を6台使うと15分で行列がなくなります。また、もし閉門のときの行列の人数が50人少なかったとすると、開門と同時に、券売機を7台使えば10分で行列がなくなります。
(1) 開門のとき、行列の人数は何人でしたか。
(2) 開門と同時に、券売機を10台使うと何分で行列がなくなりますか。
「『行列の人数が50人少なかったとすると』とあるので、
さっきと同じように線分図にまとめよう。」という判断は正しいですし、
正解することも可能です。
しかし、良く比べてみると、大阪星光中の問題は
(ア) ポンプ3つで水をくみ出す場合は、10分で水がなくなります.
(イ) ポンプ4つで水をくみ出し、2分たった時点で、
ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加えると、
その後7分で水がなくなります。
(ウ) ポンプ8つで2分間水をくみ出すとその時点で20ℓの水が残ります。
の3つの条件の内、
「水の追加がない」「最後までくみ出す」のは
(ア)の条件1つしかありませんでした。
一方で開成中の問題では
・開門と同時に、券売機を5台使うと20分で行列がなくなる
・開門と同時に、券売機を6台使うと15分で行列がなくなる
のように、
2つとも「行列の増減がない」「待っている人がいなくなる」となっています。
ということは、最小公倍数を利用することも可能です。
(券売機5台-行列に加わる人数)×20分=始めに並んでいた行列
(券売機6台-行列に加わる人数)×15分=始めに並んでいた行列
なので、
始めに並んでいた行列=20分と15分の最小公倍数60○
となり、
60○÷20分=③=券売機5台-行列に加わる人数
60○÷15分=④=券売機6台-行列に加わる人数
から、
券売機1台=①、行列に加わる人数=②
も求められます。
券売機を7台使えば10分で行列がなくなるので、
(①×7台-②)×10分=
が、50人少ないときの行列ですから、
60○-=50人 → ①=5人
です。
ですから、
(1)は60○=5人×60=300人、
(2)は60○÷(①×10台-②)=7.5分とわかります。
最小公倍数を用いる解き方は、線分図を書かない分、時間を短縮できます。
反面、何を求めたのかがわからなくなる危険もありますので、
基本問題で前回のような図をかいて、十分に理解を深めておくことが大切です。
この2問がそうであるように、ニュートン算は(1)を解くことができれば、
(2)以下は簡単に解くことができます。
言い換えると(1)が正解できるかどうかで、
大きく点差が開く問題でもあるのです。
しかし、ニュートン算の3つの解法、
特に
「のべ算(線分図)」
「単位量(最小公倍数)」
の2つの解法をマスターすれば、
少々難しいニュートン算でも全問正解を得ることが可能です。
昨日はSS-1の関東3教室合同教科研修会に参加してきました。
若手からベテランまで多くの講師が出席する中、
指導方法や塾のテスト・入試の問題を研究しました。
このブログでも3ヶ月後の入試を控え、テストや入試問題について、
研修会で学びあった以上のことを書ければと思っています。
さて前回から、入試問題で失点したくない「定番問題」をみていますが、
今回も前回に引き続き、
「ニュートン算(ちょっと難しい版?)」をご紹介します。
2014年 大阪星光中 入試問題より
大問5
ある一定量の水が入っている水そうがあります。この水そうに一定の割合で1本のホースから水を入れながら、いくつかのポンプで水をくみ出します。次の①から④をもとに以下の問いに答えなさい。
①どのポンプも同じ時間にくみ出す水の量は同じです.
②ポンプ3つで水をくみ出す場合は、10分で水がなくなります.
