第599回 共学中の入試問題 数と計算 2
「第599回 共学中の入試問題 数と計算 2」
前回から、2022年度に出された共学中の入試問題を見ています。
今回は、「数と計算」の中から「約数と倍数」の問題について考えていきます。
では、1問目です。
【問題】5桁の整数の中で、0.3をかけても0.3で割っても答えが整数になるような数のうち、1番小さな数を答えなさい。
(東京農業大学第一高等学校中等部 2022年 問題2-(1))
【考え方】
約数と倍数の問題の基本の解き方は、問題文を式で表すことです。
□×0.3=整数
□÷0.3=整数
0.3を分数にしたかけ算の式に直します。
□×3/10=整数 … ア
□×10/3=整数 … イ
アの式から□は10の倍数、イの式から□は3の倍数とわかりますから、□は30の倍数です。
また、□は5けたの整数の中で最小です。
30×★≧10000
10000÷30=333余り10 → ★は334以上
30×334=10020
答え 10020
本問は、問題の条件を式に表すという基本の解き方が確認できる問題です。
「(計算の)答えが整数になる」という条件から、小数を分数に書き直すことに気づくこともポイントです。
では、2問目です。
【問題】全部で9個の約数をもつ整数について、その整数の約数を小さい順に並べ、下の図の①~⑨へ入れていきます。次の問いに答えなさい。
(1)ある整数の約数を⑥まで入れました。残りの⑦、⑧、⑨に入る数をそれぞれ答えなさい。
(2)(③の数)×(⑤の数)×(⑦の数)が35937となる整数を答えなさい。
(明治大学付属中野八王子中学校 2022年 問題5 問題文一部変更)
【考え方】
(1)
例えば、整数9の約数は1、3、9の3個で、
9=1×9=3×3
となるように、約数が奇数個の整数Aは、
A
=1×A
=(小さい方から2番目の約数)×(大きい方から2番目の約数)
…
=(真ん中の約数)×(真ん中の約数)
となります。
これを利用すると、
ある整数=(⑤の数)×(⑤の数)
となります。
6×6=36 … ある整数
36の約数は大きい方から順に、36、18、12です。
答え ⑦ 12、 ⑧ 18、 ⑨ 36
(2)
(1)より、
(③の数)×(⑦の数)=(⑤の数)×(⑤の数)=ある整数
となりますから、
(③の数)×(⑤の数)×(⑦の数)
=(⑤の数)×(⑤の数)×(⑤の数)
=35937
です。
35937
=3×3×3×11×11×11
=33×33×33
↓
⑤の数=33
33×33=1089
答え 1089
本問は、「約数を横Tの字に書き出す」という基本の求め方を応用する問題です。
正解できないようでしたら、「整数A=B×C→BとCはAの約数」という読み取り方を確認しましょう。
では、3問目です。
【問題】次の各問いに答えなさい。
(1)3けたの整数の中で、11の倍数は何個ありますか。
(2)3けたの整数の中で、17番目に大きい17の倍数は何ですか。
(3)201201と36582の公約数の中で、最も大きい3けたの数は何ですか。
(4)100や212のように、同じ数字が2個だけ使われている3けたの整数は何個ありますか。
(青山学院横浜英和中学校 2022年 問題3)
【考え方】
(1)
1以上999以下の11の倍数は
999÷11=90(個)余り9
あります。
1以上99以下の11の倍数は
99÷11=9(個)
あります。
よって、100以上999以下の11の倍数は
90個-9個=81個
です。
答え 81個
(2)
99以下に17の倍数は
99÷17=5(個)余り14
より、5個とわかります。
よって、3けたの整数の中で17番目に大きい17の倍数は、一番小さい17の倍数
17×1=17
から数えて
5+17=22(番目)
の数です。
17×22=374
答え 374
(3)
「公約数は最大公約数の約数」ですから、はじめに最大公約数を求めます。
201201と36582の最大公約数は
3×7×13×67=18291
です。
18291の約数のうち、3けたの数は
3×67=201
3×7×13=273
7×67=469
13×67=871
の4個があります。
答え 871
(4)
0を含む数
□□0 … □=1~9 9通り
□0□ … □=1~9 9通り
□00 … □=1~9 9通り
よって、0を含む数は
9+9+9=27(個)
です。
0を含まない数
3つの数の並び方は□□■、□■□、■□□の3通りがあり、このとき、□の選び方は9通り、■の選び方は8通りあります。
よって、0を含まない数は
3×9×8=216(個)
です。
27+216=243(個)
答え 243個
本問は、(1)で倍数の個数、(2)で個数の数え方、(3)で公約数の求め方が確認できる問題です。
今回は、2022年度に共学中の入試問題の中から「約数と倍数」の問題をご紹介しました。
3問目の(4)は場合の数の問題ですが、それ以外の問題は「約数と倍数」の基本の解き方で正解することができますので、この単元を習い終えていたら解き方をチェックしてみましょう。