第673回 共学中の入試問題 比と割合 5
「第673回 共学中の入試問題 比と割合 5」
2回にわたって近年の共学中の入試問題で出された「食塩水の濃さ」について考えました。
今回は「仕事算」がテーマの問題を取り扱います。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】7人で働くと18日かかる仕事を10日で終わらせようとして、10人で仕事を始めました。しかし、4日目が終わったところで10日では終わらないことに気づきました。予定通り10日で終わらせるには、5日目からは、最低何人増やせばいいですか。ただし、1人が1日にする仕事量は同じであるとします。
(明治大学付属八王子中学校 2024年 問題2-(3))
【考え方】
「人名のない」仕事算です。
「1人が1日にする仕事量は同じ」という条件がある基本レベルの「人名のない」仕事算では、1人が1日にする仕事量を1として解いていきます。
1×7人×18日=126 … 全体の仕事量
1×10人×4日=40 … 4日目までに終えた仕事量
126-40=86 … 残りの仕事量
この残りの仕事を
10日-4日=6日
で終わらせたいので、1日に働く人数は
86÷6=14.3…人 → 15人以上必要です。
15人-10人=5人
答え 5人
本問は、「人名のない」仕事算の基本が確認できる問題です。
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】ある仕事をするのに、兄が1人ですると10日、姉が1人ですると15日、妹が1人ですると30日かかります。この仕事を兄、姉、妹の3人で一緒にすると、仕事が終わるまでに何日かかりますか。
(法政大学中学校 2023年 問題2-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
今度の問題は、「人名のある」仕事算です。
「人名のある」仕事算は、全体の仕事量を日数の最小公倍数または1と仮定して解きます。
ここでは、最小公倍数を利用していきます。
30÷10日=3 … 兄が1日にする仕事量
30÷15日=2 … 姉が1日にする仕事量
30÷30日=1 … 妹が1日にする仕事量
3+2+1=6 … 3人が1日にする仕事量
30÷6=5日
答え 5日
本問は、「人名のある」仕事算の基本が確認できる問題です。
ここまでの2問を利用して、人名の有無に応じた解き方が使えることをチェックしましょう。
3問目は、大問形式の問題です。
【問題】ある仕事を仕上げるのに、Aさん、Bさんの2人では24日,Aさん1人では40日、Cさん1人では50日かかります。
(1)この仕事を仕上げるのに、Bさん1人では何日かかりますか。
(2)この仕事を始めてから仕上げるまで、Aさん→Bさん→Cさん→Aさん→…の順に5日ずつ交代で作業するとき、全部で何日かかりますか。
(江戸川学園取手中学校 2024年 問題2)
【考え方】
(1)
前問と同じように、全体の仕事量を日数(24日、40日、50日)の最小公倍数の600と仮定します。
600÷24日=25 … AさんとBさんが1日にする仕事量
600÷40日=15 … Aさんが1日にする仕事量
25-15=10 … Bさんが1日にする仕事量
600÷10=60日
答え 60日
(2)
「Aさん5日→Bさん5日→Cさん5日」を繰り返すので、この15日を1セットとします。
600÷50日=12 … Cさんが1日にする仕事量
15×5日+10×5日+12×5日=75+50+60=185 … 1セットの仕事量
600÷185=3セットあまり45
3セット作業をした後に残る45の仕事をAさんがすると、
45÷15=3日
で終わります。
1セットの日数は
5日×3人=15日
ですから、全部で
15日×3セット+3日=48日
かかります。
答え 48日
本問は、繰り返しのある仕事算の考え方が確認できる問題です。
セットにならない余りの処理に注意しましょう。
4問目も、大問形式の問題です。
【問題】ある仕事をするのに、A君が1人でするとちょうど12日で終わらせることができます。また、同じ仕事をB君が1人ですると、16日目の途中で終わらせることができます。ただし、A君とB君は、毎日それぞれ一定の割合で仕事をするものとします。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)この仕事をA君とB君がいっしょにすると、何日目に終わらせることができますか。
(2)この仕事を、はじめにA君が3日間したあと、残りの仕事をB君が1人でしました。仕事が終わるのは、B君が始めてから何日目ですか。
(専修大学松戸中学校 2023年 問題3)
【考え方】
(1)
「16日目の途中で終わらせる」となっているため、日数の最小公倍数が利用できません。
そこで、本問では全体の仕事量を1と仮定して解いていきます。
1÷12=1/12 … A君が1日にする仕事量
B君はこの仕事を終わらせるのに、15日間では無理ですが、16日間では時間が余りますから
1÷15=1/15
1÷16=1/16
より、B君が1日にする仕事量は1/15より少なく、1/16より多いとわかります。
B君の1日の仕事量を1/15とすると、2人が一緒に仕事をしたときにかかる日数は
1÷(1/12+1/15)=6 2/3日
です。
また、B君の1日の仕事量を1/16とすると、2人が一緒に仕事をしたときにかかる日数は
1÷(1/12+1/16)=6 6/7日
です。
日数が6 2/3日より多く6 6/7日より少ないので、仕事が終わるのは7日目です。
答え 7日目
(2)
1-1/12×3日間=3/4 … A君が3日間した後に残る仕事量
この残りの仕事するのに、B君の1日の仕事量を1/15とすると、
3/4÷1/15=11 1/4日
かかり、B君の1日の仕事量を1/16とすると、
3/4÷1/16=12日
かかります。
かかる日数が11 1/4日より多く、12日より少ないので、仕事が終わるのは12日目です。
答え 12日目
本問は、1日にする仕事量に範囲があるときの考え方が確認できる問題です。
範囲を「以上」、「以下」、「より多い」、「より少ない(未満)」の中から適したものを選んで考えることがポイントになっています。
今回は、2024年度と2023年度に共学中の入試で出された「仕事算」の問題をご紹介しました。
1人が1日にする仕事量と全体の仕事量のどちらを先に決めると解きやすいか、問題の条件から考えるようにすると、正解を増やしていけると思います。