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第711回 男子中の入試問題 速さ 6

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速さの練習問題 2025年02月22日18時00分

「第711回 男子中の入試問題 速さ 6」

これまで近年に男子中の入試で出された「速さ」の問題を見てきました。

「速さ」の最終回となる今回は、「速さとグラフ」の問題を取り扱います。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】兄と弟の2人が家と公園の間を自転車で往復しました。兄は時速15㎞、弟は時速9㎞の速さで同時に家を出発しました。下のグラフは2人の間の距離と2人が家を出発してからの時間の関係を表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)兄は家を出発してから何分後に公園に到着したか答えなさい。

(2)アにあてはまる数を答えなさい。

(3)イにあてはまる数を答えなさい。

(日本大学豊山中学校 2024年 問題5)

 

【考え方】

(1)

隔たりグラフの問題です。

グラフ問題では、グラフが折れ曲がる点での「出来事」に着目します。

「出来事」は

① 2人が家を出発する

② 兄が公園に着く

③ 2人が出会う

④ 兄が家に戻る、または、弟が公園に着く

⑤ 弟が家に戻る

の順に起こります。

よって、兄が公園に着いたとき、弟はその3.6㎞後ろにいるとわかります。

3.6㎞÷(15㎞/時-9㎞/時)×60=36分

答え 36分後

 

(2)

(1)より、兄が36分後に公園に着いたことが分かりましたから、家と公園の間の距離は

15㎞/時×36/60時間=9㎞

です。

36分×2=72分 … 兄が往復にかかる時間

9㎞÷時速9㎞×60=60分 … 弟が家から公園までにかかる時間

ですから、2人の様子を進行グラフに書き直すと、次のようになります。

「弟が公園に着く」が「兄が家に戻る」よりも先の「出来事」ですから、ア=60(分)です。

答え 60

 

(3)

(2)より、イは兄が家に戻ったときの2人の間の距離とわかります。

9㎞/時×72/60時間=10.8㎞ … 72分間に弟が進む距離

ですから、兄が家に戻ったとき、弟は公園から

10.8㎞-9㎞=1.8㎞

のところにいます。

9㎞-1.8㎞=7.2㎞

答え 7.2

 

本問は、「グラフは折れ曲がる点に着目する」というグラフの読み取りの基本を確認できる問題です。

(2)のように、ある程度のことが分かってきたら、進行グラフ(ダイヤグラム)や線分図に整理し直すと、考えやすくなります。

また、(2)の解説では、「兄が家に戻る」と「弟が公園に着く」の2つの出来事もうちのどちらが先になるか、所要時間を求めて考えましたが、次のように、速さの比が15㎞/時:9㎞/時=5:3であることから考えることもできます。

 

2問目は1問目よりもやや複雑ですが、考え方は基本通りです。

 

【問題】バスの停留所Pから駅までは2400mあります。この2400mを三等分する地点に2つの停留所があります。バスは停留所でそれぞれ1分間停車します。AさんとBさんは停留所Pに集合し、Aさんは自転車で、Bさんはバスで駅に向かいます。Aさんが出発して3分後にバスはBさんを乗せて停留所Pを出発しました。Aさんの自転車は一定の速さで駅まで向かい、バスも停留所に停車する以外は一定の速さで走ります。しかし、駅の近くで渋滞し、バスだけ速さが遅くなったため、2人は同時に駅に着きました。下のグラフは、Aさんが停留所Pを出発してから駅に着くまでの時間とBさんとの距離の差の関係を表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)Aさんは毎分何mの速さで自転車に乗っていましたか。

(2)渋滞時のバスの速さは毎分何mですか。

(3)グラフのxの値はいくつですか。

(本郷中学校 2024年 問題3)

 

【考え方】

(1)

停留所P以降の停留所をQ、Sとして、グラフが折れ曲がる点での出来事を書き込みます。

バスが停留所Qに到着してから停車している1分間で、Aさんはバスとの間の距離を

200m-80m=120m

小さくしています。(グラフ中の赤色部分)

120m÷1分=120m/分

答え 毎分120m

 

(2)

2400m÷120m/分=20分 … Aさんが停留所Pから駅までにかかる時間

また、Aさんが停留所Pを出発してから10分後に、バスは停留所Pから

120m/分×10分+800m=2000m

の地点を走っていますから、渋滞中のバスは

20分-10分=10分

2400m-2000m=400m

を走行したことになります。

400m÷10分=40m/分

答え 毎分40m

 

(3)

バスが停留所Rに到着するのは、Aさんが停留所Pを出発してから

9分-1分=8分後

です。

ですから、バスが停留所Pから停留所Rまでを走行した時間は

8分-(3分+1分)=4分

です。

4分÷2=2分 … 停留所間の走行時間

800m÷2分=400m/分 … バスの速さ

バスが停留所Pを出発するとき、Aさんは

120m/分×3分=360m

前方にいます。

360m÷(400m/分-120m/分)=9/7分=1 2/7分 … バスが停留所Pを出発してからAさんに追いつくまでの時間

3分+1 2/7分=4 2/7分

答え 4 2/7(30/7)

 

本問も、隔たりグラフの読み取りを確認できる問題です。

前問よりも条件が複雑ですが、ある程度のことが分かってきたところで線分図や進行グラフ(ダイヤグラム)に整理し直すと、方針が立てやすいでしょう。

 

今回は、速さの最終回として、2024年度に男子中の入試で出された「速さとグラフ」の問題をご紹介しました。

隔たりグラフの問題はグラフ問題の中では難しい部類に属します。

ですから、この問題が苦手だと思われるときは、進行グラフ(ダイヤグラム)の問題で基本の読み取りを確認し、その後、隔たりグラフが折れ曲がる点での「出来事」の読み取りと整理の練習に取り組んでみるとよいと思います。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2025年02月22日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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