第677回 共学中の入試問題 速さ 3
「第677回 共学中の入試問題 速さ 3」
近年の共学中の入試で出された「速さ」の問題について考えています。
今回は「速さとグラフ」の問題を取り扱います。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】トキオ君とコシノさんは3960m離れたA地点とB地点を往復します。コシノさんは常に一定の速さで移動します。トキオ君とコシノさんは同時にA地点を出発し、トキオ君はB地点でおり返してA地点に移動する途中、C地点でコシノさんに出会いました。トキオ君ははじめ分速72mで移動していましたが、C地点でコシノさんに出会ってからは分速36mで移動しました。トキオ君はA地点を出発してから160分後にA地点に戻りました。下のグラフは、トキオ君とコシノさんが出発してからの、時間と2人の位置との関係を表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、トキオ君とコシノさんはB地点に着いたらすぐにA地点におり返すものとします。
(1)トキオ君とコシノさんがC地点で出会うのは、A地点を出発してから何分後ですか。
(2)コシノさんは分速何mで移動していますか。
(3)コシノさんがA地点に到着したとき、トキオ君はA地点から何m離れた場所にいますか。
(帝京大学中学校 2024年 問題5)
【考え方】
(1)
速さ、時間、道のりのすべてがわかっているトキオ君について、条件を線分図で整理します。
図より、つるかめ算が利用できるとわかります。
(3960m×2-36m/分×160分)÷(72m/分-36m/分)=60分 … 分速72mで移動していた時間
答え 60分後
(2)
(1)より、2人は60分後に出会っていますから2人の速さの和は
3960m×2÷60分=132m/分
です。
132m/分-72m/分=60m/分
答え 分速60m
(3)
コシノさんがA地点に到着するのは出発してから
3960m×2÷60m/分=132分後
です。
36m/分×(160分-132分)=1008m
答え 1008m
本問は、問題文とグラフからわかることを線分図に整理し直すという考え方が確認できる問題です。
では、2問目を見ていきましょう。
【問題】マラソン大会で栄くん、東さん、中さんの3人が同時にスタートして走り出し、栄くん、東さん、中さんの順にゴールしました。図1は3人がスタートしてからの時間と栄くんと東さんの道のりの差、東さんと中さんの道のりの差を表したものです。このとき、次の問いに答えなさい。ただし、3人は一定の速さで走るものとします。
(1)栄くんと中さんの走る速さの比を最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)マラソン大会のコースは全長何mありますか。
(3)東さんがゴールするのはスタートしてから何分何秒後になりますか。
(栄東中学校 2024年 問題2)
【考え方】
(1)
文中の「栄くん、東さん、中さんの順にゴールしました」と隔たりグラフから、3人が走る様子は次のようなグラフに表せます。
グラフより、ゴールするまでの時間は栄くんが14分、中さんんが20分ですから、時間の比は
14分:20分=7:10
です。
よって、速さの比は逆比の10:7です。
答え 10:7
(2)
中さんは
20分-14分=6分
で
560m+280m=840m
を走っています。
840m÷6分=140m/分 … 中さんの速さ
140m/分×20分=2800m
答え 2800m
(3)
スタートしてから14分後に、東さんは中さんよりも280m前を走っています。
280m÷14分=20m/分 … 東さんと中さんの速さの差
140m/分+20m/分=160m/分 … 東さんの速さ
2800m÷160m/分=17.5分
答え 17分30秒後
本問は、隔たりグラフの読み取りが確認できる問題です。
隔たりグラフのまま読み取ってもよいですし、解答例のように通常のダイヤグラムに書き直して考えてもOKです。
それでは、最後の問題です。
【問題】N中学校と駅を結ぶ6㎞の道を2台のバスが往復しています。下のグラフは、7時ちょうどに駅とN中学校それぞれから2台のバスが出発するとき、時刻と位置の関係を表したものです。いま、A君が7時5分に自転車に乗って駅を出発しました。バスと同じ道を通って時速8㎞の速さでN中学校に向かうとき、次の各問いに答えなさい。
(1)7時5分からの時刻とA君の位置の関係を、解答欄のグラフにかきこみなさい。
(2)駅からN中学校に向かう途中、A君は何回バスとすれ違いますか。また、何回バスに追い越されますか。
(3)3回目にバスとA君がすれ違うのは、N中学校から何㎞離れたところですか。
(東京農業大学第一高等学校中等部 2024年 問題5)
【考え方】
(1)
6㎞÷8㎞/時×60=45分 … A君が駅からN中学校までにかかる時間
7時5分+45分=7時50分 … A君がN中学校に着く時刻
よって、グラフは次のようになります。
答え 解説参照
(2)
(1)のグラフより、3回すれ違い、1回追い越されるとわかります。
答え すれ違い 3回、 追い越し 1回
(3)
グラフの中の相似形に着目します。
10分:45分=2:9
なので、高さの比も2:9です。
6㎞×2/(2+9)=12/11㎞=1 1/11㎞
答え 1 1/11㎞
本問は、ダイヤグラムの基本が確認できる問題です。
(2)の読み取りや(3)の相似の利用は大切ですので、もし、正解できなければ必ず復習をしましょう。
今回は、2024年度に共学中の入試で出された「速さとグラフ」の問題をご紹介しました。
いずれも大切な基本が確認できますので、この単元を習い終えていたら、ぜひ挑戦してみてください。