第678回 共学中の入試問題 速さ 4
「第678回 共学中の入試問題 速さ 4」
これまで近年の共学中の入試で出された「速さ」の問題から、「旅人算」、「速さとグラフ」について見てきました。
今回は「通過算」、「流水算」、「時計算」の問題を取り扱います。
1問目は、通過算の問題です。
【問題】ある電車が一定の速さで走っていて、太郎君はこの電車の先頭に乗っています。この電車が、電車の長さの14倍の長さのトンネルを通過するとき、電車がトンネルの中に完全にかくれている時間は1分5秒でした。また、太郎君は、自分の体がトンネルに入るのと同時に電車の後方に向かって一定の速さで歩き始め、それから2分25秒後に、電車の最後尾に着きました。このときの電車の最後尾はトンネルの出口から1680mはなれていました。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)電車の速さは、太郎君が歩く速さの何倍ですか。
(2)電車の速さは毎秒何mですか。
(3)太郎君の体がトンネルから出たとき、太郎君は電車の先頭から何mのところを歩いていましたか。
(専修大学松戸中学校 2024年 問題6)
【考え方】
(1)
「通過算は条件を絵に整理する」が解き方の基本です。
上から2番目と3番目の絵で電車の最後尾に着目すると、電車は
⑭-①=⑬
の距離を1分5秒(=65秒)で走ることがわかります。
また、太郎君は電車の先頭から最後尾までの①の距離を2分25秒(=145秒)で歩きます。
これらの関係を整理します。
29÷1=29倍
答え 29倍
(2)
電車の先頭がトンネルに入ってから電車の最後尾がトンネルを出るまでに、電車は
①+⑭=⑮
の距離を走ります。
(1)より、電車は⑬の距離を65秒で走るとわかっていますから、⑮の距離にかかる時間は
65秒×15/13=75秒=1分15秒
です。
ですから、電車は
2分25秒-1分15秒=70秒
の間に1680m走ることがわかります。
1680m÷70秒=24m/秒
答え 毎秒24m
(3)
(2)で電車の先頭がトンネルに入ってから電車の最後尾がトンネルを出るまでに、電車は⑮の距離を75秒で走ることがわかっています。
24m/秒×75秒=1800m … 電車とトンネルの長さの和(=⑮)
1800m×14/15=1680m … トンネルの長さ
電車と太郎君の速さの比が29:1ですから、同じ時間に進む距離の比も29□:1□です。
ですから、太郎君がトンネルに入ってから出るまでの様子は次のような絵で表せます。
1□=1680m÷(29-1)=60m
答え 60m
本問は、条件を絵に表すこと、電車の1点の動きに着目することなど、通過算の基本の解き方が確認できる問題です。
(1)、(2)は基本レベルの問題ですので、もし正解できなかったときは、絵をかいているか、1点の動きに着目しているかなどをチェックしましょう。
(3)は「0秒後の太郎君を太郎君がトンネルを出たときの電車の中に書く」という工夫をすると考えやすくなりますが、少し気づきにくいので、正解を得るのがやや難しい問題です。
2問目は、流水算の問題です。
【問題】ある川で、30㎞離れた2つの地点の間を船が往復したところ、上るときには2時間、下るときには1時間30分かかりました。この船を使って、ある湖のP地点から84㎞離れたQ地点まで行くとき、何時間何分かかりますか。ただし、静水時の船の速さは一定で、湖には流れがないものとします。
(青山学院横浜英和中学校 2024年 問題1-(8) 問題文一部変更)
【考え方】
30㎞÷2時間=15㎞/時 … 上りの速さ
30㎞÷1.5時間=20㎞/時 … 下りの速さ
(20㎞/時+15㎞/時)÷2=17.5㎞/時 … 静水時の速さ
84㎞÷17.5㎞/時=4.8時間
答え 4時間48分
本問は、流水算の基本が確認できる問題です。
線分図をかかずに速さを間違えてしまったときは、線分図をかいて解き直してみましょう。
最後は、時計算の問題です。
【問題】12時から1時までの間で、時計の長針と短針が下の図のような位置を指すのは、12時何分ですか。ただし、同じ印がついた角の大きさは、等しいものとします。
(青稜中学校 2024年 問題2-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
「時計算は□時0分の絵をかく」が解き方の基本です。
12時0分から短針が動いた角の大きさは●の角の大きさと同じですから、12時0分から長針が動いた角と短針が動いた角の大きさの和は180度です。
長針は1分間に6度、短針は1分間に0.5度動きますから、合わせて180度動くのにかかる時間は
180度÷(6度+0.5度)=360/13分=27 9/13分
です。
答え (12時)27 9/13分
本問は、時計算は□時0分からの針の動きに着目するという基本の解き方が確認できる問題です。
本問のように、2針が線対称になるときは、2針が動いた角の大きさの和に着目することが大切なポイントです。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「通過算」、「流水算」、「時計算」の問題をご紹介しました。
1問目の(3)以外はいずれも基本問題ですので、習い終えていても正解できない問題があればすぐに復習をしましょう。