『図形の重要ポイント その4 立体図形の切断2』
第145回 入試戦略は秋の過ごし方から⑤
~志望校別の準備をしよう!~
「スピードアップ算数(発展)」栗田哲也(文一総合出版)
「中学への算数」(東京出版)でもおなじみの栗田氏の著書です。
この本は算数がかなり苦手というお子さんにはあまり有効ではないと思いますが、
算数が得意だと思っていたのに5年生の秋以降あるいは6年生の夏前から
急に成績が下降したというお子さんのチェック教材に適しています。
5年生後半の模試や6年生の模試は、
「並の暗記」だけでは高得点が取れないようになっていますが、
この教材が難しいなと感じるお子さんは、
そんな「並の暗記」でここまで乗り切ってきたお子さんの可能性があります。
5年生の場合、未習内容も入っていますので
一概に難しいと感じる理由が暗記というわけではありません。
しかし、「○○算数特訓」などのオプション講座を塾で受講し、
高度な学習または先取り学習をしてきたお子さんならば、
未習内容も少ないので、「難しい」という理由が「暗記」にあるかもしれません。
6年生は志望校別傾向対策授業も始まりますから、
無理に学習スタイルを変える必要はありません。
一部の修正でよいと思います。
でも5年生にはまだ時間がありますから、
チェックの結果が芳しくないようでしたら、
学習スタイルの切り替え=「暗記から思考へ」を検討するのもよいと思います。
そこで今回は「並の暗記」型なのか、
思考に対抗できる「スーパー暗記」型あるいは「思考」型なのかを
確認できそうな問題をご紹介します。
前回のフェリス女学院中学校 2013年の入試問題 大問4(3)です。
大問4
図のように、底面がひし形である高さ6cmの四角柱があります。辺AB、BC、FG、GHのまん中の点をそれぞれ点P、Q、R、Sとします。また、ひし形ABCD、ひし形EFGHの対角線が交わってできる点をそれぞれM、Nとします。
1 正三角形 2 直角三角形 3 二等辺三角形 4 直角二等辺三角形
5 3つの角の大きさが30°、60°、90°の直角三角形
6 3つの角の大きさが30°、75°、75°の二等辺三角形
7 正方形 8 長方形 9 ひし形 10 台形 11 平行四辺形
12 五角形 13 正五角形 14 六角形 15 正六角形
(3)この四角柱、3点P、Q、Sを通る平面できるとき、切り口はどんな形ですか。1~15から最もふさわしいものを1つ選び、番号で答えなさい。また、頂点Fがある方の立体の切り口の面積を求めなさい。
切り口は、立体が立方体でしたらおなじみの正六角形ですね。
しかし、この問題は底面がひし形です。
作図してもよいのですが、少し水平方向に引き延ばしてあげてもOKです。
すると…、
のようにただの「六角形」とわかり、答えは14となります。
「思考力」のあるお子さんならば、
上の図のように辺の長さが違うので
「絶対に正六角形ではない!」と言い切れますし、
「スーパー暗記」型のお子さんでしたら、
「立方体じゃないんだから、たぶんただの六角形…?!」
と想像して答えを出すことができるでしょう。
ともあれ、(3)の切り口が正解できるということは、すばらしいと思います。
ではこの切り口の面積をどうやって求めればよいのでしょうか?
話をさきほどの立方体に戻して、
「切り口が最も大きい正六角形の場合、立方体は二等分される」以外の方法で、
2つに分けられたうちの一方の立体の体積を、
お子さんは求められるか確認して下さい。
この2つの方法のいずれかで求められればOKです。
というのは、これらの考え方ができるお子さんは
「切り口は三角形を利用して求めることができる!」
と気づけるからです。
上の左図で考えると、
「三角形(大)-三角形(小)×3」という方針が立ち、
さらに三角形(大)と三角形(小)の相似比=3:1ですから、
面積比は9:1となり、結局は三角形(小)の面積を求めればよいことが、
一本道で見えてきます。
ここで(1)に引き続いて「合同」が出てきました!
