第626回 共学中の入試問題 立体図形 2
「第626回 共学中の入試問題 立体図形 2」
前回から、近年の共学中入試で出された「立体図形」を取り扱っています。
今回は「回転体」について考えていきます。
では、1問目です。
【問題】下の図のような1辺が1㎝の正方形を組み合わせてできた図形を直線Lを軸として1回転させてできる立体の体積は何㎤ですか。(円周率は3.14)
(三田国際学園中学校 2022年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
見取り図をかいてみましょう。
はじめに回転の軸について線対称な図形をかきます。
次に対応する頂点をなめらかに結びます。
できた立体は、円柱(大)から円柱(小)を取り除いたものとわかります。
3㎝×3㎝×3.14×2㎝-2㎝×2㎝×3.14×1㎝=43.96㎤
答え 43.96㎤
本問は回転体の作図の基本が確認できる問題です。
続けて2問目を見ていきます。
【問題】下の図のような三角形ABCを、直線BCを軸として一回転させたときにできる立体の表面積は何㎠ですか。(円周率は3.14)
(中央大学附属横浜中学校 2022年 問題1-(10) 問題文一部変更)
【考え方】
前問と同じ手順で見取り図をかくと、次のようになります。
上側は母線が2㎝、底面の半径が1㎝の円すい、下側は母線が3㎝、底面の半径が1㎝の円すいで、これらの円すいの側面積の合計が求める表面積です。
「円すいの側面積=母線×底面の半径×円周率」を利用します。
2㎝×1㎝×3.14+3㎝×1㎝×3.14=15.7㎠
答え 15.7㎠
本問は円すいの側面積の公式の利用が確認できる問題です。
ここまでの2問は回転体の基本問題です。
3問目からは回転体の応用問題です。
【問題】図のような三角形ABCを辺ABのまわりに1回転してできる立体の体積は何㎤ですか。(円周率は3.14)
(昭和学院秀英中学校 2023年 問題2-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
前問の問題図のように、回転の軸ABに対して垂直な直線CHをかきます。
三角形ACHは30度、60度、90度の直角三角形ですから、
AC:CH=2:1
です。
6㎝÷2=3㎝ … CH
わかったことをふくめて、図をかき直します。
三角形ABCを辺ABを軸に回転させてできる立体は、底面の半径が3㎝で高さが★㎝の円すいと底面の半径が3㎝で高さが☆㎝の円すいをくっつけたものです。
★㎝と☆㎝のそれぞれの長さはわかりませんが、「分配のきまり」を利用すると体積を求めることができます。
3㎝×3㎝×3.14×★㎝÷3+3㎝×3㎝×3.14×☆㎝÷3
=3㎝×3㎝×3.14×(★㎝+☆㎝)÷3
=3㎝×3㎝×3.14×6㎝÷3
=56.52㎤
答え 56.52㎤
本問は、回転体の補助線が確認できる問題です。
補助線CHを見つけられなかったときは、今回の2問目のような基本レベルの問題をもう一度解いて、補助線を身につけていきましょう。
次も三角形を回転させる問題です。
【問題】下の図で軸Lを中心に三角形ABCを1回転させてつくられる立体の表面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(明治大学付属中野八王子中学校 2022年 問題3-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
1問目と同じ手順で図をかきます。
上の図で三角形CC’Eは三角形ABCの中にふくまれていますから、作られる立体は台形ABDEを1回転させたものと同じになります。
↓
三角形ABCと三角形EDCが相似であることを利用します。
相似比 BC:DC=8㎝:2㎝=4:1
より
10㎝×1/4=2.5㎝ … EC
10㎝-2.5㎝=7.5㎝ … AE
とわかります。
6㎝×6㎝×3.14=36㎠×3.14 … 円柱部分の底面積
6㎝×2×3.14×6㎝=72㎠×3.14 … 円柱部分の側面積
7.5㎝×6㎝×3.14=45㎠×3.14 … 円すい部分の側面積
36㎠×3.14+72㎠×3.14+45㎠×3.14=480.42㎠
本問は回転させる図形の中を回転の軸が通る問題の考え方が確認できる問題です。
今回は、2022年度と2023年度の共学中入試で出された「回転体」の問題をご紹介しました。
前半の2問は基本問題ですから、これらを解いて回転体に基本がおさえられているかをチェックしましょう。
3問目は補助線の発見、4問目は重なりの処理といった回転体の応用問題です。しかし、いずれも重要な考え方ですから、正解できなかったときはどこでまちがえたかを見つけ、正しい解き方を身につけていきましょう。