第659回 女子中の入試問題 文章題 2
「第659回 女子中の入試問題 文章題 2」
前回から、近年に女子中の入試で出された「文章題」の問題を取り扱っています。
今回は「差集め算(過不足算)」の問題をみていきます。
1問目は基本レベルの問題です。
【問題】長いす1脚に5人ずつ座ると4人が長いすに座れなくなり、長いす1脚に6人ずつ座ると5人が座る長いすが1脚できて1脚余ります。このとき、生徒の人数は何人ですか。
(香蘭女学校中等科 2023年 問題1-⑤ 問題文一部変更)
【考え方】
下の図は条件のイメージ図です。
図から、表を利用した場合は次のように整理できます。
差集め算を解くときは、「不ぞろい」の部分(表の赤字)をなくすことがポイントです。
不ぞろいの部分をなくすにはいくつかの方法がありますが、ここでは「長いすをすべて使う」を用いることにします。
すべての長いすに6人ずつの生徒が座るためには、今いる生徒数では
(6人-5人)+6人=7人
が不足します。
差集め算はその名前の通り、「差に着目」することも大切なポイントです。
1脚に座る生徒数の差が1人あり、その結果、全部で11人の差ができています。
表の場合は次のように表せます。
(4人+7人)÷(6人-5人)=11脚
長いすが11脚あることがわかりましたので生徒数は
5人×11脚+4人=59人
または
6人×11脚-7人=59人
です。
答え 59人
本問は、差集め算の基本が確認できる問題です。
「4人余る」と「7人不足」の差をまちがって「3人」としているときは、解答例のような線分図で考えてみましょう。
また、計算した「11」を生徒数とするようでしたら、イメージ図などで問題の条件を正しくとらえるようにします。
2問目も長いすが題材の問題です。
【問題】子どもが長椅子に座ります。1脚に5人ずつ座ると、長椅子が2脚余り、最後の長椅子に座るのは2人になります。長椅子を10脚追加して、1脚に3人ずつ座ると5人座れなくなります。子どもの人数は何人ですか。
(大妻中学校 2023年 問題6)
【考え方】
条件を表に整理します。
「不ぞろい」をなくすため、ここでは始めに用意した長椅子がすべて定員通りに使われる場合を考えることにします。
(5人-2人)+5人×2脚=13人 … 5人ずつ座るには13人不足
3人×10脚+5人=35人 … 3人ずつ座ると35人余る
1脚あたりの差が
5人-3人=2人
で、その結果、全体では
13人+35人=48人
の差となるので、始めに用意した長椅子は
48人÷2人=24脚
です。
5人×(24脚-3脚)+2人=107人
または
3人×(24脚+10脚)+5人=107人
答え 107人
本問も、「不ぞろい」をなくすという基本の考え方が確認できる問題です。
解答例では始めに用意した長椅子について考えましたが、長椅子を10脚増やしたときの人数に着目しても構いません。
最後は、大問形式の問題です。
【問題】百合子さんの学校の6年生は修学旅行に行きます。宿には部屋が全部で35部屋あります。部屋のタイプは大きい部屋と小さい部屋の2種類があります。大きい部屋に5人ずつ、小さい部屋に3人ずつにすると、2人が入れなくなります。1部屋あたりの人数を増やし、大きい部屋に必ず7人ずつ、小さい部屋に必ず3人ずつにすると、6年生が全員入ることができ、大きい部屋と小さい部屋がそれぞれ1部屋ずつ余ります。
(1)大きい部屋、小さい部屋はそれぞれ何部屋ずつありますか。
(2)6年生の人数は全部で何人ですか。
(3)何人か欠席者が出たので、急いで部屋割りを変更することになりました。そこで大きい部屋5部屋に7人ずつ入れたところ、小さい部屋20部屋に残りの6年生全員を均等に入れることができました。このとき、小さい部屋は何人ずつで、欠席者は何人ですか。欠席者の人数は6年生の人数の1割以下であることが分かっています。
(湘南白百合学園中学校 2023年 問題2)
【考え方】
(1)
条件を表に整理します。
「不ぞろい」をなくすため、すべての部屋が定員通りに使われる場合を考えることにします。
7人+3人=10人不足
どちらの部屋割りも小さい部屋は3人ずつで差がありませんから、全体の差の
2人+10人=12人
は大きい部屋に入る人数の差によるものとわかります。
12人÷(7人-5人)=6部屋 … 大きい部屋
35部屋-6部屋=29部屋 … 小さい部屋
答え 大きい部屋 6部屋、 小さい部屋 29部屋
(2)
5人×6部屋+3人×29部屋+2人=119人
または
7人×(6部屋-1部屋)+3人×(29部屋-1部屋)=119人
答え 119人
(3)
119人×0.1=11.9人 → 欠席者は11人以下
119人-11人=108人 → 修学旅行に行った生徒は108人以上
小さい部屋に□人ずつ入ったとします。
7人×5部屋+□人×20部屋=108人以上118人以下
108人のとき
□=(108人-35人)÷20部屋=3.65人
118人のとき
□=(118人-35人)÷20部屋=4.15人
□は3.65人以上4.15人以下とわかりましたので、□=4(人)です。
119人-(35人+4人×20部屋)=4人
答え 欠席者 4人、 小さい部屋 4人ずつ
本問は差集め算の応用問題ですが、「不ぞろい」をなくすという基本の考え方を使って解くことができます。
まちがえたときは解答例の条件整理を参考にして、どこが十分でなかったかを確認しましょう。
今回は、近年の女子中の入試で出された「差集め算」の問題をご紹介しました。
文章題の中ではやや難しい部類に入りますが、基本の考え方と条件の整理方法を身につけて正解できる問題を増やしていけるといいですね。