第686回 共学中の入試問題 立体図形 1
「第686回 共学中の入試問題 立体図形 1」
ここまで近年の共学中の入試で出された「平面図形」を見てきました。
今回からは「立体図形」を取り扱っていきます。
その1回目のテーマは「柱体やすい体の体積と表面積」です。
1問目は、円すいに関する基本レベルの問題です。
【問題】図のような2つの円すいがあります。2つの円すいの表面積が等しいとき、□にあてはまる数を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(芝浦工業大学附属中学校 2024年 問題3-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
円すいの側面積は「母線×底面の半径×円周率」で求めることができます。
16㎝×5㎝×3.14=80㎠×3.14 … 円すい(左)の側面積
5㎝×5㎝×3.14=25㎠×3.14 … 円すい(左)の底面積
□㎝×7㎝×3.14 … 円すい(右)の側面積
7㎝×7㎝×3.14=49㎠×3.14 … 円すい(右)の底面積
□㎝×7㎝×3.14=80㎠×3.14+25㎠×3.14-49㎠×3.14
□㎝=(80㎠+25㎠-49㎠)÷7㎝
□㎝=8㎝
答え 8(㎝)
本問は、円すいの側面積の求め方が確認できる問題です。
なお、円すいの側面積を円すいの展開図のおうぎ形の面積としてを求めても構いません。
2問目は、定番の基本問題です。
【問題】下の図は1辺の長さが4㎝の立方体です。この立方体と、4点A、C、F、Hを頂点とする三角錐との体積の比をもっとも簡単な整数の比で求めなさい。
(東京都市大学等々力中学校 2024年 問題2-(4) 問題文一部変更)
【考え方】
三角すいACFHは立方体ABCD-EFGHから三角すいC-FGHと合同な三角すいを4つ取り除いた立体です。
4㎝×4㎝×4㎝=64㎤ … 立方体ABCD-EFGHの体積
4㎝×4㎝×1/2×4㎝×1/3=32/3㎤ … 三角すいC-FGHの体積
64㎤-32/3㎤×4=64/3㎤ … 三角すいACFHの体積
64㎤:64/3㎤=3:1
答え 3:1
本問は、立方体の中にできる三角錐(正四面体)の体積の求め方が確認できる問題です。
定番の基本問題ですから、正解できなかったときは間違えた理由を必ずチェックしましょう。
なお、次のように比を利用して解く方法もあります。
6:(6-1×4)=3:1
3問目は、投影図の問題です。
【問題】一辺が3㎝の立方体3つをそれぞれ削って作った、立体A、立体B、立体Cの3つの立体があります。【図1】のように、これらの立体をそれぞれ右、正面、真上から見ると、下図の【立体A】~【立体C】の■部分のように見えました。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、同じ印の部分は同じ長さとし、削る量は最も少ないものとします。また、真上から見るときは正面に立って見ています。
(1)立体Aの表面積は何㎠か求めなさい。
(2)立体Bの体積は何㎤か求めなさい。
(3)立体Cの体積は何㎤か求めなさい。
(東邦大学付属東邦中学校 2024年 問題5 ※ 立体Cの条件を変更しました。)
【考え方】
(1)立体Aは、立方体から四角柱(直方体)を削ったものです。
立体Aの表面積は、元の立方体の表面積からの増減で求めることができます。
3㎝×3㎝×6面=54㎠ … 元の立方体の表面積
増えた部分は、削られた四角柱の側面積です。
1㎝×4辺×3㎝=12㎠ … 増えた表面積
減った部分は、削られた四角柱の底面積2面分です。
1㎝×1㎝×2面=2㎠ … 減った表面積
54㎠+12㎠-2㎠=64㎠
答え 64㎠
(2)
立体Bの見取り図をかいてみます。
見取り図より、立体Bは元の立方体から「1㎝×1㎝×3㎝」の直方体を2つと「1㎝×1㎝×1㎝」の立方体を1つ削った立体と考えて体積を求めてもよいですし、見取り図をうまくかけないときは、次のように立体Bを上から1㎝ごとに水平に切って3段に分けた立体を真上から見た図をかいて考えることもできます。
ここでは、後者の方法で計算していきます。
1辺が1㎝の立方体が上の段から順に7個、6個、7個ありますので、立体Bの体積は
1㎝×1㎝×1㎝×(7個+6個+7個)=20㎤
です。
答え 20㎤
(3)
(2)と同じように、立体Cを上から1㎝ごと、3段に分けます。
1辺が1㎝の立方体が上の段から順に7個、2個、3個ありますので、立体Cの体積は
1㎝×1㎝×1㎝×(7個+2個+3個)=12㎤
です。
答え 12㎤
本問は、立方体から直方体や立方体をくり抜いてできる立体の考え方が確認できる問題です。
※ 3問目の(3)は「誤りがあったために受験者全員の解答が正解」とされた問題でしたので、立体Cの条件を変更しました。
見取り図をかきにくい場合は、本問を「積み木」問題の仲間として考え、立体を水平に切り分けた図をかくと考えやすいでしょう。
なお、(1)は1辺が3㎝の正方形から1辺が1㎝の正方形を切り抜いた図形を底面とする穴の空いた四角柱と考えると、(底面の周り)×(柱体の高さ)=(柱体の側面積)を利用し、
(3㎝×4辺+1㎝×4辺)×3㎝=48㎠
のようにして側面積を求めることもできます。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「柱体やすい体の体積と表面積」の問題をご紹介しました。
条件を変更した3問目の(3)を除くと、ご紹介した他の問題は基本レベルの問題ですので、計算方法を習い終えていれば、ミスなく正解できるかをチェックしてみましょう。