麻布中学 平成24年入試問題を振り返る
麻布中学です。
いよいよ今日から近畿圏の入試が始まりました。
受験生のみなさんが持てる力をすべて発揮されることを祈っています。
さてそんな日ですが、今回も入試まで少し間のある関東エリアの学校について、
平成24年度の入試を振り返っていきます。
第3回は麻布中です。
麻布中の算数の入試問題は、制限時間60分、60点満点、大問5~6題です。
平成24年の合格者最低点は122点(4科目合計200点)でした。
問題の構成は以下の通りです。
1 小問2題 立体図形の求積
2 小問3題 数の規則性((1)、(2)は理由の記述)
3 1題 通過算…消去算を利用して求める問題です。
4 小問3題 場合の数
5 小問3題 数の性質…最大公約数と分配のきまりの利用です。
6 小問4題 平面図形…辺の比と面積比に関する誘導形式の問題です。
これらを麻布中の受験生レベルで、問題難度をA(易)、B(標準)、C(難)に分類してみます。
1.(1)A (2)B
2.(1)A (2)A (3)B
3. C
4.(1)A (2)A (3)B
5.(1)A (2)B (3)B
6.(1)A (2)アB イC ウC
算数という入試科目は、
『解答数が少ない=1問あたりの配点が大きい』という特徴がありますが、
麻布中の場合ですと、60点満点÷小問16題=3.75点 です。
※100点満点に換算すると6.25点です。
合格最低点122点÷200点=61%=合格最低点を得るための正答率
小問数16題×0.61=9.76題 ですから、
Aレベルの問題(計7題)+Bレベルの問題(6題中3題以上)を解ききった受験生が合格し、
Bレベル問題を50%を正解できなかった受験生が目的を達成できなかったといえそうです。
Bレベルの中では6-(2)がやや難しく、
そのあとに続く6-(3)、(4)はCレベルの難問ですから、
この6-(2)で「手が止まってしまって」も、大きな影響はなかっただろうと思います。
キーになる問題はその前は、5でしょう。
5は(1)をAレベル、(2)(3)をBレベルとしていますが、
「すだれ算」や「逆わり算」と呼ばれる解法を用いれば、ほぼ同レベルです。
つまり、ここで「3問正解の受験生」と「一部だけ正解の受験生」で差がついた、
そんな可能性があるんです。
5
1以上の2つの整数に対し、それぞれの数をそれらの数の最大公約数で割った商の和を計算することを考えます。たとえば、18と12の最大公約数は6なので、18÷6+12÷6=3+2=5 となります。このことを [18、12]=5 と表すことにします。
(1)[ア、イ]=8 となるような整数ア、イで、アとイの和が16となるようなものを4つ答えなさい。
(2)[12、ウ]=8 を満たす整数ウを2つ答えなさい。
(3)[30、エ]=9 を満たす整数エをすべて答えなさい。
(考え方)
2つの整数A、Bの最大公約数をGとすると、
G)A B
A´ B´
という計算方法があります。
ここに、分配のきまりを利用すると、
G)A + B=P
A´ + B´=P÷G
となります。
問題本文中の例でみてみましょう。
6)18 + 12=30
3 + 2 =30÷6=5
この分配のきまりを使うことが、「18÷6+12÷6=3+2=5」で気づけると簡単でしたね。
ですから(1)は、
G)ア + イ=16
ア´+ イ´=16÷G=8
と同じですから、最大公約数G=2 が、すぐにわかります。
また、ア´と イ´は「互いに素(もうわることができない)」ですから、
(ア´、イ´)=(1、7)、(3,5)、(5,3)、(7,1)です。
ですから、
(ア、イ)=(2、14)、(6,10)、(10,6)、(14,2)です。
同じように(2)は、
G)12 ウ
○ + ウ´=8
と同じですから、最大公約数Gは12の約数です。
また、○は7以下ですから、Gは2以上とわかります。
2)12 ウ
6 + 2 =8 →6と2はまだ2でわれるからダメ!
3)12 ウ
4 + 4 =8 →4と4はまだ4でわれるからダメ!
4)12 ウ
3 + 5 =8 →ウ=20
6)12 ウ
2 + 6 =8 →2と6はまだ2でわれるからダメ!
12)12 ウ
1 + 7 =8 →ウ=84
(3)は(2)とまったく同じ方法で、
G)30 エ
○ + エ´=9
から、エ=24、105、240が求められます。
このように「解き方がわかっていれば、容易に全問正解」できる問題は、
大きな得点差がつく可能性が高い問題です。
今年の受験生はもちろん、来年受験する5年生のお子さんも、
「ラッキー!」と思った問題ほど「失敗は許されない」と考えるクセをつけておきたいですね。
塾の問題集の演習や過去問演習は、
このように「知っているから短時間で正確に答えを導きだせるようになる」ことが目的です。
5年生のお子さんはきたる入試に向け、
単元ごとの確認テスト(復習テスト、カリキュラムテスト、週例テストなど)を活用して、
「知っていたのに解けなかった問題」や「マスターできなかった問題」を
早め早めにつぶしていけるといいですね。
6年生の入試期間中は、5年生以下は休講の塾もあるでしょうし、
1月末~2月第1週がお休みの塾もあると思います。
ここで何をするかを今のうちに決めておきませんか?!