変形 来年受験生になる5年生のお子さんへ その2
石蕗!
お元気ですか?
ツワブキです。
ツワブキはキク科ツワブキ属の植物で、晩秋から冬にかけて黄色の花と咲かせます。
春の野草でもあり、フキノトウが有名なフキ(キク科フキ属)に近い植物ですが、
名前に「石」がつくのは、自生地が岩場などの荒れ地だからそうです。
フキノトウはもちろん、ツワブキの茎を煮付けて作るキャラブキも野趣あふれる味が何ともいえませんが、
フキもツワブキも、つぼみ、花、葉、茎、根のすべてが食用又は薬用に利用できる、
実はとっても「優れものの植物」なんです。
いくたびか 時雨のあめの かかりたる 石蕗の花も つひに終はりぬ 斎藤茂吉
フキやツワブキは花が咲き終わるとタンポポと同じような白い綿毛を持った種子を飛ばします。
この綿毛は「冠毛」といいますが、萼(がく)の一部が変形したものなんです。
そこで今回のテーマは、「変形 来年受験生になる5年生のお子さんへ」です。
算数で変形といえば、「等積変形(面積を変えずに、図形を変形させる)」がその代表でしょう。
前回の「割合」でご紹介した「比と割合」を習い終えたお子さんは、
「辺の比と面積」という分野をまもなく学習します。
ここで登場する代表的な単元のひとつが、この等積変形です。
もし、等積変形だけを学習するのであればお子さんもそんなに困ることはないのでしょうが、
等積変形のほかに、有名な「相似」、少し高度な技術である「隣辺比」も立て続けに学習します。
その結果、等積変形と相似がごちゃごちゃになってしまうお子さんも少なくはありません。
でも、どうしてごちゃごちゃになってしまうのでしょう?
実はその原因の多くが、5年生より前にあるのです。
それは「面積の求め方」です。
振り返ってみてください。
次のような問題で詰まったお子さんでしたら、等積変形でも詰まる可能性があります。
【問題】
次の図の三角形の面積を求めなさい。
ちゃんと、4×3÷2=6(cm2) と正解できましたか?
「どこが三角形の高さなのか」がつかみにくい問題を、
「適当に乗り越えた」お子さんはこのタイプの問題が苦手です。
「適当」であったとしてもいつでも正解できるお子さんは「適当」なのではなく、
「お子さんなりの落とし込み」が行われていますので、
等積変形も消化・吸収できると思います。
危険なのは、「正解することもあれば、間違えることもあった」お子さんです。
このタイプのお子さんは「底辺と高さの関係」を「目でとらえる」ことが上手くできていないのです。
算数の言葉で説明すると「底辺と高さは直角に交わる」という位置関係がつかめていないということです。
そこで、今後の学習で困らないようにするため、次のような練習をしてみませんか。
ステップ① 「三角形の面積は長方形の面積の1/2」
上の図のような問題を通して、
「アの面積=イの面積」 → イの面積=長方形の面積÷2
を、徹底します。
ステップ② 「ひき算を使って面積を求める」
長方形の半分ということが徹底できたら、次は上の図のような問題を通して、
「イの面積=アの面積-ウの面積」
→ 「7×3÷2-2×3÷2」
→ 「(7-2)×3÷2」
→ 「5×3÷2」
という、「分配法則」を利用して計算することを指導します。
ステップ③ 「式と図形の結びつけ」
ステップ②で使った問題を利用して、
「5×3÷2」が下の図が同じであることを覚えるようにさせます。
ステップ④
理由付けがある程度進んだら、上の図のような問題で練習をします。
最後に、【問題】であげたような図の三角形を使って、三角形の面積の求め方を整備し直します。
ここまでくると、「三角形の面積の求め方」と「等積変形」の関連性がわかりますね。
ステップ③の図から、
のように、
三角形ア(赤線)と三角形イ(斜線)はどちらも、5×3÷2 で求めることができますから、
三角形イを三角形アに変形することが可能とわかります。
これが「等積変形の基本形」です。
ですから、三角形の面積の求め方をしっかりとつかめていないお子さんは、
この等積変形でつまずく危険性が高いんです。
これから5年生になるお子さんで「図形がちょっと…」というご家庭は、
このような点検もしてみると5年生の学習効果に違いがでると思いますし、
新6年生になるお子さんにとっても6年生での伸びと関わってきます。
そんな点検に冬休みは絶好の機会です!
今から冬休みの使い方を計画しまてみせんか?