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第618回 共学中の入試問題 速さ 6

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速さの練習問題 2023年05月13日18時00分

「第618回 共学中の入試問題 速さ 6」

5回にわたって共学中の2022年度入試で出された問題を中心に、「速さの1行問題」、「旅人算」、「通過算」、「流水算」、「速さのグラフ」について見てきました。

今回は「速さ」の最終回として、いろいろな速さの問題を取り扱います。

 

まずは、1問目です。

 

【問題】太郎くんの家から300m離れた駅の途中には、100mおきに2つの信号機があります。この信号機はどちらも赤が1分、青が30秒点灯することをくり返します。太郎くんが8時に家を出て分速60mで歩くと、どちらの信号機でも信号待ちをして、8時5分36秒に駅に着きました。このとき、2つ目の信号を待つ時間は、1つ目の信号を待つ時間の3分の1でした。

(1)太郎くんが1つ目の信号を待って再び歩き出すのは、8時何分何秒ですか。

(2)太郎くんが家を出てから3分後に、弟が自転車に乗り分速240mで太郎くんを追いかけました。弟が太郎くんに追いつくのは8時何分何秒ですか。

(青山学院中等部 2022年 問題11 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

300m÷60m/分=5分間 … 太郎くんが歩く時間の合計

5分36秒-5分=36秒間 … 太郎くんが信号待ちをした時間の合計

信号待ちの時間の比 1つ目:2つ目=③:①

③+①=36秒間

①=9秒間

100m÷60m/分+9秒間×3=2分7秒

答え (8時)2分7秒

 

(2)

(1)からわかることを整理してみます。

100m÷240m/分×60=25秒間 … 弟が100m進むのにかかる時間

3分0秒+25秒間=3分25秒 … 弟が1つ目の信号に着いたときは赤信号

3分37秒+25秒間=4分2秒 … 弟が2つ目の信号機に着く時刻

この6秒前に太郎くんは2つ目の信号機から歩き出しています。

60m/分×6/60分=6m … 太郎くんは弟の6m前方にいる

6m÷(240m/分-60m/分)×60=2秒 … 弟は2秒後に追いつく

4分2秒+2秒=4分4秒

答え (8時)4分4秒

 

本問は、与えられた条件に従って順に計算を行い、分かったことを整理して解く力が確認できる問題です。

使うのは「速さの3公式」だけですので、もし正解できなかったときは、計算過程、条件の把握についてチェックしてみましょう。

 

では、もう1問です。

 

【問題】下の図のように、AからBまでの道があり、CからDには橋がかかっています。

図の距離は正確ではありません。この橋を渡るには2つのルールがあります。

ル-ル① 橋は1人しか渡れません。誰かが橋を渡っているときに橋に到着したら渡っている人が渡りきるまでその場で待機します。

ル-ル② 橋を渡っているときの速さは道を歩く速さの半分になります。

芝田くんはAを、田浦さんはBをそれぞれ同時に出発します。芝田くんはBまで行き、Aに戻ってきます。田浦さんはAまで行き、Bに戻ってきます。下のグラフは田浦さんのBからの距離と出発してからの時間の関係を表しています。芝田くんの歩く速さが田浦さんより速いとき、次の各問いに答えなさい。

(1)田浦さんの橋を歩く速さは分速何mですか。

(2)AC間の道、BD間の道、橋の長さをそれぞれ求めなさい。

(3)芝田くんの橋を歩く速さは分速何mですか。

(4)芝田くんのAからの距離と出発してからの時間の関係をグラフに表しなさい。必要に応じてメモリを記しなさい。

(芝浦工業大学附属中学校 2022年 問題4 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

2つのルールと芝田さんの方が速く歩くことに注意して、グラフを読み取ります。

グラフより、BC間は600mとわかります。

①+③=600m

①=150m

150m÷2分=75m/分 … 田浦さんが道を歩く速さ

75m/分÷2=37.5m/分

答え 分速37.5m

 

(2)

田浦さんの動く様子を線分図に整理します。

田浦さんはC→A→Cを

30分-14分=16分間

で歩いていますから、AC間の道は

75m/分×(16分÷2)=600m

です。

BD間は(1)より150mと分かっています。

橋の長さも(1)より

150m×3=450m

と分かります。

答え AC間 600m、 BD間 150m、 橋 450m

 

(3)

田浦さんはB→D→C→Aを

14分+8分=22分

で進みましたから、もしBに戻るときにCで待機しなければ、1往復を

22分×2=44分

かかることになります。

49分-44分=5分間 … 田浦さんがCで待機する時間

30分+5分=35分 … 芝田くんが2回目にCを通過するまでの時間

芝田くんが動く様子は次のように整理できます。

芝田くんはC→D→B→D→Cを

35分-14分=21分

で進んでいます。

21分÷2=10.5分 … 芝田くんがC→D→Bにかかる時間

⑥+①=10.5分

①=1.5分

150m÷1.5分=100m/分 … 芝田くんが道を歩く速さ

100m/分÷2=50m/分

答え 分速50m

 

(4)

ここまでに分かったことからグラフをかきます。

答え 解説のグラフを参照

 

本問も、前問と同様に与えられた条件に従って順に計算を行い、分かったことを整理していく問題ですが、前問と異なるのは「速さと比」の関係を用いる点です。

もし、まちがえてしまったときは、前問などで整理力を、「速さと比」の基本問題でその使い方を確認して、自分の課題を見つけるようにしましょう。

 

今回は速さの最終回として、2022年度に共学中の入試で出された「整理力を用いる速さの問題」をご紹介しました。

次回からは平面図形の問題について見ていく予定です。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年05月13日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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