第699回 男子中の入試問題 数の性質 4
「第699回 男子中の入試問題 数の性質 4」
これまで2024年度に男子中の入試で出された「数の性質」の問題を見ています。
今回も前回に続いて「規則性」について考えていきます。
1問目は、「数表」の定番問題です。
【問題】下の図のように1から順に整数が並んでいます。104は何列目にありますか。
(東京都市大学付属中学校 2024年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
整数を
1
2→3→4
5→6→7→8→9
10→11→12→13→14→15→16
のように並べていくと、並んだ整数が正方形の形になる「正方形タイプの数表」です。
この数表の1行目、2列目にある「4」を(1、2)=4 のように表すとすると、
(1、1)=1
(1、2)=4
(1、3)=9
(1、4)=16
のように、(1、□)=□×□ となっています。
(1、10)=10×10=100
(1、11)=11×11=121
ですから、104は次の位置にあることが分かります。
答え 4列目
本問は、1からの整数が順に並ぶ正方形タイプの数表は
① 平方数に着目する
② (一部を省略した)数表をかく
という基本の考え方が確認できる問題です。
2問目は、大問形式の「数表」の問題です。
【問題】図のように、ある規則にしたがって整数を1から順に並べ、上から○行目、左から□列目にある数を(○、□)と表すことにします。例えば、上から2行目、左から3列目にある数は8なので、(2、3)=8です。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)(7、7)で表される数を求めなさい。
(2)(X、X)=221のとき、Xにあてはまる数を求めなさい。
1行目にも1列目にもない数を1つ選び、その数の上下左右にある5つの数を小さい順にA、B、C、D、Eとします。例えば13を選ぶと、Aは8、Bは9、Cは13、Dは18、Eは19です。
(3)Cが70のとき、A+Eを求めなさい。
(4)A+B+C+D+E=1332のとき、Cを求めなさい。
(5)Cが(20、24)で表されるとき、A+B+C+D+Eを求めなさい。
(攻玉社中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
与えられた表の対角線上に並ぶ整数に着目します。
(1、1)=1
(2、2)=5
(3、3)=13
(4、4)=25
(5、5)=41
これらの数を表に整理します。
並べる整数の差を見ると4ずつ大きくなっていますので、続きは次のようになります。
答え 85
(2)
(1)より、
(X、X)=221=1+(4+8+12+…+■)
のように表せます。
4+8+12+…+■=221-1=220
なので、この式を4で割ると
1+2+3+…+■/4=55
となります。
1から10までの整数の和が55ですから、
■/4=10 → ■=10×4=40
とわかります。
対角線上に並ぶ整数の差は4の倍数と考えることもできますから、
40÷4=10
より、次のような表になります。
よって、X=11です。
答え 11
(3)
数表で例を確認します。
Cは13で、
A+E=8+19=27
よりも1小さい26の半分となっています。
Cを他の数にして調べても、
C=(A+E-1)÷2 → A+E=C×2+1
という関係になっていますので、Cが70のときは、
A+E=70×2+1=141
とわかります。
答え 141
(4)
(3)のときと同じように調べると、
C=(B+D-1)÷2 → B+D=C×2+1
となってます。
ですから、
A+B+C+D+E
=(A+E)+(B+D)+C
=(C×2+1)+(C×2+1)+C
=C×5+2
となります。
C×5+2=1332 → C=(1332-2)÷5=266
答え 266
(5)
各行に並ぶ整数の増え方について調べます。
表から○行に並ぶ整数の増え方は、○から始まる公差が1の等差数列になっていることがわかります。
ですから、20行目に並ぶ整数の増え方は20から始まる公差が1の等差数列です。
(2)より、
(20、20)
=1+4+8+12+…+4×(20-1)
=1+(4+76)×19÷2
=761
ですから、(20、24)にあるCは
761+39+40+41+42=923
です。
(4)より、
A+B+C+D+E=C×5+2
なので、C=923のとき、
A+B+C+D+E=923×5+2=4617
です。
答え 4617
本問は、誘導に従って解き進めていく問題です。
数表は1、2→3、4→5→6、7→8→9→10、… と三角形の形に整数が並ぶ「三角形タイプの数表」で、前問の「正方形タイプの数表」よりも難しい問題ですが、与えられた5マス×5マスの表の対角線上に並ぶ整数だけをあらためて表にして見やすくすることや、十字型に並んだ5つの整数をいくつかの場合について調べることで、それぞれの規則性を見つけることが可能です。
今回は、2024年度に男子中で出された「数表」の問題をご紹介しました。
数表の問題を解くときは、「正方形タイプは平方数に着目する」や「三角形タイプは三角数に着目する」のような基本の知識や「対角線上の数に着目」や「隣り合う数に着目」などの応用レベルの知識などが必要です。
さらに、2問目の後半であったように「少し調べてみる」という着想も重要なポイントです。
数表の問題が苦手なときは、まずは一行問題レベルの定番問題で知識の定着に取り組み、定番問題が正解できるようになった後に大問形式の問題にステップアップしましょう。