第620回 共学中の入試問題 平面図形 2
「第620回 共学中の入試問題 平面図形 2」
前回から近年の共学中入試で出された「平面図形」の問題について考えています。
今回は「円の一行問題」を見ていきます。
なお、円周率は断りのない限り3.14です。
では、1問目です。
【問題】下の図のように、半径4㎝の円が3つあります。真ん中の円の中心で左右の2つの円が1点で交わっています。このとき、斜線部分の周の長さを求めなさい。
(芝浦工業大学附属中学校 2022年 問題2-(4))
【考え方】
円問題は、補助線として
① 円の中心と中心を結ぶ
② 円の中心と円周上の点を結ぶ
ことが基本の解き方です。
4つの赤色三角形の各辺はすべて円の半径ですから、どれも合同な正三角形です。
赤色の曲線は半径4㎝、中心角60度のおうぎ形の弧です。
4㎝×2×3.14×(60度/360度)×6=25.12㎝
答え 25.12㎝
本問は円問題の補助線の基本が確認できる問題です。
続けて、2問目です。
【問題】下の図で、2つの正方形の1辺の長さは2㎝です。また、それぞれの正方形の外側に円がぴったりとくっついています。このとき、2つの円で囲まれたかげの部分の面積は何㎠ですか。
(中央大学附属横浜中学校 2022年 問題1-(9) 問題文一部変更)
【考え方】
前問と同様に、補助線を引いて考えます。
正方形は合同な直角二等辺三角形に分けられていますので、かげの部分を2つに分けた図形(弓形)も合同です。
弓形の面積は
① おうぎ形-三角形
② 移動→合体
で求めることができます。
今回は、「移動→合体」を使ってみます。
円の半径を□㎝として、正方形の面積を2通りの計算式で表します。
(□㎝×2)×(□㎝×2)÷2=2㎝×2㎝
□㎝×□㎝=2㎠ … ア
次にかげの部分の面積を図形式で考えます。
□㎝×□㎝×3.14÷2-2㎝×2㎝÷2=かげの部分の面積
この式にアを代入します。
2㎠×3.14÷2-2㎠=1.14㎠
答え 1.14㎠
本問は、半径のわからない円や弓形の面積の求め方が確認できる問題です。
引き続き3問目です。
【問題】下の図のように、1辺の長さが8㎝の正方形の中に4分の1の円が2つ、三角形が1つあります。アの部分の面積から、イの部分の面積とウの部分の面積を引くと何㎠ですか。
(明治大学付属明治中学校 2022年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
面積を求める公式のない図形の和や差を求めるときは、
① 共通部分をつけたして面積を求める公式のある図形にする
② 移動→合体させて面積を求める公式のある図形にする
ことが基本の解き方です。
ここでは①の「つけたし」が利用できます。
6㎝×6㎝×3.14÷4
=9×3.14(㎠) … ア+★+☆
8㎝×8㎝-8㎝×8㎝×3.14÷4+7㎝×2㎝÷2
=71-16×3.14(㎠) … イ+ウ+★+☆
差=(9+16)×3.14-71=7.5(㎠)
答え 7.5㎠
本問は面積の公式のない図形の解き方が確認できる問題です。
では、最後の問題です。
【問題】点Oを中心とする半径8㎝の円があります。図の斜線部分の面積は何㎠ですか。ただし、円周率は3.14とします。
(中央大学附属中学校 2022年 問題1-(6))
【考え方】
円の問題の補助線は「中心と結ぶ」がほとんどですが、この問題は「対称図形にする」という特別な解き方をします。
(★+☆)×4+4㎝×4㎝×4=円
(★+☆)×4
=8㎝×8㎝×3.14-4㎝×4㎝×4
=136.96㎠
斜線部分=(★+☆)×2
=136.96㎠÷2=68.48㎠
答え 68.48㎠
本問は特別な解き方をする円問題ですが、定番の問題でもあります。
今回は、近年の共学中入試で出された「円の一行問題」をご紹介しました。
はじめの2問は円問題の基本の解き方、3問目は「つけたし」解法、最後の問題は特別な解き方の問題ですが、いずれも定番問題です。
この範囲まで学習が進んでいましたら、解き方の基本が身についているかをこれらの問題でチェックしてみましょう。