第638回 女子中の入試問題 比と割合 1
「第638回 女子中の入試問題 比と割合 1」
ここまで、2023年度に女子中で出された「数と計算」の入試問題を見てきました。
今回からは「比と割合」がテーマの問題を取り扱っていきます。
その1回目は、比と割合の基本問題です。
習い終えていれば5年生でもチャレンジできます。
では、1問目です。
【問題】26:xと156:yの比の値が等しいとき、yはxの何倍か求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(3))
【考え方】
「比の値が等しい」と「比が等しい」は同じことです。
ですから、
26:x=156:y
として考えることができます。
□=y÷x=156÷26=6(倍)
答え 6倍
本問は比の基本が確認できる問題です。
既習であれば絶対に正解したい問題です。
続けて、2問目です。
【問題】2けたの3つの数A、B、Cがあります。AからBを引いた数とAからCを引いた数の比が7:6で、BとCの比が4:7です。Aはいくつですか。
(吉祥女子中学校 2023年 問題1-(4))
【考え方】
条件を線分図に整理します。
このとき、7:6は⑦:⑥、4:7=4□:7□のように表します。
線分図より、
⑦-⑥=7□-4□
①=3□
とわかります。
よって、
A=3□×7+4□=25□
B=4□
C=7□
ですから、
A:B:C=25:4:7
です。
A、B、Cは2けたの整数ですから、上の比を3倍した
A:B:C=75:12:21
だけが適します。
答え 75
本問は、比と線分図の関係の理解が確認できる問題です。
なお、線分図の代わりに、次のように整理することもできます。
では、3問目です。
【問題】Aさんの所持金の2倍はBさんの所持金より150円多く、Bさんの所持金の2倍はAさんの所持金の3倍と等しいです。Aさんの所持金は何円ですか。
(品川女子学院中等部 2023年 問題2-(10) 問題文一部変更)
【考え方】
はじめに、「Bさんの所持金の2倍はAさんの所持金の3倍と等しい」に着目します。
A×3=B×2 → A:B=②:③
次に、「Aさんの所持金の2倍はBさんの所持金より150円多く」に着目すると、
②×2=③+150
④=③+150
①=150(円)
とわかります。
150×2=300(円)
答え 300円
本問は、「等しい関係を比に直す」ことを確認できる問題です。
これも比の大切なポイントですので、ぜひ正解しましょう。
ここからは「割合」に関する文章題です。
4問目も3問目と同じ学校の問題です。
【問題】Aさんはおこづかいを何円かもらいました。昨日はそのうちの7/12を使い、今日は昨日の残りの2/3を使ったところ、手元に残ったお金は650円になりました。Aさんは何円のおこづかいをもらいましたか。
(品川女子学院中等部 2023年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
条件を線分図に表します。
このとき、7/12のもとにする量はもらったおこづかい、2/3のもとにする量は昨日の残りで、もとにする量が異なりますから、線分図を2段に分けてかきます。
はじめに、「今日」に着目すると、昨日の残りの1/3が650円にあたっています。
650÷(1-2/3)=1950(円) … 昨日の残り
次に、「昨日」に着目すると、おこづかいの5/12が1950円にあたるとわかります。
1950÷(1-7/12)=4680(円)
答え 4680円
本問は「もとにする量、比べる量、割合の関係」が確認できる問題です。
この関係が自由に使えることも非常に重要です。
なお、解答例は分数で整理しましたが、次のように整数(比)でも構いません。
3□-2□=650 → 1□=650(円)
3□=1950(円)
⑫-⑦=1950 → ①=390(円)
390×12=4680(円)
また、
□×(1-7/12)×(1-2/3)=650
のように、1つの式で考える解き方もあります。
最後に、4問目の応用問題を見ていきます。
【問題】ある本があります。昨日は全体の3/7を読み、今日は残りの1/3を読みました。明日100ページを読むと、本全体の1/12が残ります。この本のページ数は何ページですか。
(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-(9) 問題文一部変更)
【考え方】
もとにする量が「本全体」と「(昨日の)残り」の2つがありますので、線分図を2段に分けてかきます。
このままでも解けますが1段目の線分図の分母は7と12ですからもとにする量を分母の最小公倍数の84○、2段目の線分図の分母は3ですからもとにする量は3□と、整数にしておくと考えやすくなります。
84○-36○=3□ → ⑯=1□
図より、
㊽-(⑦+⑯)=100 → ①=4(ページ)
です。
4×84=336(ページ)
答え 336ページ
本問は、「100ページが線分図の間にはさまる」ために、着目するポイントが少し気づきにくくなっています。
このようなときは、解答例のように「割合 (分数)→ 比(整数)」にすると考えやすくなることを覚えておくとよいでしょう。
今回は、2023年度に女子中の入試で出された「比と割合」の基本問題を中心にご紹介しました。
4問目までは基本の考え方が確認できますので、もし、正解できなかったときはすぐにおさらいすることが必要です。
基本がマスターできていれば、4問目の別解のような一行式の使い方や5問目の整数の使い方もチェックしておきましょう。