第698回 男子中の入試問題 数の性質 3
「第698回 男子中の入試問題 数の性質 3」
2024年度に男子中で出された入試問題について考えています。
前回は「数の性質」の中から「約数と倍数」の問題を見ました。
今回と次回は「規則性」の問題を取り扱います。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】あるきまりにしたがって下のように分数を並べました。
このとき、分子と分母の差が101になる分数はいくつですか。
(本郷中学校 2024年 問題2-(3))
【考え方】
問われている「差」を表に整理します。
表より「分子と分母の差=番目+1」とわかりますから、差が101となる分数は
101-1=100
より、100番目の数です。
分子は1から始まる公差が3の等差数列です。
等差数列の□番目の数は 初項+公差×(□-1)で求められますから、100番目の分数の分子は
1+3×(100-1)=298
です。
298+101=399 … 分母
よって、求める分数は 298/399 です。
答え 298/399
本問は、表を使った規則性の見つけ方と等差数列の□番目の数の求め方が確認できる問題です。
上記のように、並んでいる数に番号をつけて表に整理すると、規則性やその計算方法が見つけやすくなります。
2問目も、分数の規則性に関する問題です。
【問題】次のように、ある規則にしたがって数を並べます。
次の問いに答えなさい。
(1)50番目の数はいくつですか。
(2)8回目にあらわれる 1/2 は何番目の数ですか。
(3)12回目にあらわれる 2/3 は何番目の数ですか。
(鎌倉学園中学校 2024年 問題4)
【考え方】
(1)
分数の列は、次のように区切ることができます。
このように区切ると、第□群には、1と分母が(□+1)で1より小さい分数が、合わせて(□+1)個並んでいます。
50=2+3+ … +9+6
ですから、50番目の分数は第9群の6番目の数です。
6-1=5 … 分子
9+1=10 … 分母
5/10=1/2
答え 1/2
(2)
(1)からも分かるように、「あらわれる1/2」には、約分すると 1/2 になる分数も含まれます。
1/2=2/4=3/6=…=8/16
より、8回目にあらわれる 1/2 は 8/16 を約分したものです。
8+1=9
16-1=15
なので、8/16 は第15群の9番目の数です。
第1群から第14群までに並ぶ数の個数は2個、3個、4個、…、15個で、これは2から始まる公差が1の等差数列です。
等差数列の和は(初項+末項)×項数÷2 で求められますから、第1群から第14群までに並ぶ数の個数は
(2+15)×14÷2=119
より、119個です。
よって、第15群の9番目の数は
119+9=128
より、128番目の数です。
答え 128番目
(3)
(2)と同様に考えます。
2/3 … 1回目
(2×2)/(3×2)=4/6… 2回目
(2×3)/(3×3)=6/9 … 3回目
・
・
・
(2×12)/(3×12)=24/36 … 12回目
24+1=25
36-1=35
より、12回目にあらわれる 2/3 は第35群の25番目の数です。
(2+35)×34÷2+25=654
答え 654番目
本問は、規則的に区切ることのできる数列(群数列)と等差数列の和の求め方が確認できる問題です。
この問題も前問と同じように、つけた「番号」と規則性を関連付けるとミスを防ぎやすくなります。
3問目は、「図形の規則性」の問題です。
【問題】下の図のように、正方形をつなげる作業をくり返します。1回目の作業では1辺1㎝の正方形に1辺1㎝の正方形をつなげ、2回目の作業では1辺2㎝の正方形をつなげ、3回目の作業では1辺3㎝の正方形をつなげ、4回目の作業では1辺5㎝の正方形をつなげます。このように、正方形を右、下、右、下、… の順につなげる作業をくり返すとき、次の問いに答えなさい。
(1)7回目の作業でつなげた正方形の1辺の長さは何㎝ですか。
(2)7回目の作業を終えてできた長方形の面積と、7回目の作業でつなげた正方形の面積の差は何㎠ですか。
(3)作業を終えてできた長方形の面積と、作業の最後につなげた正方形の面積の差が33552㎠となるのは、何回目の作業を終えたときですか。
(獨協中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
作業の様子を表に整理します。
表を見ると、奇数回目につなぐ正方形の1辺は直前の長方形の縦の長さと同じ、偶数回目につなぐ正方形の1辺は直前の長方形の横の長さと同じです。
また、奇数回目にできた長方形の縦は直前の長方形の縦と同じで横は直前の長方形の縦と横の和と同じ、偶数回目にできた長方形の縦は直前の長方形の縦と横の和と同じで横は直前の長方形の横と同じです。
この規則に従って、5~7回目も表に整理します。
答え 21㎝
(2)
1~4回目の様子を整理した(1)の表を見ると、□回目の面積の差はその直前にできた長方形の面積と同じです。
ですから、7回目の作業を終えてできた長方形の面積と、7回目の作業でつなげた正方形の面積の差は、6回目にできた長方形の面積の
21㎝×13㎝=273㎠
と同じです。
答え 273㎠
(3)
(1)と(2)でわかったことを利用します。
21×34=714㎠ … 8回目の作業を終えたときの差
55×34=1870㎠ … 9回目の作業を終えたときの差
55×89=4895㎠ … 10回目の作業を終えたときの差
144×89=12816㎠ … 11回目の作業を終えたときの差
144×233=33552㎠ … 12回目の作業を終えたときの差
答え 12回目
本問は、図形の規則性を表に整理して解くという考え方が確認できる問題です。
次第に大きくなる図形をかくことはできませんが、表に整理することで規則を発見し、それを利用して解くことができます。
今回は、2024年度に男子中の入試で出された「規則性」の問題をご紹介しました。
等差数列の公式は規則性の問題でよく利用しますので、いつでも正確に計算できるようにしておきましょう。
また、表に整理すると規則性が見つけやすくなることも、大切なポイントとして覚えておきましょう。