③ポンプ4つで水をくみ出し、2分たった時点で、ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加えると、その後7分で水がなくなります。
④ポンプ8つで2分間水をくみ出すとその時点で20ℓの水が残ります。
(1) 1分あたりに1本のホースから入る水の量は、ポンプ1つが1分間にくみ出す水の量の何倍ですか。
(2) 最初に水そうに入っていた水の量は何ℓですか。
(3) ③において加えた水の量は何ℓですか。
ニュートン算は前回ご紹介しましたように、
「のべ算」「単位量」「グラフ」などの解き方があります。
どの解法が問題に最もマッチしているかを判断して解くことが、
時間の節約や正答率のアップにつながります。
この問題では「ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加える」ため、
「元々入っていた水の量が増加する」ことになり、
「くみ出し終わるまでの時間の最小公倍数」を用いる「単位量」は使えません。
また、
グラフに表すと「稲妻」のような部分ができるため、
こちらも処理が難しそうです。
ということで、
「元々入っていた水の量が増加する」ような場合は、
のべ算(線分図利用)が一番整理しやすそうです。
上の線分図から、
ホース×10分+⑥=ホース×9分+6.5○
がわかりますから、
ホースが1分間に注ぎ込む水の量は0.5○=1つのポンプが排水する水の0.5倍
が求められます。
「0.5」という小数が出てきたので、2倍して整数に直すとより安全です。
1つのポンプが1分間に排水する水の量=②
1つのホースが1分間に注水する水の量=①
すると、
②×3本×10分=始めに入っていた水+①×1本×10分
から、
始めに入っていた水=
が求められます。
ここまで求めることができれば、(2)は計算をするだけです。
-(②×8本-①)×2分=20ℓ ですから、①=1ℓ です。
したがって、始めに入っていた水=50ℓ です。
(3)も、②×1本×6.5分=⑬=13ℓ と求められます。
少し難しいニュートン算ですが、
どの方法で整理すれば解きやすいかを決めることができれば、
あとは比較的楽に解くことができます。
この点から、
ニュートン算は複数の解法を押さえておきたい文章題と言えそうです。
もう1問ご紹介します。
ここまでのまとめ問題として、チャレンジしてみましょう。
2011年 開成中 入試問題より
大問2
西山動物園では、開門前に長い行列ができていて、さらに、一定の割合で入園希望者が行列に加わっていきます。開門と同時に、券売機を5台使うと20分で行列がなくなり、開門と同時に、券売機を6台使うと15分で行列がなくなります。また、もし閉門のときの行列の人数が50人少なかったとすると、開門と同時に、券売機を7台使えば10分で行列がなくなります。
(1) 開門のとき、行列の人数は何人でしたか。
(2) 開門と同時に、券売機を10台使うと何分で行列がなくなりますか。
「『行列の人数が50人少なかったとすると』とあるので、
さっきと同じように線分図にまとめよう。」という判断は正しいですし、
正解することも可能です。
しかし、良く比べてみると、大阪星光中の問題は
(ア) ポンプ3つで水をくみ出す場合は、10分で水がなくなります.
(イ) ポンプ4つで水をくみ出し、2分たった時点で、
ポンプ1つが6分30秒でくみ出せる量の水を加えると、
その後7分で水がなくなります。
(ウ) ポンプ8つで2分間水をくみ出すとその時点で20ℓの水が残ります。
の3つの条件の内、
「水の追加がない」「最後までくみ出す」のは
(ア)の条件1つしかありませんでした。
一方で開成中の問題では
・開門と同時に、券売機を5台使うと20分で行列がなくなる
・開門と同時に、券売機を6台使うと15分で行列がなくなる
のように、
2つとも「行列の増減がない」「待っている人がいなくなる」となっています。
ということは、最小公倍数を利用することも可能です。
(券売機5台-行列に加わる人数)×20分=始めに並んでいた行列
(券売機6台-行列に加わる人数)×15分=始めに並んでいた行列
なので、
始めに並んでいた行列=20分と15分の最小公倍数60○
となり、
60○÷20分=③=券売機5台-行列に加わる人数
60○÷15分=④=券売機6台-行列に加わる人数
から、
券売機1台=①、行列に加わる人数=②
も求められます。
券売機を7台使えば10分で行列がなくなるので、
(①×7台-②)×10分=
が、50人少ないときの行列ですから、
60○-=50人 → ①=5人
です。
ですから、
(1)は60○=5人×60=300人、
(2)は60○÷(①×10台-②)=7.5分とわかります。
最小公倍数を用いる解き方は、線分図を書かない分、時間を短縮できます。
反面、何を求めたのかがわからなくなる危険もありますので、
基本問題で前回のような図をかいて、十分に理解を深めておくことが大切です。
この2問がそうであるように、ニュートン算は(1)を解くことができれば、
(2)以下は簡単に解くことができます。
言い換えると(1)が正解できるかどうかで、
大きく点差が開く問題でもあるのです。
しかし、ニュートン算の3つの解法、
特に
「のべ算(線分図)」
「単位量(最小公倍数)」
の2つの解法をマスターすれば、
少々難しいニュートン算でも全問正解を得ることが可能です。