第700回 男子中の入試問題 数の性質 5
「第700回 男子中の入試問題 数の性質 5」
前回は2024年度に男子中の入試で出された「数の性質」の中から、「規則性」の問題について考えました。
今回は「数の操作」の問題を取り上げます。
早速、1問目から見ていきましょう。
【問題】1番目の数をア、2番目の数をイとして、以降、前の2数の積を求め、その一の位の数を書くという作業を続けます。そのようにしてできる数の列を{ア、イ}とします。
例
{3、9}→3、9、7、3、1、3、3、9、7、…
{6、2}→6、2、2、4、8、2、6、2、2、…
このとき、次の問いに答えなさい。
(1) {7、1}の30番目の数を求めなさい。
(2) {2、9}の1番目から30番目までの数の和を求めなさい。
(3) {4、9}の1番目から30番目までに4は何個あるか求めなさい。
(学習院中等科 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
例の{3、9}は作業をすると
のようになり、「3→9→7→3→1→3」の6個1セットを繰り返すことがわかります。
{7、1}も同じように作業をすると 7、1、7、7、9、3、7、1、… のように、「7→1→7→7→9→3」の6個1セットを繰り返すことがわかります。
30番目÷2個=15セット
ちょうど割り切れるので、30番目の数は15セット目の最後の数(6番目の数)の3です。
答え 3
(2)
{2、9}は 2、9、8、2、6、2、2、4、8、2、… のように、3番目の8から「8→2→6→2→2→4」の6個1セットを繰り返します。
(30番目-2個)÷6個=4セットあまり4個
はじめに2、9の2個が並び、その後は「8→2→6→2→2→4」を4回繰り返し、最後に8、2、6、2までの4個の数が30番目までに並びます。
2+9+(8+2+6+2+2+4)×4+8+2+6+2=125
答え 125
(3)
{4、9}は 4、9、6、4、4、6、4、4、6、4、… のように、3番目の6から「6→4→4」の3個1セットを繰り返します。
(30番目-2個)÷3個=9セットあまり1個
はじめに4、9の2個が並び、その後は「6→4→4」を9回繰り返し、最後に6の1個が30番目までに並びます。
1個+2個×9セット=19個
答え 19個
本問は、作業をすることで見つかる規則性を利用する問題で、「例」は作業方法の確認だけでなく、繰り返しがあることのヒントにもなっています。
(2)、(3)は3番目から規則的になるという点に注意が必要ですが、ヒントを活かして全問正解を目指しましょう。
続けて2問目です。
【問題】ある規則にしたがって5桁の整数の各位の数字の順序を入れかえて整数を作ることを「ソートする」とよぶことにします。たとえば、
・12345を1回ソートすると、12345→24531なので、24531になります
・54321を2回ソートすると、54321→42135→23514なので、23514になります
次の問いに答えなさい。
(1) 12345を24回ソートすると、どのような整数になりますか。
(2) ある整数を32回ソートすると、13245となりました。ある整数はいくつですか。
(立教池袋中学校 2024年 問題8)
【考え方】
(1)
入れかえの「規則」を見つけるために、「たとえば」以下を整理します。
整理すると、各位の数字は
一万の位 → 一の位
千の位 → 一万の位
百の位 → 十の位
十の位 → 千の位
一の位 → 百の位
に入れかわることがわかります。
この規則に従って12345をソートします。
上のように、5回ソートすると初めの整数に戻ります。
24回÷5回=4セットあまり4回
より、24回ソートしたときにできる整数は、4回ソートしたときにできる整数51423と同じです。
答え 51423
(2)
(1)より、5回ソートすると初めの整数に戻りますから、32回ソートしてできる整数は
32回÷5回=6セットあまり2回
より、2回ソートしたときにできる整数と同じです。
13245を「巻き戻し」ます。
答え 25314
本問も「繰り返し」の考え方が確認できる問題です。
正解できなかったときは、規則がわかるまで正確に書き出せることを確認しましょう。
次が今回の最後の問題です。
【問題】2以上の整数の中から数を1つ選びます。選んだ数に対して、次の[操作①]、[操作②]を、答えが1になるまでくり返します。
[操作①] 数が偶数のときは、その数を2で割る。
[操作②] 数が奇数のときは、その数に3をかけて1をたす。
例えば、選んだ数が4のときは、2回の操作で1になります。
選んだ数が5のときは、5回の操作で1になります。
(1) 選んだ数が6のときは、何回の操作で1になりますか。
(2) 選んだ数が17のときは、何回の操作で1になりますか。
選んだ数が7回の操作で1になるものをすべて求めると、3、20、21、128になります。
(中略)
(3) 選んだ数が9回の操作で1になるものをすべて求めなさい。また、その理由を図や言葉を使って説明しなさい。
(佼成学園中学校 2024年 問題5 問題文一部省略)
【考え方】
(1)
6 … 偶数なので2で割ります。 → 3
3 … 奇数なので3をかけて1をたします。 → 10
10 … 偶数なので2で割ります。 → 5
5 … 奇数なので3をかけて1をたします。 → 16
16 … 偶数なので2で割ります。 → 8
8 … 偶数なので2で割ります。 → 4
4 … 偶数なので2で割ります。 → 2
2 … 偶数なので2で割ります。 → 1
答え 8回
(2)
17→52→26→13→40→20→10→5→16→8→4→2→1
答え 12回
(3)
はじめに[操作①]だけを続けた場合を書き出します。
[操作②]で作ることができる整数は3で割ると1余る数ですから、256、64、16のそれぞれから1を引いて3で割った数を書き加えます。
最後に、これらの数について逆算していきます。
答え 12、13、80、84、85、512
本問は、決まりに従って順に計算したり、逆算したりする問題です。
(3)は解説図のように「1」を左に書いて逆算していくと書きやすいでしょう。
また、「2で割る」の逆算の結果だけを先に書いておくと抜け漏れを防ぎやすいです。
今回は、2024年度に男子中で出された「数の操作」の問題をご紹介しました。
1問目と2問目は「繰り返し」の問題で前回の「規則性」の仲間、3問目は正確に書き出して答えを求める、いずれも大切な問題です。
「繰り返し」の問題が苦手なときは、カレンダーのように1セットごとに下段に書くことを試してみてください。