第660回 女子中の入試問題 文章題 3
「第660回 女子中の入試問題 文章題 3」
ここまで、近年に女子中の入試で出された「文章題」の中から、「消去算」、「方陣算」、「差集め算」の問題を見てきました。
今回は「仕事算」と「ニュートン算」の問題を取り扱います。
1問目は基本レベルの仕事算の問題です。
【問題】Aさんが1人でするとちょうど40分かかる仕事があります。この仕事を、AさんとBさんの2人ですると24分、AさんとCさんの2人ですると15分かかります。この仕事を、Aさん、Bさん、Cさんの3人ですると、何分かかりますか。
(吉祥女子中学校 2023年 問題1-(5))
【考え方】
仕事算には
単位時間(例:1分間)あたりの仕事量を1とする解き方
と
全体の仕事量を1またはかかる時間の最小公倍数とする解き方
の2つがあります。
本問は「人名のある仕事算」ですので、全体の仕事量を時間の最小公倍数(または1)とする解き方が考えやすいでしょう。
そこで、Aさんだけですると40分、AさんとBさんの2人ですると24分、AさんとCさんの2人ですると15分かかりますから、全体の仕事量を40と24と15の最小公倍数の120とします。
120÷40分=3 … Aさんが1分間にする仕事量
120÷24分=5 … AさんとBさんが1分間にする仕事量
120÷15分=8 … AさんとCさんが1分間にする仕事量
ですから、Bさんが1分間にする仕事量は
5-3=2
Cさんが1分間にする仕事量は
8-3=5
とわかります。
3+2+5=10 … 3人が1分間にする仕事量
120÷10=12分
答え 12分
本問は、仕事算の基本の考え方が確認できる問題です。
なお、Aさんが1分間にする仕事量を1とし、全体の仕事量を40、AさんとBさんが1分間にする仕事量を5/3、AさんとCさんが1分間にする仕事量を8/3のようにして解いても構いません。
2問目は応用レベルの仕事算の問題です。
【問題】ある仕事をAが1人で行うと、ちょうど36日かかります。この仕事を、AとBの2人で行うと、27日では少し残ってしまい、28日目に余裕をもって終わらせることができます。この仕事をBが1人で行うと、何日以上何日以下かかると考えられますか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。
(洗足学園中学校 2023年 問題3-(4))
【考え方】
AとBの2人で行ったときにかかる日数に幅がありますから、全体の仕事量を日数の最小公倍数とする方法は使えません。
そこで、全体の仕事量を1として解いていきます。
1÷36日=1/36 … Aが1日にする仕事量
また、
1÷27日=1/27
1÷28日=1/28
なので AとBが1日にする仕事量は1/28より多く1/27より少ないことがわかります。
もし、AとBが1日にする仕事量が1/28であればBが1日にする仕事量は
1/28-1/36=1/126
1/27であればBが1日にする仕事量は
1/27-1/36=1/108
です。
Bが1日にする仕事量が1/126より多いとき
1÷1/126=126日 → 126日目に余裕をもって終わらせることができる
Bが1日にする仕事量が1/108より少ないとき
1÷1/108=108日 → 108日では終わらない
よって、109日以上126日以下とわかります。
答え 109日以上126日以下
本問は、仕事にかかる日数に幅(範囲)がありますから、最も少ない場合と最も多い場合の2つに分けて考えることが大切です。
最後も2問目と同じ学校から、ニュートン算の問題を見ていきます。
【問題】常に一定の量の水が流れこんでいる貯水池があります。この貯水池が満水の状態から空になるまで排水するのに、6台のポンプでは350分、5台のポンプでは450分かかります。ところが、貯水池の内壁にヒビが入り、貯水池の水の量が5割を超えると、常に一定の水がもれるようになりました。この状態で5台のポンプを使って満水から空になるまで排水したところ、435分かかりました。このとき、内壁のヒビからもれる水の量は、ポンプ1台あたりの排出量の何倍ですか。ただし、ポンプ1台が排出できる水の量はすべて同じであるものとします。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。
(洗足学園中学校 2024年 問題3-(4))
【考え方】
ニュートン算には、線分図解法と水そう解法の2つの方法があります。
ここでは、水そう解法で考えていくことにします。
水そう解法では
・水そうの容積=時間の最小公倍数
・単位時間あたり(本問では1分あたり)に減る水の量に着目する
が基本です。
350と450の最小公倍数は3150です。 … (ア)
3150÷350=9/分 …(イ)
3150÷450=7/分 …(ウ)
(イ)と(ウ)のちがいに着目します。
ですから、1分に流入する水の量は
2/分×6台-9/分=3/分
とわかります。
次に、内壁にヒビが入ったときの様子を図に表します。
「貯水池の水の量が5割を超えると、常に一定の水がもれる」ので、5割以下になってから空になるまでの時間は
450分÷2=225分 … ■分
です。
よって、
□分=435分-225分=210分
とわかります。
(3150÷2)÷210分=7.5/分 …(エ)
10/分+もれる水の量-3/分=7.5/分
なので
もれる水の量=0.5/分
です。
0.5/分÷2/分=0.25(倍)
答え 0.25倍(1/4倍)
本問は、ニュートン算の基本が確認できる問題です。
問題前半の満水量、ポンプ1台あたりの排水量、流れこむ水の量の求め方は基本通りですから、もし、まちがえたときは前半部分にミスがないか、後半部分の考え方が正しいかの2つに分けてチェックと修正を行いましょう。
今回は、2023年度と2024年度の女子中の入試で出された「仕事算」と「ニュートン算」の問題をご紹介しました。
「仕事量」や「ニュートン算」が苦手なときは、「仕事算」は「人名」の有無で解き方が選べるようになること、「ニュートン算」は線分図解法か水そう解法のどちらか一方をマスターできることを目標に、練習をしていきましょう。