第691回 共学中の入試問題 場合の数 1
「第691回 共学中の入試問題 場合の数 1」
前回まで、近年の共学中の入試で出された「立体図形」の問題を取り扱ってきました。
今回からは「場合の数」について考えていきます。
1回目の今回は、基本レベルの問題を見ていきます。
1問目は「選び方」の問題です。
【問題】6人のグループの中から班長を1人、副班長を2人選びます。選び方は全部で何通りありますか。
(早稲田実業中等部 2024年 問題1-(2))
【考え方】
はじめに、6人にA、B、C、D、E、Fの名前を付けます。
次に、班長がAになるときの副班長の選び方を考えます。
班長がB、C、D、E、Fのときにも、同じ形の樹形図をかけますから、全部で
10通り×6=60通り
です。
答え 60通り
本問は、選び方の基本が確認できる問題です。
樹形図の他に、次のような書き出し方もあります。
や
など
また、班長の選び方が6通り、副班長の選び方が
5C2=(5×4)/(2×1)=10通り
なので、
6通り×10通り=60通り
と、計算で求めてもOKです。
では、2問目です。
【問題】下の図のような、1列目と2列目は2人がけ、3列目は3人がけの7人乗りの車に、大人3人、子ども4人が乗るときの座り方を考えます。運転席には大人が座り、各列とも子どもが座る隣りに最低1人の大人が座るとき、座り方は何通りあるか答えなさい。
(市川中学校 2024年 問題1-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
はじめに、人数が少ない大人の席について考えます。
「大人3人」、「運転席には大人」、「子どもが座る隣りに最低1人の大人」という条件から、大人の席は次の2つのパターンがあります。
各パターンにおいて、子どもは大人が座る席以外に座ります。
次に、大人が座る席をA、B、C、子どもが座る席をア、イ、ウ、エとします。
それぞれのパターンにおいて、大人3人の座り方は、Aが3通り、Bが2通り、Cが1通りですから、
3通り×2通り×1通り=6通り
です。
また、子ども4人の座り方は、アが4通り、イが3通り、ウが2通り、エが1通りですから、
4通り×3通り×2通り×1通り=24通り
です。
ですから、全部で
6通り×24通り×2パターン=288通り
の座り方があります。
答え 288通り
本問は、数が少ない方を先に着目するという考え方が確認できる問題です。
なお、座席の代わりに、大人にA、B、C、子どもにア、イ、ウ、エと名前を付けても構いません。
3問目は、「図形の個数」に関する問題です。
【問題】円周上に5つの異なる点A、B、C、D、Eがあります。このうち3つの点を選んで三角形を作ると、三角形は全部で何個できますか。
(芝国際中学校 2024年 問題2-(5))
【考え方】
例えば、次の図のように3点A、B、Cを選んで三角形を作ると、使わない点としてD、Eのが2個残ります。
ですから、三角形を作る3点の選び方と使わない2個の選び方は同じだけあるとわかります。
使わない2点の選び方は、1問目のように樹形図などをかいてもよいですし、
5C2=(5×4)/(2×1)=10通り
のように計算で求めることもできます。
答え 10個
本問は、「5点から3点を選ぶ」ことと、「5点から残りの2点を選ぶ」ことが同じという考え方が確認できる問題です。
引き続き、4問目を見ていきます。
【問題】図のように、円周上に8個の点があります。これらの点から4個の点を選んで直線で結び四角形を作ります。このようにしてできる四角形は全部で何個ありますか。
(三田国際学園中学校 2024年 問題1-(2) 問題文一部変更)
【考え方】
例えば、A、B、C、Dの4個の点を選んで四角形ABCDを作る場合を考えます。
このとき、4個の点A、B、C、Dを並べる順序は次の24通りがあります。
(4通り×3通り×2通り×1通り=24通りのように計算で求めることもできます。)
このように、A、B、C、Dの4個の点の並べ方は24通りありますが、どの順序で並べてもできる四角形は四角形ABCDの1個です。
ですから、8個の点から4個の点を順に並べる方法は
8通り×7通り×6通り×5通り=1680通り
ありますが、できる四角形の個数は
1680通り÷24通り=70個
です。
答え 70個
本問は、並べる順序を区別しない場合の考え方が確認できる問題です。
8C4=(8×7×6×5)/(4×3×2×1)=70通り
のように計算で求めてもOKです。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された、「場合の数」の基本問題をご紹介しました。
いずれも大切な考え方ですから、もし、正解できないときは、樹形図などを用いた「書き出し」、「並べ方」や「選び方」の計算方法や計算式の理由などを確認しましょう。