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第640回 女子中の入試問題 比と割合 3

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割合の練習問題 2023年10月14日18時00分

「第640回 女子中の入試問題 比と割合 3」

前回までの2回は、2023年度に女子中で出された「割合の文章題」の一行問題について考えました。

今回は、「比と割合」の中でもよく出題される「食塩水の問題」の中から一行問題を取り扱います。

 

早速、問題を見ていきましょう。

 

【問題】濃度が9%の食塩水から40gの水を蒸発させると、食塩水の濃度は11.4%になりました。濃度が9%の食塩水ははじめ何gありましたか。

(田園調布学園中等部 2023年 問題1-(7))

 

【考え方】

条件を線分図に表します。

このとき、水を蒸発させても食塩の重さは変化しないことに気をつけます。

 

 

重さが変化しない食塩に着目すると、

(食塩の重さ)=(はじめの食塩水の重さ)×0.09=(あとの食塩水の重さ)×0.114

(はじめの食塩水の重さ):(あとの食塩水の重さ)=⑲:⑮

とわかります。

 

 

⑲-⑮=40g → ①=10g

10g×19=190g

 

答え 190g

 

本問は、食塩、水、食塩水の関係が確認できる基本の問題です。

なお、「11.4%の食塩水に蒸発させた水40gを戻すと9%の食塩水になる」のように考えると、次のような天びん図で解くこともできます。

うでの長さの比 (9%-0%):(11.4%-9%)=15:4

重さの比 ④:⑮

④=40g → ①=10g

40g+10g×15=190g

 

2問目も基本レベルの問題です。

 

【問題】10%の食塩水に1%の食塩水を加えて6.7%の食塩水を300g作ります。1%の食塩水を何g加えたらよいか求めなさい。

(頌栄女子学院中学校 2023年 問題1-(8))

 

【考え方】

食塩水の混合問題なので、条件を面積図に表すことができます。

 

 

イにアの食塩を移す問題ですから、アとイの面積は同じです。

縦の比 ア:イ=(10%-6.7%):(6.7%-1%)=11:19

横の比 ア:イ=⑲:⑪

 

 

⑲+⑪=300g → ①=10g

10g×11=110g

 

答え 110g

 

本問は、食塩水の混合の基本が確認できる問題です。

なお、面積図の代わりに天びん図を用いても構いません。

 

3問目は、条件が多くなっています。

 

【問題】濃度が4%の食塩水が50g入っている容器Aと、濃度が10%の食塩水が290g入っている容器Bがあります。容器Aに入っている食塩水をすべて容器Bに移そうとしましたが、誤って何gかこぼしてしまいました。その後、容器Bに10gの食塩を加えると、濃度が12%になりました。こぼした食塩水は何gですか。

(横浜雙葉中学校 2023年 問題1-(5))

 

【考え方】

条件を「塩分数」で整理します。

 

 

はじめの容器Bに食塩を加える部分は、食塩水の3公式が利用できます。

 

290g×0.1%=29g … ウ

(29g+10g)÷(290g+10g)×100=13%

 

 

ア、イ、エ、オが不明ですから、面積図に整理し直します。

 

 

300g×(0.13-0.12)=3g … 

3g÷(0.12-0.04)=37.5g … ア

 

容器Aから容器Bに移した食塩水の重さが37.5gですから、こぼした食塩水の重さは

50g-37.5g=12.5g

です。

 

答え 12.5g

 

本問は、条件に応じた整理方法を確認できる問題です。

食塩水をこぼしたり食塩を加えたりと条件が多くありますので、いったん「塩分数」を使って条件を整理し、「(すぐに)食塩水の3公式で計算できる部分」と「(比は使いませんが)面積図にすると食塩水の3公式が使いやすくなる部分」に分けるところがポイントです。

なお、面積図の部分は比を用いて解くこともできます。

 

では、今回の最後の問題です。

 

【問題】3%の食塩水Aと、(①)%の食塩水Bがあります。A200gとB600gを混ぜると4.5%の食塩水Cができます。A(②)gとC200gを混ぜると3.3%の食塩水ができ、B60gとCの残り600gを混ぜると(③)%の食塩水ができます。(①)~(③)にあてはまる数をかきなさい。

(立教女学院中学校 2023年 問題1-(6) 問題文一部変更)

 

【考え方】

条件を「塩分数」で整理します。

 

 

条件アは、食塩水の3公式が使えます。

 

200g×0.03=6g … ○あ

200g+600g=800g … ○う

800g×0.045=36g … ○え

36g-6g=30g … ○い

 

 

よって、

30g÷600g×100=5% … (①)%

とわかります。

 

条件イは、食塩水の3公式だけでは解けませんから、面積図に整理し直します。

 

 

縦の比 (3.3%-3%):(4.5%-3.3%)=1:4

横の比 ④:①

 

①=200

200g×4=800g … (②)g

 

容器Bの食塩水が5%とわかったので、条件ウは食塩水の3公式が使えます。

 

 

60g×0.05=3g … ○お

600g×0.045=27g … ○か

60g+600g=660g … ○き

3g+27g=30g … ○く

 

 

30g÷660g×100=50/11%=4 6/11% … (③)%

 

答え ① 5、 ② 800、 ③ 50/11(4 6/11)

 

本問は、今回の1~3問目のまとめになる問題です。

条件を整理して、条件に適した解法を選択できるかを確認しましょう。

 

今回は、2023年度の女子中の入試で出された食塩水の一行問題をご紹介しました。

いずれも条件整理と基本解法の組み合わせになっていますので、どれも正解できることが望ましいです。

もし、まちがえたときは、条件整理をしているか、使う解法は適切かなどをチェックし、早急に課題を克服しておきましょう。

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割合の練習問題 / 中学入試の算数問題 2023年10月14日18時00分
主任相談員の前田昌宏
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