第665回 共学中の入試問題 数と計算 2
「第665回 共学中の入試問題 数と計算 2」
前回から、近年の共学中の入試問題について考えています。
今回も「数と計算」の問題を見ていきます。
テーマは「約数と倍数」です。
1問目は、基本レベルの問題です。
【問題】1361、1649のどちらを割っても、余りが17になるような整数のうち、最大のものを求めなさい。
(中央大学附属中学校 2023年 問題1-(3))
【考え方】
問題文を式で表します。
1361÷□=商あまり17
1649÷□=商あまり17
「割る数 > 余り」ですから、□は18以上の整数とわかります。
次に、割り算の式をかけ算の式に書き直します。
□×商+17=1361 → □×商=1361-17=1344
□×商+17=1649 → □×商=1649-17=1632
よって、□は1344と1632の公約数です。
「公約数は最大公約数の約数」なので、最大公約数を求めます。
2×2×2×2×2×3=96 … 最大公約数
以上より、□は96の約数の中で18以上の数とわかります。
このうち最大のものを求めますので、答えは最大公約数の96です。
答え 96
本問は、公約数の基本が確認できる問題です。
「公約数は最大公約数の約数」はもちろんですが、今回は利用しなかった「割る数 > 余り」も大切な知識です。
2問目も、基本レベルの問題です。
【問題】3で割っても7で割っても2あまる整数のうち、100に最も近い整数を求めなさい。
(芝国際中学校 2023年 問題2-(1))
【考え方】
問題文を式で表します。
□÷3=商あまり2
□÷7=商あまり2
割り算の式をかけ算の式に書き直します。
□=3×商+2 → □=3の倍数+2
□=7×商+2 → □=7の倍数+2
このことは、次のような線分図に表せます。
「公倍数は最小公倍数の倍数」なので、
□=21の倍数+2 → □=21×■+2
です。
このうち、100に最も近い整数を求めます。
■=(100-2)÷21=4.6…
よって、■は4と5の2つが考えられます。
■=4のとき 21×4+2=86
■=5のとき 21×5+2=107
このうち、100に最も近いのは107です。
答え 107
本問は、「公倍数は最小公倍数の倍数」という大切な知識が確認できる問題です。
「公約数は最大公約数の約数」とセットにして覚えておきましょう。
3問目は少し難しい表現が使われた問題ですが、考え方は基本レベルです。
【問題】ある分数は、7 1/8をかけると整数Aに、12 2/3をかけると整数Bになります。ただし、整数AとBには1以外の公約数はありません。ある分数を答えなさい。
(青山学院中等部 2023年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】
ある分数を■/□として、問題文を式で表します。
約分をするとそれぞれA/1、B/1となるので、(ア)から□は57の約数、■は8の倍数、(イ)から□は38の約数、■は3の倍数とわかります。
つまり、□は57と38の公約数、■は8と3の公倍数です。
57と38の最大公約数は
より19なので、□は1と19の2つがあります。
しかし、□=1のときは■/□が分数にならないので条件にあてはまりません。 → □=19
また、8と3の公倍数は最小公倍数の24の倍数です。 → ■=24×☆
よって、
■/□ =24×☆/19
と表せます。
ですから、整数AとBは
となります。
さらに「整数AとBには1以外の公約数はありません」という条件から、☆=1と決まります。
よって、求める分数は24/19です。
答え 24/19(1 5/19)
本問は、「分数×分数=整数」の考え方が確認できる問題です。
「整数AとBには1以外の公約数はありません」という条件が、「最も小さい分数を求めなさい」と同じ意味であること注意しましょう。
最後は大問形式の問題です。
【問題】100以上300以下の偶数について、次の問いに答えなさい。
(1)この偶数は何個ありますか。
(2)この偶数のうち、3で割り切れる整数は何個ありますか。
(3)この偶数のうち、3または5で割り切れる整数は何個ありますか。
(山手学院中学校 2023年 問題3)
【考え方】
(1)
偶数は2の倍数のことですから、条件は
100 ≦ 2×□ ≦ 300
と表せます。
2×□=100 → □=50
2×□=300 → □=150
□は50以上150以下の整数ですから、2×□は
150個-49個=101個
あります。
答え 101個
※ 別解
(300個-100個)÷2=100個
100個+1個=101個
(2)
「2でも3でも割り切れる整数」という意味ですから、2と3の公倍数の個数を求めます。
2と3の公倍数は最小公倍数の6の倍数です。
(100-1)÷6=16あまり3 → 99以下の6の倍数は16個
300÷6=50 → 300以下の6の倍数は50個
50個-16個=34個
答え 34個
(3)
条件をベン図で表します。
(2)よりも増えた部分は、「2でも5でも割り切れる数(2と5の公倍数)」から「2でも3でも5でも割り切れる数(2と3と5の公倍数)」(赤線部分)を取り除いた部分(水色)です。
2と5の公倍数は最小公倍数の10の倍数です。
(100-1)÷10=9あまり9 → 99以下の10の倍数は9個
300÷10=30 → 300以下の10の倍数は30個
30個-9個=21個 → 100~300の10の倍数は21個
2と3と5の公倍数は最小公倍数の30の倍数です。
(100-1)÷30=3あまり9 → 99以下の30の倍数は3個
300÷30=10 → 300以下の30の倍数は10個
10個-3個=7個 → 100~300の30の倍数は7個
よって、(2)より増えた個数は
21個-7個=14個
です。
34個+14個=48個
答え 48個
本問は、倍数の個数の考え方が確認できる問題です。
解答例ではベン図を利用しましたが、周期算を利用する解き方もあります。
※ 周期算を利用した(3)の解答例
2と3と5の最小公倍数は30なので、100~129について調べます。
1セット30個の中に7個あります。
300-100+1=201
201個÷30個=6セットあまり21個
7個×6セット+6個=48個
今回は、近年の共学中の入試で出された「約数と倍数」がテーマの問題をご紹介しました。
最後の問題の(3)は難しい問題ですが、その他の問題は基本の考え方を使って解くことができます。
基本レベルの問題の中に正解できない問題があるときは、すぐにおさらいをしましょう。