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第660回 女子中の入試問題 文章題 3

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文章題の練習問題 2024年03月02日18時00分

「第660回 女子中の入試問題 文章題 3」

ここまで、近年に女子中の入試で出された「文章題」の中から、「消去算」、「方陣算」、「差集め算」の問題を見てきました。

今回は「仕事算」「ニュートン算」の問題を取り扱います。

 

1問目は基本レベルの仕事算の問題です。

 

【問題】Aさんが1人でするとちょうど40分かかる仕事があります。この仕事を、AさんとBさんの2人ですると24分、AさんとCさんの2人ですると15分かかります。この仕事を、Aさん、Bさん、Cさんの3人ですると、何分かかりますか。

(吉祥女子中学校 2023年 問題1-(5))

 

【考え方】

仕事算には

単位時間(例:1分間)あたりの仕事量を1とする解き方

全体の仕事量を1またはかかる時間の最小公倍数とする解き方

の2つがあります。

本問は「人名のある仕事算」ですので、全体の仕事量を時間の最小公倍数(または1)とする解き方が考えやすいでしょう。

そこで、Aさんだけですると40分、AさんとBさんの2人ですると24分、AさんとCさんの2人ですると15分かかりますから、全体の仕事量を40と24と15の最小公倍数の120とします。

120÷40分=3 … Aさんが1分間にする仕事量

120÷24分=5 … AさんとBさんが1分間にする仕事量

120÷15分=8 … AさんとCさんが1分間にする仕事量

ですから、Bさんが1分間にする仕事量は

5-3=2

Cさんが1分間にする仕事量は

8-3=5

とわかります。

3+2+5=10 … 3人が1分間にする仕事量

120÷10=12分

答え 12分

 

本問は、仕事算の基本の考え方が確認できる問題です。

なお、Aさんが1分間にする仕事量を1とし、全体の仕事量を40、AさんとBさんが1分間にする仕事量を5/3、AさんとCさんが1分間にする仕事量を8/3のようにして解いても構いません。

 

2問目は応用レベルの仕事算の問題です。

 

【問題】ある仕事をAが1人で行うと、ちょうど36日かかります。この仕事を、AとBの2人で行うと、27日では少し残ってしまい、28日目に余裕をもって終わらせることができます。この仕事をBが1人で行うと、何日以上何日以下かかると考えられますか。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。

(洗足学園中学校 2023年 問題3-(4))

 

【考え方】

AとBの2人で行ったときにかかる日数に幅がありますから、全体の仕事量を日数の最小公倍数とする方法は使えません。

そこで、全体の仕事量を1として解いていきます。

1÷36日=1/36 … Aが1日にする仕事量

また、

1÷27日=1/27

1÷28日=1/28

なので AとBが1日にする仕事量は1/28より多く1/27より少ないことがわかります。

もし、AとBが1日にする仕事量が1/28であればBが1日にする仕事量は

1/28-1/36=1/126

1/27であればBが1日にする仕事量は

1/27-1/36=1/108

です。

Bが1日にする仕事量が1/126より多いとき

1÷1/126=126日 → 126日目に余裕をもって終わらせることができる

Bが1日にする仕事量が1/108より少ないとき

1÷1/108=108日 → 108日では終わらない

よって、109日以上126日以下とわかります。

答え 109日以上126日以下

 

本問は、仕事にかかる日数に幅(範囲)がありますから、最も少ない場合と最も多い場合の2つに分けて考えることが大切です。

 

最後も2問目と同じ学校から、ニュートン算の問題を見ていきます。

 

【問題】常に一定の量の水が流れこんでいる貯水池があります。この貯水池が満水の状態から空になるまで排水するのに、6台のポンプでは350分、5台のポンプでは450分かかります。ところが、貯水池の内壁にヒビが入り、貯水池の水の量が5割を超えると、常に一定の水がもれるようになりました。この状態で5台のポンプを使って満水から空になるまで排水したところ、435分かかりました。このとき、内壁のヒビからもれる水の量は、ポンプ1台あたりの排出量の何倍ですか。ただし、ポンプ1台が排出できる水の量はすべて同じであるものとします。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図などを書きなさい。

(洗足学園中学校 2024年 問題3-(4))

 

【考え方】

ニュートン算には、線分図解法と水そう解法の2つの方法があります。

ここでは、水そう解法で考えていくことにします。

水そう解法では

・水そうの容積=時間の最小公倍数

・単位時間あたり(本問では1分あたり)に減る水の量に着目する

が基本です。

350と450の最小公倍数は3150です。 … (ア)

3150÷350=9/分 …(イ)

3150÷450=7/分 …(ウ)

(イ)と(ウ)のちがいに着目します。

ですから、1分に流入する水の量は

2/分×6台-9/分=3/分

とわかります。

次に、内壁にヒビが入ったときの様子を図に表します。

「貯水池の水の量が5割を超えると、常に一定の水がもれる」ので、5割以下になってから空になるまでの時間は

450分÷2=225分 … ■分

です。

よって、

□分=435分-225分=210分

とわかります。

(3150÷2)÷210分=7.5/分 …(エ)

10/分+もれる水の量-3/分=7.5/分

なので

もれる水の量=0.5/分

です。

0.5/分÷2/分=0.25(倍)

答え 0.25倍(1/4倍)

 

本問は、ニュートン算の基本が確認できる問題です。

問題前半の満水量、ポンプ1台あたりの排水量、流れこむ水の量の求め方は基本通りですから、もし、まちがえたときは前半部分にミスがないか、後半部分の考え方が正しいかの2つに分けてチェックと修正を行いましょう。

 

今回は、2023年度と2024年度の女子中の入試で出された「仕事算」と「ニュートン算」の問題をご紹介しました。

「仕事量」や「ニュートン算」が苦手なときは、「仕事算」は「人名」の有無で解き方が選べるようになること、「ニュートン算」は線分図解法か水そう解法のどちらか一方をマスターできることを目標に、練習をしていきましょう。

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文章題の練習問題 / 中学入試の算数問題 2024年03月02日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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