第594回 女子中の入試問題 文章題 7
「第594回 女子中の入試問題 文章題 7」
これまで、2022年度の女子中の入試で 出された「文章題」の問題を取り扱ってきています。
今回は前回からの大問形式の「仕事算」に加え、「ニュートン算」についても見ていきます。
1問目は、仕事算の問題です。
【問題】ある学校のサッカー部員が、2つのグラウンドA、Bの整備をしました。AはBの3倍の広さです。はじめに全員でAを1時間整備しました。その後、部員の人数を半分ずつに分けて、一方がA、もう一方がBの整備をしました。15分後にAの整備が先に終わったところでその日の作業を終え、Bの残りの整備を次の日にすることにしました。2日目は部員の何人かでBの残りの整備をしたところ、42分かかりました。ただし、グラウンド整備をする1人あたりの仕事量は同じであるとします。
(1)A全体の広さは、はじめのⅠ時間で整備した部分の広さの何倍にあたりますか。
(2)もし2日目に全員でBの残りを整備したとすると、何分かかりますか。
(3)実際に、2日目にBの残りの整備をした部員の人数は何人ですか。ただし、サッカー部員の人数は50人以上60人以下です。
(白百合学園中学校 2022年 問題4)
【考え方】
(1)
「名前のない仕事算」ですから、サッカー部員1人が1時間にする仕事の量を1とします。
問題の条件を線分図に整理すると、次のようになります。
グラウンドAについて、はじめの1時間とあとの15分を比を用いて整理します。
(⑧+①)÷⑧=9/8
答え 9/8倍
(2)
(1)よりグラウンドAの広さが⑨と分かりましたから、グラウンドBの広さは
⑨÷3=③
です。
1日目のあとで整備したグラウンドBの広さは1日目のあとの15分でした広さと同じ①なので、2日目に整備したグラウンドBの広さは
③-①=②
です。
1日目のはじめと2日目に全員で整備した場合について、比を用いて整理します。
60分÷4=15分
答え 15分
(3)
2日目は、(2)より全員で整備すれば15分かかる広さを、実際には□人で整備したので42分かかったことになります。
広さは同じですから、時間の比と人数の比は逆比の関係です。
時間の比 15分:42分=5:14
↓
人数の比 14:5
サッカー部員全員と□人の比が14:5なので、サッカー部員全員の人数は14の倍数です。
「サッカー部員の人数は50人以上60人以下」という条件にあてはまる14の倍数は56だけなので、サッカー部員の人数は
14×4=56(人)
と決まります。
よって、2日目に整備した部員の人数は
5×4=20(人)
です。
答え 20人
本問は、仕事を分担して行うので問題の条件を線分図に整理しました。
そこから「比の積・商」を用いることに気づける問題、さらに(3)では整数条件が関係するという問題でした。
なお、(2)では(1)と同様の整理をしましたが、仕事をする人数が同じですから「広さの比=時間の比」の関係を用いてもOKです。
では、2問目です。
【問題】友子さんは、毎日同じ枚数の色紙にイラストをかいています。イラストがある程度の枚数たまったので、学さんにプレゼントすることにしました。毎日同じ枚数のイラストをかくことを続けながら、毎日6枚ずつプレゼントしていくと、ちょうど12日でなくなります。毎日15枚ずつプレゼントしていくと、ちょうど3日でなくなります。毎日5枚ずつイラストをプレゼントしていくと、イラストはちょうど何日でなくなりますか。答えを出すために必要な式、図、考え方なども書きなさい。
(鷗友学園女子中学校 2022年 問題2)
【考え方】
「ニュートン算」の問題です。
「ニュートン算」には、のべ量に着目する解き方と、単位量に着目する解き方があります。
のべ量に着目するときは、線分図を利用すると考えやすくなります。
6枚/日×12日-15枚/日×3日=27枚 … プレゼントした枚数の差
27枚÷(12日-3日)=3枚/日 … 友子さんが1日にかくイラストの枚数
15枚/日×3日-3枚/日×3日=36枚 … たまっていたイラストの枚数
5枚/日-3枚/日=2枚/日 … 1日に減っていくイラストの枚数
36枚÷2枚/日=18日
答え 18日
単位量に着目するときは、「水そう解法」を用いるとよいでしょう。
たまっていたイラストの枚数を日数の最小公倍数の⑫とします。
⑫÷12日=①/日 … 1日に減るイラストの枚数(上図)
⑫÷3=④/日 … 1日に減るイラストの枚数(下図)
④/日-①/日=15枚/日-6枚/日
①/日=3枚/日
⑫=3枚×12=36枚 … たまっていたイラストの枚数
36枚÷(5枚/日-3枚/日)=18日
本問は、ニュートン算の基本の解き方が確認できる問題です。
複雑な条件のあるニュートン算ではありませんので、のべ量、単位量のいずれに着目して解いても構わないと思います。
両方の解き方が使えると問題のレベルが上がっても対応できますから、一方だけしかマスターできていないときは、もう一方の解き方も身につけていきましょう。
今回は、2022年度の女子中入試で出された大問形式の仕事算とニュートン算をご紹介しました。
「文章題」についてはいったんここまでとし、次回からは「場合の数」を取り扱っていく予定にしています。