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第681回 共学中の入試問題 平面図形 3

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図形の練習問題 2024年07月27日18時00分

「第681回 共学中の入試問題 平面図形 3」

前回は、近年の共学中の入試で出された「平面図形」の中から「求積」の問題を取り扱いました。

今回は、「曲線図形」のいろいろな問題を見ていきます。

 

1問目は、基本レベルの問題です。

 

【問題】下図のような直径16㎝の半円があります。斜線部分の面積は何㎠ですか。ただし、円周率は3.14とします。

(広尾学園小石川中学校 2024年 問題2-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

円問題の補助線(中心と結ぶ半径)引きます。

16㎝÷2=8㎝ … 半径

三角形OACはOA=OC=8㎝の二等辺三角形ですから、その外角BOCの大きさは

15度×2=30度

です。

三角形OCDは30度、60度、90度の直角三角形ですから、

CD=OC÷2=8㎝÷2=4㎝

です。

斜線部分は、中心角が

180度-30度=150度

のおうぎ形から二等辺三角形OACを取り除いた図形です。

8㎝×8㎝×3.14×150度/360度-8㎝×4㎝÷2

=1016/15㎠

=67 11/15㎠

答え 67 11/15㎠

 

本問は、円問題の補助線の使い方が確認できる問題です。

正解できなかったときは、30度、60度、90度の直角三角形も含めた知識と計算の精度をチェックしましょう。

 

2問目も、大切な定番の問題です。

 

【問題】下の図は正方形とおうぎ形を組み合わせたものです。2つのおうぎ形が交わる点をPとし、PとC、PとDをそれぞれ結びます。このとき、斜線部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(江戸川学園取手中学校 2024年 問題1-(3) 問題文一部変更)

 

【考え方】

円問題の補助線(中心と結ぶ半径)引くと、三角形ABPは1辺の長さが10㎝の正三角形とわかります。

90度-60度=30度 … 角あ○

三角形BEPは30度、60度、90度の直角三角形ですから、

PE=BP÷2=10㎝÷2=5㎝

です。

斜線部分(1つ分)は、中心角が30度のおうぎ形から三角形BCPを取り除いた図形です。

10㎝×10㎝×3.14×30度/360度-10㎝×5㎝÷2=7/6㎠ … 斜線部分の面積(1つ分)

7/6㎠×2=7/3㎠=2 1/3㎠

答え 2 1/3㎠

 

本問も、前問と同じように円問題の補助線と30度、60度、90度の直角三角形の知識が確認できる問題です。

補助線である半径を引くと二等辺三角形や正三角形、おうぎ形ができることを念頭に置くと、補助線も見つけやすくなると思います。

 

3問目は大問形式の問題です。

 

【問題】下の図のように、たての長さが6㎝、横の長さが8㎝の長方形ABCDがあります。この長方形の内側に、3つの頂点A、B、Cを中心とするおうぎ形をかきました。それぞれのおうぎ形は、3つの点P、Q、Rで接しています。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(1)ACを直径とする円をかいたとき、その円の面積は何㎠ですか。

(2)かげをつけた部分の面積の合計は何㎠ですか。

(専修大学松戸中学校 2024年 問題4 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

円周上の1点で接する直線あ○と、その接する点と中心を結ぶ半径は直角に交わりますから、1点で接する2つの円の中心を結ぶと一直線になります。

8㎝-6㎝=2㎝ … BQ=BP

6㎝-2㎝=4㎝ … AP=AR

4㎝+6㎝=10㎝ … AC

10㎝÷2=5㎝

5㎝×5㎝×3.14=78.5㎠

答え 78.5㎠

 

(2)

影をつけた部分は、長方形ABCDから3つの四分円を取り除いた図形です。

6㎝×8㎝-(4㎝×4㎝×3.14×90度/360度+2㎝×2㎝×3.14×90度/360度+6㎝×6㎝×3.14×90度/360度)

=48㎠-14㎠×3.14

=4.04㎠

答え 4.04㎠

 

本問は1点で接する2つの円の中心を結ぶと一直線になるという知識が確認できる問題です。

 

最後は応用レベルの定番問題です。

 

【問題】下の図は、正方形の中に同じ大きさの四分円を4つかいたものです。斜線部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(広尾学園中学校 2024年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

問題の図形は対称な図形ですので、同じ形に区切って考えることができます。

10㎝÷2=5㎝

さらに、区切った図形を並びかえる工夫もできます。

5㎝×4=20㎝ … 並びかえて作った正方形の対角線の長さ

並びかえて作った円の半径は1辺の長さが5㎝の正方形の対角線と同じ長さです。

この円の半径の長さを□㎝とします。

□㎝×□㎝÷2=5㎝×5㎝ → □㎝×□㎝=50㎠

斜線部分は、作った正方形から作った円を取り除いた図形です。

20㎝×20㎝÷2-□㎝×□㎝×3.14

=200㎠-50㎠×3.14

=43㎠

答え 43㎠

 

本問は、半径の長さがわからない円の面積の求め方が確認できる問題です。

解答例の他に、レンズ形(白色部分×2)が対角線の長さが10㎝の正方形の中にぴったり入ることを利用するなどのいろいろな解き方があります。

 

今回は、2024年度に共学中の入試で出された「曲線図形」がテーマの問題をご紹介しました。

曲線図形の問題を解くときには、補助線、「30度直角三角形」等の知識、図形式などの整理方法、「□×3.14」など正確な計算力が必要です。

このテーマの問題が苦手なときは、知識、整理方法、計算力のどの点に課題があるのか、問題演習を通して見つけ、補強をしましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年07月27日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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