第641回 女子中の入試問題 比と割合 4
「第641回 女子中の入試問題 比と割合 4」
前回は、2023年度に女子中で出された「比と割合」の中から食塩水の一行問題を問題を取り扱いました。
今回は、大問形式の食塩水の問題と売買算の問題を見ていきます。
まずは、食塩水の問題です。
【問題】容器Aと容器Bにはそれぞれ食塩水が入っています。容器Aから食塩水を350g取り出して水を70g蒸発させると10%の食塩水ができます。また、容器Aから食塩水を450g、容器Bから食塩水を300g取り出してよく混ぜると6%の食塩水ができます。次の□に当てはまる数を求めなさい。
(1)容器Aに入っている食塩水の濃さは□%です。
(2)容器Bに入っている食塩水の濃さは□%です。
(3)容器Aから食塩水を180g、容器Bから食塩水を○あg取り出して混ぜ、食塩水を作ろうとしたところ、間違えて容器Aから○あg、容器Bから180g取り出して混ぜてしまったので、できた食塩水の濃さは作ろうとしていた食塩水の濃さより2%濃くなりました。○あに当てはまる数は□です。
(横浜共立学園中学校 2023年 問題3)
【考え方】
(1)
1つ目の条件を「塩分数」で整理します。
350g-70g=280g … (ウ)
280g×0.1=28g … (エ)=(ア)
28g÷350g×100=8% … (イ)
答え 8
(2)
2つ目の条件を「塩分数」で整理します。
450g×0.08=36g … (オ)
450g+300g=750g … (ク)
750g×0.06=45g … (ケ)
45g-36g=9g … (キ)
9g÷300g×100=3% … (カ)
答え 3
(3)
条件を「塩分数」で整理します。
「塩分数」で整理すると、食塩水の3公式だけでは解けないことがわかります。
そこで、「食塩水の取り違えはダブル天びん図に整理する」を利用します。
このとき、食塩水の重さを取り違えたので、うでの長さの比が上と下の天びん図で逆になることに注意します。
2つの図から
◎%+●%=8%-3%=5%
と
●%-◎%=2%
が読み取れますから、和差算を利用できます。
(5%-2%)÷2=1.5% … ◎%
1.5%+2%=3.5% … ●%
うでの長さの比が
1.5%:3.5%=3:7
ですから、重さの比は7:3です。
よって、
○あg=180g×7/3=420g
とわかります。
答え 420
本問の(1)と(2)は食塩水の基本が確認できる問題です。
(3)は少し難しいのですが、正解できなかったときは天びん図または面積図に整理して考えてみましょう。
2問目は売買算の一行問題です。
【問題】お祭りでかき氷を売りました。1杯あたりの材料費は320円です。材料費の2割5分の利益を見込んで定価をつけて売り始めました。ところが、途中で雨が降ってきたため定価の1割引きで売りました。その結果、合計100杯売ることができて、利益は6800円でした。雨が降り始めてから売れたのは何杯か求めなさい。
(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(9))
【考え方】
「多数売りは表に整理」が原則です。
320円×(1+0.25)=400円 … 定価
400円×(1-0.1)=360円 … 値引き後の売価
(あ)は100杯ですから、(い)は
320円×100杯=32000円
です。
「仕入れの合計+総利益=売り上げの合計」ですから、
32000円+6800円=38800円 … (う)
とわかります。
つまり、「400円と360円のかき氷を合わせて100杯売ると売り上げの合計が38800円になる」ということですから、つるかめ算が利用できます。
(400円×100杯-38800円)÷(400円-360円)=30杯
答え 30杯
本問は、「多数売りの売買算」の基本が確認できる問題です。
解答例では、「仕入れの合計+総利益=売り上げの合計」を利用していますが、1杯あたりの利益に着目して解いても構いません。
最後に、大問形式の売買算の問題を見ていきます。
【問題】ある花屋が原価1本200円の花を300本仕入れました。原価の4割の利益を見込んで定価をつけて販売したところ、1日目は仕入れたうちの25%が売れ残りました。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)1日目の売り上げ金額はいくらですか。
(2)売れ残った花を、2日目には定価の2割引きで販売しました。そのうち何本かは売る前に枯れてしまい販売できませんでしたが、枯れた花をのぞいたすべての花が売り切れました。この2日間で、仕入れに使った金額の27.4%を利益として得たとき、枯れた花は何本でしたか。
(白百合学園中学校 2023年 問題1)
【考え方】
(1)
200円×(1+0.4)=280円 … 定価
300本×(1-0.25)=225本 … 1日目に売れた本数
280円×225本=63000円
答え 63000円
(2)
条件を表に整理します。
280円×(1-0.2)=224円 … 値引き後の売価
200円×300本=60000円 … (あ)
300本-225本=75本 … (い)+(お)
60000円×0.274=16440円 … (き)
60000円+16440円=76440円 … 63000円+(う)+(か)
枯れた花は販売できませんので、「枯れた花の売価は1本0円」のように考えることができます。
ですから、枯れた花の売り上げの合計は本数に関係なく常に0円です。
76440円-63000円=13440円 … (う)
13440円÷224円=60本 … (い)
よって、枯れた本数は
300本-(225本+60本)=15本 … (お)
です。
答え 15本
本問も、「多数売りの売買算」の基本が確認できる問題です。
(2)は、「販売できなかった=0円で売った」と考える点がポイントです。
今回は、2023年度の女子中の入試で出された大問形式の食塩水と売買算の問題をご紹介しました。
1問目の(3)を除くと、条件整理と解法の基本が確認できますので、もし、正解できなかったときはそれぞれの基本問題に戻って、できるだけ早急におさらいをしておきましょう。