平成25年入試直前 昨年度の問題を振り返る 桜蔭中学
桜蔭中学です。
今回も前回に引き続き、入試まで少し間のある関東エリアの学校について、
平成24年度の入試を振り返ります。
第2回目は校門前に植えられた桜がぴったりな桜蔭中です。
桜蔭中の算数の入試問題は、
制限時間50分、100点満点、大問数は平成20年度以降は5題となっています。
なお、合格最低点や受験者平均などの数値は公表されていません。
平成24年度の問題の構成は以下の通りです。
Ⅰ 小問集合 (1)計算問題(2問) (2)倍数の個数(3問)
Ⅱ 小問2題 (1)回転体の体積 (2)回転体の表面積
Ⅲ 小問2題 ニュートン算
Ⅳ 小問3題 数の規則性…連続する整数のケタをばらしてできる数列
Ⅴ 小問3題 (1)点の移動 (2)点の移動 (3)立体の切断
これに、桜蔭中を受験するレベルでの問題難度を
A(易)、B(標準)、C(難)で振り分けてみます。
Ⅰ.(1)①A ②A (2)アA イA ウB
Ⅱ.(1)A (2)A
Ⅲ.(1)A (2)A
Ⅳ.(1)A (2)A (3)C
Ⅴ.(1)A (2)A (3)B
Aレベル…12題 Bレベル…2題 Cレベル…1題 計15題
算数という入試科目は、『解答数が少ない=1問あたりの配点が大きい』という特徴がありますが、
平成24年度の桜蔭中の場合ですと、100点満点÷小問15題≒6.7点 です。
合格者平均や受験者平均のデータがありませんので、
合格最低点を得点率を65~75%と仮定してみてみましょう。
15題×0.65~0.75=9.75~11.25題
この計算からは、Aレベルの問題(計12題)を解ききった受験生が合格し、
これを2題解きそびれた受験生が目的を達成できなかった可能性が高いといえそうです。
桜蔭中は近年、問題が以前よりも易しくなっています。
そのため、Aレベルの問題が多い年が続いていますが、
平成25年度入試は難化する可能性もあります。
というのも平成24年度の大学入試において、
東京大学の合格者数が減少したからです。
やはり東大や医学部系の合格者を出すためには、
入試でもう少し数学の素養を見ておきたいと考えることも十分にあります。
そう考えると、Aレベルの問題がBレベルに「格上げ」されるかもしれません。
例えば、Ⅱの回転体の形状を複雑にする、
あるいは回転を270°回転にするとBレベルになります。
また、Ⅲのニュートン算も条件を加えれば難しくすることができますし、
Ⅴ-(3)の立体切断も切断面を五角形にすれば計算は複雑になります。
「計算力」は桜蔭中受験にとって必須分野ですから、
「あまり算数にさける時間がないんだけど…」というお子さんも、
時間がかからない「計算力」を入試前に点検しておくことは損がないと思います。
では、Ⅱの回転が「1回転ではなく270°回転」であったらどうなるのか、
さらに回転させる図形を変えるとどうなるのかを、
元の問題とあわせてみていきましょう。
Ⅱ 右の図で、三角形ABCはAB=26cm、BC=10cm、CA=24cmの直角三角形です。 また、四角形ACDEは長方形で、CD=5cmです。四角形ABDEを、直線ACの周りに1 回転させてできる立体について、次の問いに答えなさい。
(1)体積を求めなさい。ただし、円すいの体積は(底面積)×(高さ)÷3で求めることができます。
(2)表面積を求めなさい。
これが元の問題なのですが、この立体図形の見取り図を書くことはそんなに難しいものでないですね。
では、これが270°回転ならばどうでしょうか?
この見取り図がさっと書けるならば、お子さんはかなりの実力といえます。
さらに回転させる図形を平行四辺形に変えるとどうなるかもみておくと、次のようになります。
問題の条件を少し変えるだけで、急に難しくなると感じませんか?
大手進学塾の教材が近年の入試問題に比べて少し難しめにしてあるのは、
このように同じテーマの問題でも条件を少し変えるだけで、計算が複雑になるからなんです。
受験生の皆さんは塾で得たこの経験を使って、
入試問題をみたときに、「パッと見が似ている」だけで飛びつくと意外に難しいと感じたときは、
「あぁ、過去問ではAレベルだったけれど、この問題はBレベルに格上げされているんだ…。」と思い直し、
それでも解けそうだと思えば取り組み、後回しかなと思ったら次の問題に移るといいですね。
これから6年生になるお子さんは、進学塾の教材には例年よりも難しくなったときのことも考えて、
少し解くのがしんどい問題も教材に入っているんだと思いながら、学習してみるといいと思います。