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第650回 女子中の入試問題 平面図形 3

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図形の練習問題 2023年12月23日18時00分

「第650回 女子中の入試問題 平面図形 3」

ここまで2023年度に女子中で出された「平面図形」の中から、「角の大きさ」と「求積」の基本レベルの問題を見てきました。

今回は、「角の大きさ」と「求積」の応用レベルの問題について考えます。

 

では、1問目です。

 

【問題】図のように中心角が90°のおうぎ形と直径4㎝の半円があります。点Cは直線OAの真ん中の点です。次の問いに答えなさい。円周率を使う場合は3.14としてください。

(1)図の曲線ADの長さと曲線DBの長さの比が7:8であるとき、○あの角の大きさは何度ですか。

(2)曲線ADの長さと曲線DBの長さの比が1:2であるとき、三角形DCOの面積は何㎠ですか。

(フェリス女学院中学校 2023年 問題3 問題文一部変更)

 

【考え方】

(1)

弧ABが

7+8=15(等分)

されますから、

角AOD=90度×7/15=42度

です。

 

半円に着目します。

円問題の補助線CEをひくと、OC=ECなので三角形COEは二等辺三角形とわかります。

よって、角ECDの外角ACEは

42度×2=84度 … ○

です。

さらに三角形CEAもCE=CAの二等辺三角形です。

(180度-84度)÷2=48度 … ×

 

三角形ODAはOD=OAの二等辺三角形なので、

角OAD=(180度-42度)÷2=69度

です。

 

よって、

角○あ=69度-48度=21度

です。

答え 21度

 

(2)

弧AD:弧DBが1:2なので、角AOD:角DOBも1:2です。

角AOD=90度×1/3=30度 … ○

 

三角形ODEは「30度直角三角形(正三角形の半分)」なので、

DE=OD÷2=2㎝

です。

 

よって、三角形DCOは底辺CO=2㎝、高さDE=2㎝ですから、面積は

2㎝×2㎝÷2=2㎠

です。

答え 2㎠

 

本問は、弧の長さと中心角の関係、円の補助線、二等辺三角形の角、30度問題など、多くの知識が確認できる問題です。

どれも大切な知識であり、またその組み合わせ方も重要です。

 

続けて、2問目です。

 

【問題】下の図のように、半径2㎝、3㎝、4㎝の半円と直線を組み合わせてできた図形があります。斜線部分の面積の和を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。

(浦和明の星女子中学校 2023年 問題1-(6))

 

【考え方】

円問題の補助線をひきます。

2㎝×2㎝×3.14×90度/360度=3.14㎠ … ア

2㎝×2㎝÷2=2㎠ … イ

3.14㎠+2㎠=5.14㎠ … ア+イ(=ウ)

 

相似を利用します。

ウ、エ、オは相似で、相似比は

2㎝:3㎝:4㎝=2:3:4

ですから、面積比は

(2×2):(3×3):(4×4)=④:⑨:⑯

です。

3つの弓形も相似ですから、求める部分は次のように表せます。

ウ=5.14㎠=④

①=1.285㎠

④+⑦=⑪=1.285㎠×11=14.135㎠

 

2㎝×2㎝×3.14÷2-1.285㎠×4=1.14㎠=4□

1□=0.285㎠

5□=0.285㎠×5=1.425㎠

 

14.135㎠+1.425㎠=15.56㎠

答え 15.56㎠

 

本問は、円の補助線と弓形の面積の求め方が確認できる問題です。

解答例では弓形の部分についても相似を利用していますが、四分円(中心角の大きさが90度のおうぎ形)から直角二等辺三角形を除いて求めた弓形の面積を引くという解き方でもよいと思います。

 

それでは、3問目です。

 

【問題】下の図で、四角形ABCDと四角形FBGEと四角形IEHDは長方形であり、点EはAC上の点です。AFの長さが3㎝、GCの長さが16㎝のとき、斜線部分の面積は何㎠ですか。

(淑徳与野中学校 2023年 問題2-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

長方形の対角線は、長方形の面積を2等分します。

 

よって、問題図の中にある3つの長方形の面積は次のようになります。

 

図より、

長方形FBGEの面積=★-(☆+▲)=長方形IEHDの面積

とわかります。

 

ですから、斜線部分(長方形FBGE)の面積は

3㎝×16㎝=48㎠

です。

答え 48㎠

 

本問は、長方形の対角線がその面積を2等分することを利用して解く定番問題のひとつです。

等積移動のなかまの知識としておさえておきましょう。

 

では、最後の問題です。

 

【問題】下の図は、直角三角形ABCの辺ABが辺BCに重なるように折ったものです。このとき、斜線部分の面積を求めなさい。

(浦和明の星女子中学校 2023年 問題1-(5) 問題文一部変更)

 

【考え方】

折る前の図形と折った後の図形は合同です。

 

さらに、三角形DBA’と三角形DCA’は高さが等しくなっています。

 

三角形の面積は底辺×高さ÷2で求められますから、高さが等しい三角形の面積比は底辺の比と同じです。

 

よって、三角形ABCの面積は

③+③+①=⑦

です。

⑦=4㎝×3㎝÷2

①=6/7㎠

答え 6/7㎠

 

本問は、図形の折り返しと高さが等しい三角形の面積比の知識が確認できる問題です。

面積比の問題は次回以降に取り扱いますので、「習っていたが、忘れていた」という場合は「辺の比と面積比」の復習をしておくとよいでしょう。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された「角の大きさ」と「求積」の応用レベルの問題をご紹介しました。

円問題の補助線や「30度直角三角形」、弓形の求積方法などは「辺の比と面積比」の問題を解くときにも使いますので、求積の問題を利用してしっかりと定着させておきましょう。

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図形の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年12月23日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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