第667回 共学中の入試問題 数と計算 4
「第667回 共学中の入試問題 数と計算 4」
近年の共学中の入試問題で出された「数と計算」の問題について考えています。
今回は「数の規則性」がテーマの問題を見ていきます。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】7を2023個かけたときの一の位の数は何ですか。
(三田国際中学校 2023年 問題1-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
整数をかけたときの積の一の位の数は、(かけられる数の一の位の数)×(かける数の一の位の数)の一の位の数と同じであることを利用します。
7を1個かける → 7
7を2個かける → 7×7=49
7を3個かける → (49の一の位の9)×7=63
7を4個かける → (63の一の位の3)×7=21
7を5個かける → (21の一の位の1)×7=7
7を6個かける → 7×7=49
のように、一の位の数は「7→9→3→1」の4個を1セットとして繰り返します。
2023個÷4個=505セットあまり3個
ですから、7を2023個かけたときの一の位の数は、7を3個かけたときの一の位の数と同じです。
答え 3
本問は、同じ数をかけ続けたときの規則性が確認できる問題です。
一の位だけに着目することがポイントです。
2問目は、大問形式の問題です。
【問題】A☆BはAをB個かけた数を表します。例えば、
3☆2=3×3=9
6☆1=6
となります。ただし、AとBには0より大きい整数が入るものとします。
① (12☆2)+(13☆2)を計算しなさい。
② 2☆10の一の位の数を求めなさい。
③ 3☆Nの一の位の数が3になるような整数Nは、1以上100以下に何個ありますか。
(東京農業大学第一高等学校中等部 2023年 問題2-(2))
【考え方】
①
12☆2=12×12=144
13☆2=13×13=169
144+169=313
答え 313
②
1問目と同じように、一の位の数だけに着目します。
「2→4→8→6」の4個1セットを繰り返すことがわかります。
10個÷4個=2セットあまり2個
2を2個かけたときの一の位の数は4です。
答え 4
③
N=1のときから順に調べると積の一の位の数は「3→9→7→1」の4個1セットを繰り返すことがわかります。
よって、3☆Nの一の位の数が3となるのは、3をかけた個数 N=1、5、9、…のときです。
これは、初項1、公差4の等差数列です。
1+4×(□番目-1)=100
□番目=(100-1)÷4+1=25.75
ですから、□は1以上25以下の整数なので25個あります。
答え 25個
本問は、1問目と同じ考え方で解く大問形式の問題です。
小問③では、Nがかける3の個数を表していること、等差数列があることの2点に注意して解きましょう。
3問目は、素数を使った問題です。
【問題】1とその数以外に約数をもたない数を素数といいます。例えば、3の約数は1と3なので、3は素数です。4の約数は1と2と4なので、4は素数ではありません。また、1は素数ではありません。次の問いに答えなさい。
(1)2けたの素数で一番小さい数はいくつですか。
1番目の数を4として、その数の約数のうち一番大きい素数をその数に加えて次の数をつくって並べていきます。4の約数は1と2と4で、その中で一番大きい素数は2なので。2番目の数は4+2=6で6となります。6の約数は1と2と3と6で、その中で一番大きい素数は3なので。3番目の数は6+3=9で9となります。このようにして次々と数をつくって並べていくと下のようになります。
4、6、9、12、15、20、…
この数の並びをAとします。次の問いに答えなさい。
(2)Aの10番目の数はいくつですか。
(3)Aにある数で、2つの素数をかけてできる一番大きい2けたの数はいくつですか。
(4)Aにある数で、一番小さい23の倍数はいくつですか。
(5)Aにある数で、2500に一番近い数はいくつですか。
(國學院久我山中学校 2024年 問題3)
【考え方】
(1)
10の約数は1、2、5、10なので、10は素数ではありません。
11の約数は1と11なので、11は素数です。
答え 11
(2)
きまりに従って、数を作っていきます。
答え 42
(3)
(2)の表の続きを調べます。
答え 77
(4)
(3)の表より、
一番小さい3の倍数は 2×3=6
一番小さい5の倍数は 3×5=15
一番小さい7の倍数は 5×7=35
一番小さい11の倍数は 7×11=77
のように、一番小さい□の倍数(□は素数)は、(□より1つ前の素数)×□ とわかります。
19×23=437
答え 437
(5)
(4)でわかったことを利用して、一番小さい□の倍数(□は素数)を調べます。
23×29=667
29×31=899
31×37=1147
37×41=1517
41×43=1763
43×47=2021
47×53=2491
2491の約数の中で最も大きい素数は53ですから、2491の次に並ぶ数は
2491+53=2544
です。
よって、2500に一番近い数は2491です。
答え 2491
本問は、表に整理すると規則性の見つけやすくなることが確認できる問題です。
前半の小問で行う作業が、後半の小問を解くヒント(誘導)となっています。
なお、(5)では「2500=50×50 なので、50前後の素数を調べる」という方針が立てられるとベターです。
今回は、2023年度、2024年度の共学中の入試で出された「数の規則性」に関する問題をご紹介しました。
1、2問目は繰り返しを利用する定番の問題です。
また、3問目では、初見の問題を解くときは問題の誘導と表などを利用するという考え方が確認できます。
どれも大切な問題ですので、知識や考え方に不足が見つかったときは、類題演習で補強をしておきましょう。