第649回 女子中の入試問題 平面図形 2
「第649回 女子中の入試問題 平面図形 2」
前回より、2023年度に女子中で出された「平面図形」を見ています。
2回目の今回は「求積」に関する問題について考えます。
1問目は基本レベルの問題です。
4、5年生でも既習であればチャレンジしてみましょう。
【問題】図のように、長方形の中に半径2㎝の円が4つ入っています。斜線部分の面積は何㎠ですか。(円周率は3.14とします。)
(普連土学園中学校 2023年 問題2-(3) 問題文一部変更)
【考え方】
円問題の補助線は半径です。
問題の図に半径を書き込みます。
円の補助線を引くと、2つの半円を「等積移動」させて長方形を作ることができます。
(7㎝-2㎝×2)×8㎝=24㎠
答え 24㎠
本問は、円問題の補助線と等積移動が確認できる問題です。
なお、この入試問題の表紙には全問共通用に「円周率は3.14として計算しなさい」とありますが、本問については解答例のように等積移動を利用すると円周率を使わずに答えを求めることができます。
2問目は「弓形」の問題です。
本問も円の学習が終わっている4、5年生は、チャレンジしてみましょう。
【問題】下図は、半径8㎝の円と、直角二等辺三角形と円の1/8を組み合わせた図形です。影の部分の面積を求めなさい。ただし、円周率は3.14とします。
(東洋英和女学院中学部 2023年 問題3 問題文一部変更)
【考え方】
弓形の面積は「おうぎ形-三角形」や「移動して合体」で求めることができます。
問題図の円の左上(右下でも可)にある弓形の面積を「おうぎ形-三角形」で求めます。
8㎝×8㎝×3.14÷4-8㎝×8㎝÷2=18.24㎠
右下(左上でも可)にある弓形は「(等積)移動して合体」させます。
8㎝×8㎝÷2=32㎠ … 合体してできた直角二等辺三角形
最後に、問題図の右側にある大きな弓形の半分(赤色部分)を求めます。
(16㎝×16㎝×3.14÷4-16㎝×16㎝÷2)÷2=36.48㎠ … ★
ですから、全部で
18.24㎠+32㎠+36.48㎠=86.72㎠
です。
答え 86.72㎠
本問は、弓形の面積の求め方が確認できる問題です。
なお、「相似」を既習の場合は、次のような工夫をすることができます。
3問目も大切な「円問題」です。
【問題】下の図は、1辺の長さが2㎝の4つの正方形と2つの円を組み合わせたものです。色がついた部分の面積は何㎠ですか。円周率は3.14とします。
(横浜雙葉中学校 2023年 問題1-(6) 問題文一部変更)
【考え方】
円問題の補助線を書き込みます。
はじめに、弓形(赤色部分)に着目します。
2㎝×2㎝×3.14÷4-2㎝×2㎝÷2=1.14㎠ … 弓形(赤色)の面積
次に、半円(水色部分)に着目します。
半円(青線)の半径を□㎝とします。
直角二等辺三角形(緑色)の面積は、1辺の長さが2㎝の正方形の面積の1/4ですから、
□㎝×□㎝÷2=2㎝×2㎝÷4
↓
□㎝×□㎝=2㎠
です。
よって、半円の面積は
□㎝×□㎝×3.14÷2=2㎠×3.14÷2=3.14㎠
です。
1.14㎠+3.14㎠=4.28㎠
答え 4.28㎠
本問は、半径の長さがわからない円の面積の求め方が確認できる問題です。
半径の長さがわからない円の面積は解答例のように半径の長さを□として□×□の値を求める方法の他に、次の図のような面積比の関係を利用して解く方法もあります。
最後の1問も大切な問題です。
【問題】半径4㎝のおうぎ形と長方形が図のように重なっています。○アの部分と○イの部分の面積が等しいとき、図のxの値を求めなさい。円周率は3.14とします。
(田園調布学園中等部 2023年 問題1-(5) 問題文一部変更)
【考え方】
「等しい(または、差が□)とくればつけたし」を利用する問題です。
○アも○イも面積を求める公式のない図形ですので、共通する図形(○ウ)をつけたして、面積公式のある図形にします。
○アに○ウをつけたすと中心角が90度のおうぎ形に、○イに○ウをつけたすと長方形になります。
○アの面積=○イの面積ですから、共通する○ウをつけたしてできるおうぎ形の面積と長方形の面積も同じです。
4㎝×4㎝×3.14÷4=x㎝×4㎝
↓
x=3.14(㎝)
答え 3.14
本問は、「等しい(または、差が□)とくればつけたし」という知識が確認できる問題です。
問題集にもよく出てくる問題ですから、もし、正解できなかったときは類題演習をして、知識の定着を図りましょう。
今回は、2023年度の女子中の入試で出された「求積」の問題をご紹介しました。
いずれの問題も重要な問題であり、また基本レベルの問題でもありますから、まちがえた問題があれば、すぐに復習をしましょう。