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第688回 共学中の入試問題 立体図形 3

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図形の練習問題 2024年09月14日18時00分

「第688回 共学中の入試問題 立体図形 3」

前回は、近年の共学中の入試で出された「立体図形」の中から「回転体」と「積み木」の問題を取り扱いました。

今回は、「立体の切断」がテーマの問題を見ていきます。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】下図のようなAB=AD=4㎝、AE=8㎝の直方体があります。辺CGの真ん中の点をPとし、辺AE上にEQ=6㎝となるように点Qをとります。この直方体を3点D、P、Qを通る平面で切ると点Hを含む立体の体積は何㎤ですか。

(広尾学園小石川中学校 2024年 問題2-(1) 問題文一部変更)

 

【考え方】

切断の3原則

1 同じ面上の2点を結ぶ

2 平行に向かい合う面の切り口は平行

3 延長

を利用して、作図します。

AQ=8㎝-6㎝=2㎝

なので、立体を前から見た図のPRの長さも2㎝です。

RF=8㎝-(4㎝+2㎝)=2㎝

点Hを含む立体の体積は、底面を正方形EFGHとみると、QE、RF、PG、DHの平均を高さとする直方体の体積と同じです。

(8㎝+6㎝+2㎝+4㎝)÷4=5㎝ … 平均の高さ

4㎝×4㎝×5㎝=80㎤

答え 80㎤

 

本問は、切断の基本が確認できる問題です。

なお、底面が正方形なので、高さの平均を向かい合う高さの平均( 例:(6㎝+4㎝)÷2=5㎝ )で求めることもできます。

 

2問目は、円柱の切断がテーマの基本問題です。

 

【問題】下の図は、底面の半径が5㎝の円柱をある平面で切った立体Aと、底面の半径が10㎝の円柱を、底面の中心を通り底面に垂直な平面で切った立体Bです。立体Bの体積は、立体Aの体積の何倍ですか。ただし、円周率は3.14とします。

(國學院久我山中学校 2024年 問題2-(7) 問題文一部変更)

 

【考え方】

立体A、Bに、それぞれと合同な立体を合わせると、次のような円柱を作ることができます。

ですから、立体Aの体積は

5㎝×5㎝×3.14×(4㎝+8㎝)÷2=150㎤×3.14

立体Bの体積は

10㎝×10㎝×3.14×9㎝÷2=450㎤×3.14

です。

(450㎤×3.14)÷(150㎤×3.14)=3倍

答え 3倍

 

本問は、平面で切断された円柱の体積の求め方を確認できる問題です。

なお、立体Aの底面が円なので、

向かい合う高さの平均=(4㎝+8㎝)÷2=6㎝

を高さとする円柱として求めることもできます。

 

3問目は、直方体を組み合わせた立体の切断問題です。

 

【問題】下の図は、1辺が4㎝の立方体から、底面が1辺2㎝の正方形である直方体を切り取ってできる立体です。4点B、C、E、Hを通る平面でこの立体を切ってできる2つの立体のうち、点Aを含む立体の体積を求めなさい。

(成蹊中学校 2024年 問題2-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

はじめに、元の立方体を4点B、C、E、Hを通る平面で切ってできる立体の作図をします。

次に、同じ平面(赤色部分)で立方体から切り取った直方体を切断します。

2㎝:□㎝=4㎝:4㎝ → □=2×4÷4=2(㎝)

以上から、次のような図形式をかくことができます。

4㎝×4㎝×1/2×4㎝-2㎝×2㎝×1/2×2㎝=28㎤

答え 28㎤

 

本問は、一部を切り取られた立体を切断するときの考え方を確認できる問題です。

切り取られた立体をそのまま切断するのが難しいときは、「全体から引く」を利用しましょう。

 

最後の問題は、切断された立体の表面積に関する問題です。

 

【問題】下の図のように、1辺の長さが12㎝の立方体があります。この立方体の頂点Aから3つの点P、Q、Rが同時に出発し、点Pは毎秒1㎝の速さで辺AB上を、点Qは毎秒2㎝の速さで辺AD上を、点Rは毎秒3㎝の速さで辺AE上を往復します。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)出発してから3秒後に、3つの点P、Q、Rを通る平面で立方体を切断します。このとき、頂点Aをふくむ方の立体の体積は何㎤ですか。

(2)出発してから6秒後に、3つの点P、Q、Rを通る平面で立方体を切断します。このとき、頂点Aをふくむ方の立体の表面積は何㎠ですか。

(専修大学松戸中学校 2024年 問題3 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

3秒後の見取り図をかきます。

1㎝/秒×3秒=3㎝ … AP

2㎝/秒×3秒=6㎝ … AQ

3㎝/秒×3秒=9㎝ … AR

頂点Aを含む立体は、三角すいA-PQRです。

3㎝×6㎝×1/2×9㎝×1/3=27㎤

答え 27㎤

 

(2)

6秒後の見取り図をかきます。

1㎝/秒×6秒=6㎝ … AP

2㎝/秒×6秒=12㎝ … AQ

3㎝/秒×6秒=18㎝

18㎝-12㎝=6㎝ … ER

12㎝-6㎝=6㎝ … AR

頂点Aを含む立体は立方体を4等分した直方体にぴったり入る特別な三角すいで、その展開図は立方体の1つの面と合同な正方形です。

12㎝×12㎝=144㎠

答え 144㎠

 

本問は、立方体を4等分した直方体にぴったり入る特別な三角すいの知識が確認できる問題です。

 

今回は、2024年度に共学中の入試で出された「立体の切断」の問題をご紹介しました。

問題の難度に差が少しありますが、いずれも定番の問題です。

習い終えていてできない問題があれば、作図、知識、計算に分けて間違いをチェックし、見つかった課題を補いましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年09月14日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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