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第676回 共学中の入試問題 速さ 2

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速さの練習問題 2024年06月22日18時00分

「第676回 共学中の入試問題 速さ 2」

前回から、近年の共学中の入試で出された「速さ」の問題を取り扱っています。

2回目の今回は「旅人算」について見ていこうと思います。

 

1問目は、「往復の旅人算」の基本問題です。

 

【問題】AさんとBさんが片道1470mのコースを往復します。2人が同時にスタートしてから2分後にAさんは出発地点から456mのところを通過し、BさんはAさんの72m後ろにいました。2人が出会うのは折り返し地点から何mのところですか。ただし、AさんとBさんは一定の速さで走るものとします。

(明治大学付属八王子中学校 2024年 問題3-(1))

 

【考え方】

はじめに、出発してから2分後までの様子を線分図に整理します。

456m÷2分=228m/分 … Aさんの速さ

(456m-72m)÷2=192m/分 … Bさんの速さ

次に、出発してから出会うまでの様子を線分図で表します。

図より、Aさんが走った距離(→)とBさんが走った距離(→)の和は

1470m×2=2940m

とわかります。

2940m÷(228m/分+192m/分)=7分後 … 出発してから7分後に出会う

1470m-192m/分×7分=126m

答え 126m

 

本問は、「往復の旅人算」の基本が確認できる問題です。

出発してから出会うまでに2人が進んだ距離の和と往復の距離が等しくなることに着目しましょう。

 

2問目も、「往復の旅人算」の問題です。

 

【問題】青山さんはA地点から、蒔田さんはB地点から出発し、A地点とB地点の間を同じ道を通って往復しました。歩く速さは青山さんが毎分80m、蒔田さんが毎分65mです。2人が同時に出発してからC地点で最初にすれ違い、さらにその1時間40分後にD地点ですれ違いました。D地点はA地点から何㎞離れていますか。

(青山学院横浜英和中学校 2024年 問題1-(4) 問題文一部変更)

 

【考え方】条件を線分図に整理します。

●→○着目します。青山さんと蒔田さんが出発してから1回目のすれ違いまでに進んだ距離の和は(AB間の距離)×1と同じです。

さらに○→■の区間に着目すると、1回目にすれ違ってから2回目のすれ違いまでに、2人合わせて1時間40分で(AB間の距離)×2の距離を進んでいます。

2人の距離の和が ●→○ は ○→■ の半分ですから、かかる時間も ●→○ は ○→■ の半分です。

○→■の時間=1時間40分=100分

●→○の時間=100分÷2=50分

80m/分×50分=4000m … 青山さんの●→○(AC間)

65m/分×100分=6500m … 蒔田さんの○→■(AC間+AD間)

6500m-4000m=2500m=2.5㎞

答え 2.5㎞

 

本問も、「往復の旅人算」の考え方が確認できる問題です、

2人の距離の和とそれにかかる時間に着目することが大切なポイントです。

 

3問目は、大問形式の旅人算です。

 

【問題】ある池があり、2つの地点A、Bを結ぶ橋がかけられています。橋の長さは1200mです。兄と弟が図1のように同時にA地点を出発して橋を渡り、兄が先にB地点に着き、すぐに折り返すと、兄と弟はB地点から80mはなれたところですれ違いました。ただし、兄と弟はそれぞれ一定の速さで移動し続けるものとします。

(1)兄と弟の速さの比は何対何ですか。

図2のように、池の周りを兄はA地点から反時計回り、弟はA地点から時計回りで同時に出発します。兄と弟はB地点に着くとすぐに橋を渡り、A地点に着くと再び同じように移動します。このとき、兄が2回目にB地点に着いたのと同時に、弟も2回目にB地点に着きました。弟がA地点を出発して、B地点を通過するまでにかかる時間は、弟が橋を渡るのにかかる時間の1.6倍です。

(2)弟がA地点から出発して、池を回ってB地点に進む道のりは何mですか。

(3)池の周りの道のりは何mですか。

(4)初めて兄が弟を追い抜くとき、2人はB地点から何mはなれたところにいましたか。

(開智中学校 2024年 問題2)

 

【考え方】

(1)

条件を線分図に整理します。

2人は出発してからすれ違うまで(○→●)に、兄が

1200m+80m=1280m

弟が

1200m-80m=1120m

移動しています。

時間が○→●で同じですから、速さの比と道のりの比は同じです。

道のりの比 兄:弟=1280:1120=8:7

速さの比 兄:弟=8:7

答え 8:7

 

(2)

弟に関する条件を整理します。

1200m×8/5=1920m

答え 1920m

 

(3)

弟はA地点を出発して2回目にB地点に着くまでに

1920m+1200m+1920m=5040m

移動します。

同じ時間に移動する道のりの比が 兄:弟=8:7 ですから、弟が5040m移動する間に兄は

5040m×8/7=5760m

移動します。

兄がA地点を出発して2回目にB地点に着くまでに移動した道のりが5760mですから、反時計回りA→Bの道のりは

(5760m-1200m)÷2=2280m

です。

 

2280m+1920m=4200m

答え 4200m

 

(4)

条件を整理します。

「砂時計型」の相似に着目します。

相似比は

(133-128):(208-203)=1:1=☆:★

です。

1200m×1/2=600m

答え 600m

 

本問は、速さの比を使った旅人算の考え方が確認できる問題です。

(4)の解答例ではグラフと相似を利用しましたが、線分図に整理して解いてもOKです。

 

今回は、2024年度に共学中の入試で出された「旅人算」の問題をご紹介しました。

往復問題の着眼点やグラフを利用した解き方は重要ですので、もし、正解できないときは解答例を参考におさらいをしましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年06月22日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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