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第647回 女子中の入試問題 速さ 6

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速さの練習問題 2023年12月02日18時00分

「第647回 女子中の入試問題 速さ 6」

これまで、2023年度に女子中で出された速さの基本問題や一行問題、旅人算、流水算、時計算の問題を見てきました。

「速さ」の最終回の今回は、グラフの問題を取り扱っていきます。

 

では、1問目です。

 

【問題】A地点とB地点は54㎝離れています。その間を2点P,QがA→B→Aの順で1往復します。点Pは一定の速さで往復し、点Qは点Pと出会ってから速さを変えます。ただし、出会う前と後の速さはそれぞれ一定です。

グラフは2点が同時にAを出発してから点QがAにもどるまでの時間と、点Pと点Qの間の距離の関係を表したものです。次の問いに答えなさい。

(1)点Pの速さを求めなさい。

(2)点QがAを出発したときの速さを求めなさい。

(3)ア□、イ□にあてはまる数を求めなさい。

(東洋英和女学院中学部 2023年 問題9)

 

【考え方】

(1)

問題文の「点QがAにもどるまで」や与えられた図から「Pが先に点Aにもどった」と仮定して、隔たりグラフをダイヤグラム書き直してみます。

問題の隔たりグラフと書いたダイヤグラムを比べてみると

・0~9秒 PとQの差が広がる

・9秒後 PがBに着く

・9~12秒 PとQの差が縮まる

・12秒後 PとQが出会う

・★秒後 QがBに着く

・★~ア□秒 PとQの差が変化しない(=同じ速さで同じ向きに進んでいる

・ア□秒 PがAに戻る

・イ□秒後 QがAに戻る

のように2点の動きをうまく説明できますので、仮定が正しいことがわかります。

54㎝÷9秒=6㎝/秒

答え 毎秒6㎝

 

(2)

2点が出発してから12秒後に出会うまでの様子を線分図で表すと、次のようになります。

PとQは12秒間に合わせて

54㎝×2=108㎝

進んでいますから、2点の速さの和は

108㎝÷12秒=9㎝/秒

です。

9㎝/秒-6㎝/秒=3㎝/秒 … Qのはじめの速さ

答え 毎秒3㎝

 

(3)

ア□秒後にPがAに戻りますから、

54㎝×2÷6㎝/秒=18秒 → ア=18

です。

3㎝/秒×12=36㎝ … ☆

(1)で考えたように、Pと出会った後のQの速さはPと同じ6㎝/秒です。

12秒後+(54㎝-36㎝)÷6㎝/秒=15秒後 … QがBに着く(★)

15秒後+54㎝÷6㎝/秒=24秒後 … QがAに戻る

ですから、イ=24です。

答え ア 18、 イ 24

 

本問は、隔たりグラフの考え方が確認できる問題です。

隔たりグラフが変化する点で動きに変化があったと考えて隔たりグラフのまま問題を解いてもよいですし、そのままでは考えにくいと思ったときは上記のように「ふつう」のダイヤグラムに書き直して考えます。

なお、本問では、隔たりグラフが水平になっている部分の理由を考えることが、大きなポイントとなっています。

 

では、もう1問、見ていきましょう。

 

【問題】AさんとBさんは、山を越えてとなり町まで歩きます。AさんはX町を出発し頂上で30分の休けいをとってY町へ、BさんはAさんが出発した1時間後にY町を出発し、頂上で30分の休けいをとってX町へ行き、BさんはAさんがY町に着く前にX町に着きました。AさんとBさんは、上り道でも下り道でもそれぞれ一定の速さで歩き、上り道では下り道の3/4倍の速さで歩きます。下のグラフは、Aさんが出発してからの時間とAさんとBさんの間の道のりを表しています。このとき、次の問いに答えなさい。

(1)グラフのア□にあてはまる数を答えなさい。

(2)AさんとBさんの上り道を歩く速さの比を、最も簡単な整数の比で答えなさい。

(3)AさんとBさんがすれ違った場所をZ地点とするとき、X町からZ地点とY町からZ地点の道のりの比を、最も簡単な整数の比で答えなさい。なお、この問題は解答までの考え方を表す式や文章・図を書きなさい。

(洗足学園中学校 2023年 問題4)

 

【考え方】

(1)

AさんとBさんの歩く様子を、「ふつう」のダイヤグラムで表します。

190-30=160

答え 160

 

(2)

Bさんの動きに着目すると、Y町から山頂までは

160分-60分=100分

山頂からX町までは

235分-190分=45分

かかっていることがわかります。

AさんはX町から山頂までの180の距離に

130分-30分=100分

かかっていますから、Aさんが上り道を歩く速さは

180÷100=1.8

です。

Aさん:Bさん=1.8:3=3:5

答え 3:5

 

(3)

わかったこと、わかることをグラフに書き込みます。

赤色の相似な三角形に着目します。

130+300÷2.4=255(分) … AがY町に着く

255分-60分=195分 … ★

195分:30分=13:2 … 相似比

300×13/(13+2)=260 … Y町からZ地点までの距離

180+300=480 … X町からY町までの距離

よって、

(X→Z):(Z→Y)=(480-260):260=11:13

答え 11:13

 

本問は、隔たりグラフの読み取りが確認できる問題です。

問題で与えられたグラフの傾きに着目して上記のようなダイヤグラムをかくと、その後は基本レベルの処理です。

隔たりグラフの読み取りができないときは、

・2人がX町から山頂の間で出会うグラフ(この場合は「BさんはAさんがY町に着く前にX町に着きました」という条件にあてはまりません)

・山頂からY町の間で出会うグラフ

の2つのグラフを書き、どちらが条件に適するかを考えてみましょう。

 

今回は「速さ」の最終回として、2023年度の女子中の入試で出された速さのグラフ問題をご紹介しました。

2問とも「隔たりグラフ」に関する問題でグラフ問題の中では難しい部類に入りますが、近年の中学入試で出されやすい問題のひとつです。

「隔たりグラフ」が苦手なときは、「ふつう」のダイヤグラムの問題でグラフ問題の考え方を定着させると同時に、旅人算の問題をダイヤグラムを使って解く練習をしてグラフに慣れ、その上で「隔たりグラフ」の基本問題に取り組むことから始めてみましょう。

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速さの練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年12月02日18時00分
主任相談員の前田昌宏
中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員である前田昌宏が算数の面白い問題や入試問題を実例に図表やテクニックを交えて解説します。
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