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第669回 共学中の入試問題 比と割合 1

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割合の練習問題 2024年05月04日18時00分

「第669回 共学中の入試問題 比と割合 1」

前回まで近年の共学中の入試問題で出された「数と計算」の問題について見てきました。

今回からは「比と割合」がテーマの問題を取り扱います。

その1回目は「比と割合」の基本問題です。

 

では、さっそく問題を見ていきましょう。

 

【問題】A君は本を読みました。1日目は64ページ読み、2日目は全体の1/9、3日目は全体の1/6を読んだら、残ったページ数は全体の1/2より4ページ少なくなりました。この本は全部で何ページありますか。

(帝京大学中学校 2023年 問題2-(1))

 

【考え方】

「比と割合」の問題では、何を元にした割合なのかを読み取ることが大切です。

1つ目の割合の「1/9」はその直前にある「本全体」を元にしています。

2つ目の割合の「1/6」も、3つ目の割合の「1/2」もその直前にある「本全体」を元にしていますから、すべての割合で元にする量が共通です。

そこで、元にする量を割合を表す分数の分母の最小公倍数に仮定します。

また、元にする量が1つだけですから、条件を1つの線分図に表すことができます。

ただ、本問は1つの線分図にすると見にくくなるので、2つの線分図に整理します。

なお、本全体=1 として解いても構いません。

 

9と6と2の最小公倍数は18 → 本全体は⑱ページ

⑱×1/9=② … 2日目

⑱×1/6=③ … 3日目

⑱×1/2=⑨ … 残ったページは(⑨-4)ページ

図より、

64ページ+②+③+⑨-4ページ=⑱

①=(64ページ-4ページ)÷(18-2-3-9)=15ページ

15ページ×18=270ページ

答え 270ページ

 

本問は、元にする量、比べる量、割合の関係が確認できる問題です。

割合の元となる量を正しく読み取って、解きましょう。

 

では、2問目です。

 

【問題】ある遊園地の入園料は、大人1500円、中人1200円、小人800円です。ある日の入場者数は、大人と小人の人数比が3:2で、中人は代人より40人多く、この日の入園料の合計は、1212000円でした。中人の入園者数は何人ですか。

(中央大学附属中学校 2023年 問題1-(4))

 

【考え方】

「3:2」という比に着目すると、入園者数は整数ですから、(大人、小人)=(3人、2人)、(6人、4人)、(9人、6人)、… の中に答えはあります。

そこで入園料を表に整理します。

中人が3人増えると、入園料は9700円増えます。

43人+3人×{(1212000円-57700円)÷9700円}=400人

答え 400人

 

本問は、最も簡単な整数で表された比の意味が確認できる問題です。

本問は人数の比でしたから、

3:2=6:4=9:6= …

のように整数倍して考えることができますが、棒の長さや水の重さなどは整数とは限りません。

このようなときは、前問と同様に「①解法」を利用しましょう。

 

大人の人数を③人とすると、中人の人数は(③+40)人、小人の人数は②人です。

1500円×③+1200円×(③+40)+800円×②=1212000円

4500○+3600○+48000円+1600○=1212000円

①=(1212000円-48000円)÷(4500+3600+1600)=120(人)

120人×3+40人=400人

 

3問目は大問形式の問題です。

 

【問題】Aさん、Bさん、Cさんの3人がお菓子を買いにお店へ行きました。はじめ、3人の所持金は合わせて3600円あり、AさんはBさんの15倍のお金を持っていました。お店ではAさん、Bさん、Cさんそれぞれの持っているお金の1/9、1/6、1/8だけ使いました。お店を出て残金を確認すると3人の残金の合計は3165円でした。

(1)「AさんとBさんの持っていたお金の合計」と「AさんとBさんが使ったお金の合計」の比を最も簡単な整数の比で答えなさい。

(2)Cさんがお店を出たときに持っていたお金はいくらですか。

(芝浦工業大学柏中学校 2023年 問題3)

 

【考え方】

(1)

お金を使う前と後についての問題ですから、お金のお動きを見やすくするため、条件を表に整理します。

このまま進んでもよいですし、計算しやすいように比を整数倍してから解く方法もあります。

ここでは比を6倍してから解くことにします。

15:1=90○:⑥

90○×1/9=⑩ … Aさんが使ったお金

⑥×1/6=① … Bさんが使ったお金

ですから、

(AさんとBさんの持っていたお金の合計):(AさんとBさんが使ったお金の合計)

=(90○+⑥):(⑩+①)

=96:11

です。

答え 96:11

 

(2)

金額は整数ですから、Cさんの持っていたお金は8の倍数です。

Cさんが持っていたお金を8□とすると、使ったお金は

8□×1/8=1□

です。

消去算が利用できます。

96○+8□=3600円 … (ア)

⑪+1□=3600円-3165円=435円 … (イ)

88○+8□=3480円 … (イ)×8

(ア)と(イ)×8の差に着目します。

①=(3600円-3480円)÷(96-88)=15円

15円×(96-11)=1275円 … AさんとBさんの残金の合計

3165円-1275円=1890円

答え 1890円

 

本問は、「:」でつながっているAとBには同じ印(○)をつけることができ、つながっていないCには別の印(□)をつけるという比の考え方が確認できる問題です。

 

今回は、近年の共学中の入試で出された「比と割合」の中から、基本の考え方が確認できる問題をご紹介しました。

線分図や①解法、整数条件の使い方、印のつけ方などいずれも大切な考え方です。

比を習い終えているようでしたらは、このような問題を用いて考え方が定着しているかをチェックしましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年05月04日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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