6cm×3cm÷2=9cm2…青色の三角形の面積
ですから、三角形(小)は、9cm2×2=18cm2 となり、
18cm2×(9-1×3)=108cm2が切り口(六角形)の面積です。
(1)が伏線になっていますが
、 それでも(3)の切り口の面積はかなり難しい問題です。
図の三角形WQPは二等辺三角形ですから、
「二等辺三角形は直角三角形に2分割する」という「合い言葉」を覚えておけば、
WXという補助線はすぐに引けます。
そこに伏線の(1)を組み合わせて解く問題でした。
このような問題を見ていくと、やはり受験算数で重要なことは
「(六角形ではなく)まずは三角形に着目する」
や
「二等辺三角形は直角三角形に2分割する」
のような「合い言葉」をたくさん覚え、
問題演習で実践することだなと感じます。
そしてこのことが「思考」につながっていくのだろうと考えています。
~志望校別の準備をしよう!~
「スピードアップ算数(発展)」栗田哲也(文一総合出版)
「中学への算数」(東京出版)でもおなじみの栗田氏の著書です。
この本は算数がかなり苦手というお子さんにはあまり有効ではないと思いますが、
算数が得意だと思っていたのに5年生の秋以降あるいは6年生の夏前から
急に成績が下降したというお子さんのチェック教材に適しています。
5年生後半の模試や6年生の模試は、
「並の暗記」だけでは高得点が取れないようになっていますが、
この教材が難しいなと感じるお子さんは、
そんな「並の暗記」でここまで乗り切ってきたお子さんの可能性があります。
5年生の場合、未習内容も入っていますので
一概に難しいと感じる理由が暗記というわけではありません。
しかし、「○○算数特訓」などのオプション講座を塾で受講し、
高度な学習または先取り学習をしてきたお子さんならば、
未習内容も少ないので、「難しい」という理由が「暗記」にあるかもしれません。
6年生は志望校別傾向対策授業も始まりますから、
無理に学習スタイルを変える必要はありません。
一部の修正でよいと思います。
でも5年生にはまだ時間がありますから、
チェックの結果が芳しくないようでしたら、
学習スタイルの切り替え=「暗記から思考へ」を検討するのもよいと思います。
そこで今回は「並の暗記」型なのか、
思考に対抗できる「スーパー暗記」型あるいは「思考」型なのかを
確認できそうな問題をご紹介します。
前回のフェリス女学院中学校 2013年の入試問題 大問4(3)です。
大問4
図のように、底面がひし形である高さ6cmの四角柱があります。辺AB、BC、FG、GHのまん中の点をそれぞれ点P、Q、R、Sとします。また、ひし形ABCD、ひし形EFGHの対角線が交わってできる点をそれぞれM、Nとします。
1 正三角形 2 直角三角形 3 二等辺三角形 4 直角二等辺三角形
5 3つの角の大きさが30°、60°、90°の直角三角形
6 3つの角の大きさが30°、75°、75°の二等辺三角形
7 正方形 8 長方形 9 ひし形 10 台形 11 平行四辺形
12 五角形 13 正五角形 14 六角形 15 正六角形
(3)この四角柱、3点P、Q、Sを通る平面できるとき、切り口はどんな形ですか。1~15から最もふさわしいものを1つ選び、番号で答えなさい。また、頂点Fがある方の立体の切り口の面積を求めなさい。
切り口は、立体が立方体でしたらおなじみの正六角形ですね。
しかし、この問題は底面がひし形です。
作図してもよいのですが、少し水平方向に引き延ばしてあげてもOKです。
すると…、
のようにただの「六角形」とわかり、答えは14となります。
「思考力」のあるお子さんならば、
上の図のように辺の長さが違うので
「絶対に正六角形ではない!」と言い切れますし、
「スーパー暗記」型のお子さんでしたら、
「立方体じゃないんだから、たぶんただの六角形…?!」
と想像して答えを出すことができるでしょう。
ともあれ、(3)の切り口が正解できるということは、すばらしいと思います。
ではこの切り口の面積をどうやって求めればよいのでしょうか?
話をさきほどの立方体に戻して、
「切り口が最も大きい正六角形の場合、立方体は二等分される」以外の方法で、
2つに分けられたうちの一方の立体の体積を、
お子さんは求められるか確認して下さい。
この2つの方法のいずれかで求められればOKです。
というのは、これらの考え方ができるお子さんは
「切り口は三角形を利用して求めることができる!」
と気づけるからです。
上の左図で考えると、
「三角形(大)-三角形(小)×3」という方針が立ち、
さらに三角形(大)と三角形(小)の相似比=3:1ですから、
面積比は9:1となり、結局は三角形(小)の面積を求めればよいことが、
一本道で見えてきます。
ここで(1)に引き続いて「合同」が出てきました!
6cm×3cm÷2=9cm2…青色の三角形の面積
ですから、三角形(小)は、9cm2×2=18cm2 となり、
18cm2×(9-1×3)=108cm2が切り口(六角形)の面積です。
(1)が伏線になっていますが
、 それでも(3)の切り口の面積はかなり難しい問題です。
図の三角形WQPは二等辺三角形ですから、
「二等辺三角形は直角三角形に2分割する」という「合い言葉」を覚えておけば、
WXという補助線はすぐに引けます。
そこに伏線の(1)を組み合わせて解く問題でした。
このような問題を見ていくと、やはり受験算数で重要なことは
「(六角形ではなく)まずは三角形に着目する」
や
「二等辺三角形は直角三角形に2分割する」
のような「合い言葉」をたくさん覚え、
問題演習で実践することだなと感じます。
そしてこのことが「思考」につながっていくのだろうと考えています。