第629回 共学中の入試問題 立体図形 5
「第629回 共学中の入試問題 立体図形 5」
これまで近年の共学中入試で出された「立体図形」を取り扱ってきています。
今回は「水問題」について見ていきます。
1問目は、「棒入れ」の問題です。
【問題】図1のような底面の半径が6㎝の円柱の形をした水そうに水が入っています。この水そうに、図2のような底面の半径が2㎝で高さが10㎝である円柱の形をした鉄の棒1本を、底面が水そうの底につくように入れたところ、棒の1/2が水につかりました。さらに図2の棒をもう1本入れたところ、棒の( ア )が水につかりました。水そうの高さは10㎝より高く、円周率は3.14とします。
① 水そうに入っている水の量は何㎤ですか。
② ( ア )にあてはまる分数はいくつですか。
(神奈川大学附属中学校 2023年 問題2-(5))
【考え方】
① 棒を入れる前の水そうを正面から見た図と、棒を1本入れた後の水そうを正面から見た図を、横に並べてかきます。
水の量はどちらの水そうでも同じです。
右上の図より
(6㎝×6㎝×3.14-2㎝×2㎝×3.14)×5㎝
=160㎤×3.14
=502.4㎤
が水の量とわかります。
答え 502.4㎤
② もう1本の棒を入れた図をかきます。
水の量は変化してませんから、水の深さは
(160㎤×3.14)÷(6㎝×6㎝×3.14-2㎝×2㎝×3.14×2)
=(160㎤×3.14)/(28㎠×3.14)
=40/7㎝
です。
よって、
ア=40/7㎝÷10㎝=4/7
です。
答え 4/7
本問は水問題の基本となる図のかき方、水の量が変わらないことに着目することの2点が確認できる問題です。
2問目は「水量のグラフ」に関する問題です。
【問題】深さが30㎝の直方体の容器に、図のように円柱のおもりを置きました。この容器に毎秒50㎤の割合で水を入れます。グラフは水を入れ始めてから42秒後までの水の深さを表しています。おもりの体積は何㎤ですか。
(青山学院中等部 2022年 問題8 問題文一部変更)
【考え方】
「水量のグラフ」の問題では、「水そうを正面から見た図にグラフからわかることを書き込む」が基本です。
50㎤/秒×30秒÷20㎝=75㎠ … 30秒で入った部分の底面積
50㎤/秒×(42秒-30秒)÷(26㎝-20㎝)=100㎠ … 容器の底面積
よって、おもりの底面積は
100㎠-75㎠=25㎠
です。
25㎠×20㎝=500㎤
答え 500㎤
本問は、水とグラフの問題の基本が確認できる問題です。
なお、水を入れる時間の比と水の体積の比が等しいことに着目して、次のように30秒までの部分と30秒から42秒までの部分を比で解く方法もあります。
50㎤/秒×30秒×(4-3)/3=500㎤
最後は「容器の置き方を変える」問題です。
【問題】同じ大きさの立方体を4つ組み合わせて作った容器に水を入れ、【図1】【図2】のように置き方を変えて水平な台の上に置きました。【図1】の状態で水の高さは容器の一番高い場所のちょうど半分でした。【図2】の状態で水の高さは容器の一番高い場所に対してどれくらいの割合ですか。分数で答えなさい。
(帝京大学中学校 2022年 問題1-(8))
【考え方】
容器の置き方を変えても空気の体積は変わりません。
また、【図1】と【図2】はどちらも奥行きが同じですから、正面から見たときに見える空気の面積は同じです。
【図1】の置き方のとき、空気の面積は正方形1.5個分です。
正方形の1辺の長さを6とします。
6×6×1.5=54 … 空気の面積
これは【図2】の置き方をしても同じです。
(54-6×6)÷(6×3)=1 … ★
よって、水面の高さは
6-1=5
です。
容器の一番高い高さは
6×2=12
ですから、割合は
5÷12=5/12
です。
答え 5/12
本問は、容器の置き方を変える水問題の基本が確認できる問題です。
解答例では水よりも体積の小さい空気に着目ましたが、水そのものに着目してもよいでしょう。
今回は、2023年度と2022年度に共学中入試で出された「水問題」の基本問題をご紹介しました。
容器などを前から見た図を利用するという大切な考え方が確認できますので、習い終えていれば定着度をチェックしてみましょう。